遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

南シナ海の中国人口島 12海里内で米軍が行動計画

2015-10-21 23:58:51 | EEZ 全般
 フィリピン外務省が、2014年 5月に、中国がジョンソン南礁を埋め立てているということを示す時系列の写真を公開し、世界を驚嘆させました。
 岩礁を人工的に埋め立てても、それは、国際海洋法では島とは認められず、領海やEEZの基点となり得ません。
 しかし、中国は人口島を起点に、領海や、EEZ、ADIZ等の主張をしようとし、ファイアリクロス礁、スービ礁に続き3本目となるミスチーフ礁では3千m級の滑走路が建設が進められています。
 米軍では早速、軍が12カイリ以内での航行か飛行を実行することで、中国の領海であることを否定しようとするものと思われましたが、オバマ政府が対中姿勢を配慮して行動をおこしませんでした。世界世論の非難の盛り上がりから、中国は、工事を6月末で終了したと公表しましたが、滑走路他施設の建設はその後も継続されていますね。

 しかし、習近平が訪米時にオバマ大統領と会談し、「軍事化しない」と答えたにも関わらず軍事施設の建設が進められていて、オバマ政府は、軍による人工島の12カイリ以内での行動を実施することを決断したのだそうですね。
 

南シナ海 中国埋め立てに対抗 米12カイリ内作戦秒読み (10/21 読売朝刊)

 【ワシントン=大木聖馬】中国が南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島で進めている埋め立て・軍事化への対抗措置として、人工島周辺の領海に相当する「12カイリ(約22キロ)内」で米軍を行動させる作戦が秒読み段階に入っている
。オバマ政権の強い意志を示す狙いがあるが、逆に領有権主張に利用される恐れもあり、中国側の出方をうかがいながら、慎重に最終判断するとみられる。

■作戦立案の経緯
 米国が検討しているのは、
特定の空・海域で航行の自由があることを米軍の活動で示す「航行の自由」作戦
。国防総省が6月から検討していたが、米中関係への悪影響を懸念するホワイトハウス側が慎重だった。
 9月下旬の米中首脳会談で、オバマ大統領は習近平国家主席に「軍事化の中止」を強く要求。「軍事化しない」という発言を引き出したものの、人工島の造成は「依然として続いている」(米政府当局者)として、
作戦実施が近づいている


■四つの選択肢
 
検討中の主な方策は四つ。人工島の12カイリ内で、?艦船による航行?艦船による調査・訓練?潜水艦による潜行航行?軍用機による上空通過
━━が検討されている。
 機動力の高い「沿海域戦闘艦」などによる航行策は緊張を高めない安全策だが、中国側から「領海内を米軍艦船が『無害通航』した」と主張される余地がある。調査・訓練策は強い意志の表明にはなるが、作戦終了後、領有権を主張する中国側が「米軍は退去を求められて従った」などと表明する可能性もある。
 原子力潜水艦や哨戒機などの投入も検討中だが、一歩間違えれば軍事的な衝突の危険性を高めることにつながりかねない。

■どこで実施か
 どの人工島で作戦を実行するかによっても、意味合いは異なる。ファイアリー・クロス礁などで作戦を行えば、中国が主張する「領海」に侵入したことになるが、中国が造成を進めている岩礁には、国連海洋法条約で領海を主張することができない「暗礁」も含まれており、外交筋の間では、
米軍の作戦は暗礁で造成が進む人工島が対象
となるとの見方が強い。
 ただ、どこで作戦を実施しても懸念は残る。米戦略国際問題研究所(CSIS)のポニー・グレーザー氏は、「作戦を実行すれば、中国が南シナ海で『ADIZ(防空識別圏)』を設定する口実にする可能性もある」と指摘している。


 国防総省は6月から検討していたのだそうですが、米中関係への悪影響を懸念するホワイトハウス側が慎重だったことから、行動は見送られてきたと。
 検討されている行動は、4種類で、①艦船による航行 ②艦船による調査・訓練 ③潜水艦による潜行航行 ④軍用機による上空通過。
 行動を実施する場所は、暗礁で造成が進行途上で人工島が未完成の場所が対象となる見込みだそうです。

 米軍が行動を実施したら、中国はどのような反応をするのか。
 ①艦船による航行なら、緊張を高めない安全策だが、中国側から「領海内を米軍艦船が『無害通航』した」と主張されるだけで、領海を否定することにはならない。
 ②艦船による調査・訓練は、強い意志の表明にはなるが、作戦終了後、領有権を主張する中国側が「米軍は退去を求められて従った」などと表明され、効果は薄く、中国の実効支配を否定することにはならない。
 ③潜水艦による潜行航行 ④軍用機による上空通過は、一歩間違えれば軍事的な衝突の危険性を高めることにつながりかねない作戦です。

 米軍がどのような行動をするのか。行動に対し、中国がどう反応するのかが注目されますが、そのことによって、中国が実効支配している領土、領海であることの実績として、更なる施設や設備の強化の口実にされない配慮も必要です。
 島ではない岩礁、暗礁を人工的に埋め立てた場所は、領土として主張出来る島ではないことを強く国際社会に向け主張し、中国に領土の島だと言わせない国際世論造りや、該当国のフィリピンなどによる、国際海洋法裁判所への提訴が望まれます。

 勿論、日本にとっては、南シナ海は、エネルギー安全保障に係る重要シーレーンであり、米国以上の死活問題です。
 南シナ海での行動規範は、ASEAN各国と中国とで協議されていますが、進展はありません。国際海洋法のルールを護る様、中国に働きかける国際世論造りが急がれます。
 それには、イギリスを含めた欧州の各国、ASEAN各国の、チャイナマネーによって犯されてしまっている現状をどう崩すかが課題となります。
 経済の停滞で、構造転換に迫られている中国の自壊を待つしかないのでしょうか?



 # 冒頭の画像は、訪英した習近平を迎えるエリザベス女王の馬車に同乗する習近平




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