遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日露交渉難航、外務省が戦犯だ!

2016-11-30 23:58:58 | ロシア全般
 プーチン大統領の訪日、山口での安倍首相との会談で高まっていた北方領土問題の解決への期待は、ペルー・リマでの会談でのプーチン大統領の発言で、打ち砕かれてしまいました。
 安倍首相が、5月のソチでの首脳会談時に使った「新しいアプローチ」の言葉が、領土問題解決への憶測と期待を呼んで、その後経済協力の項目も公けにされたのでしたが、プーチン大統領の、ロシアの領有権は譲らないとの発言で、冷や水をかぶせられました。
 もともと、楽観的見方で、経済協力話が拙速すぎるとの声があり、遊爺もその指摘に賛同していましたので、想定内のことではありましたが。。
 ロシアの国内世論、太平洋からアジアに向けた軍事基地の存在、豊かな漁場などに加え、トランプ新大統領誕生で、米露関係の変化の可能性が生じたことから、ロシア側が政策転換したことの影響が大きいのですね。
 ところが、それに加えて、外務省と官邸との確執があり、ただでさえ厳しい交渉にもかかわらす、外務省が足を引っ張っていると指摘する記事がありました。
 メドベージェフ大統領(当時)が、上陸を果たした時も、民主党政権の失政もさることながら、外務省の状況判断の間違いが原因であったことは、諸兄がご承知の通りです(駐露大使はその後交代)。安倍政権に代わり、岸田外務大臣となって久しいのでいが、対韓、対中外交で失政が続いている外務省です。
 

【ドキュメント永田町】日露交渉難航、外務省が戦犯だ!安倍首相と官邸の「2つの想定外」 卑劣な妨害工作 - 政治・社会 - ZAKZAK

 安倍晋三首相と、ロシアのプーチン大統領が12月15、16日に行う日露首脳会談を前に、大変な事態が起きている。事前折衝で、日露両国の担当者が激突したうえ、日本でも官邸主導外交に反発して、外務省関係者が卑劣な暗闘を仕掛けているというのだ。こんな状況で、条約破りの常習国であるロシアと平和条約交渉など進められるのか。裏切り者を許していいのか。永田町・霞が関に精通する、ジャーナリストの山口敬之氏による独走リポート第2弾。

 今年夏ごろには「衆院解散の導火線になるのではないか」とまで期待感が高まっていた
日露交渉が今、曲がり角に来ている。ペルーの首都リマで19日(日本時間20日)に行われた日露首脳会談の後、記者会見に臨んだ安倍首相の表情は厳しかった。
 「解決への道筋が見えてはいるが、1回の会談で解決できるほど簡単ではない。着実に一歩一歩前進していきたい」
 プーチン氏は首脳会談で、2016年上半期の日露貿易が前年同期比で4割近く減少したことを指摘したという。会談翌日の記者会見では、ウクライナ南部クリミア併合をめぐって制裁を強める欧米諸国に日本も同調していると不快感をあらわにし、一対一で話したという「北方領土での共同経済活動」についても、朝日新聞モスクワ支局長の質問に答える形で言及した。

 確かに、
秋になってロシアから漏れてくる情報は、領土交渉については厳しいものばかりだ

 
ロシア軍機関紙は22日、北方領土の択捉島と国後島に新型ミサイルを配備したと報じた。沖縄県・尖閣諸島の領空周辺には同日、ロシア海軍のヘリコプターが飛行した。ミサイル配備は、安倍首相の支持基盤である保守層によるロシア批判を活発化させた。
 ところが、こうした動きに対し、政権中枢は「すべて織り込み済みだ」と周囲に漏らしている。
 確かに、ミサイル配備は今年3月に決められていたことであり、プーチン氏の発言もよく読めば、従来の発言から大きく後退したものではない。
 そもそも、来月の日露首脳会談に向けて、
日本側が準備している合意文書は「交渉の継続」と「経済プランの実現に向けた協力」を確認するものだ。あくまで交渉途中の過渡期的な内容のたたき台が作られ、現在推敲(すいこう)が進められている。
 そして、安倍首相がリマなどに向けて出発する前、政府首脳はこう予言していた。
 
「リマでの北方領土問題をめぐる発信は、国内の過熱した期待感を沈静化させる目的で、かなりローキーで(=抑制して)話すことになる」
 安倍首相本人が「山口での日露首脳会談→衆院解散」という観測が強まることを快く思っていなかったことは確かだ。領土交渉の先行きが厳しいという観測が広まれば、自然と解散風も収まっていく。安倍首相一流の情報コントロールだというのである。

 しかし、
安倍首相と官邸が読み切れなかった事象が少なくとも2つある。「谷内正太郎国家安全保障局長-パトルシェフ露安全保障会議書記の会談の決裂」と、「ウリュカエフ経済発展相の解任」だ。
 まず、モスクワで今月上旬に行われた、谷内氏とパトルシェフ氏との会談は、日本側の予想をはるかに超える厳しいものとなった。
 
事実上の「会談決裂」といえる結果を受け、日本政府内では経済協力プランについて、「いったん立ち止まって、ロシア側に圧力をかけた方がいい」という考え方と、「領土交渉が停滞しているからこそ、包括的パッケージを進めるべきだ」という考え方に分かれている。

 そして1週間後、驚くべきニュースが飛び込んできた。
 世耕弘成ロシア経済分野協力担当相(経済産業相)のカウンターパートとして、
経済協力交渉の前面に立ってきたウリュカエフ氏が今月半ば、収賄容疑で身柄拘束され、解任されたのである。
 この解任劇は、ロシア国内の「経済優先派」と「保守強硬派」の政争を浮き彫りにした。そして、
プーチン氏はこの案件では「強硬派」に軍配を上げたことになる。

 プーチン氏一流の揺さぶりかもしれない。だが、
どちらの事象も、日本政府の「想定外」だったことは間違いない。

■外務省関係者「ネガティブな情報操作」 交渉内容をリーク
 
さらに、この事態を悪化させているのが「官邸と外務省の不協和音」だ。
 日露交渉は当初、安倍首相の肝いりで、世耕氏と長谷川栄一首相補佐官、今井尚哉筆頭首相秘書官や経産省グループを中核とする
官邸主導で行われた。蚊帳の外に置かれた外務省側からは、この段階で怨嗟(えんさ)の声が漏れていた。
 そして、
秋口に外務省が交渉内容にコミットし始めたころから交渉内容のリークが始まり、その一部は官邸批判を強調する目的で、明らかにゆがんだ形で発信されている。日露交渉の漏れるべきではない情報が、政府内の対立と恨みに基づいて漏れ出していくのは、最悪の展開といえる。

 ここで注目すべきは、交渉の進展を妨害するような情報を流しているのは、誰かということだ。 外務省で日露関係を担当するのは、杉山晋輔事務次官を筆頭に、秋葉剛男審議官、原田親仁日露関係担当大使、林肇欧州局長だ。この4人は安倍政権中枢とのパイプも太く、官邸と緊密に連携を取って交渉に臨んでいる。官邸が信頼するからこそ、抜擢されたともいえる。特に、杉山、秋葉両氏は省内の官邸主導外交への不満を抑えつつ、黒子に徹してきた。

 ただ、官邸や外務省を含めた交渉担当者の間には、北方領土返還が「4島一括なのか」「2島+αが先行するのか」という根本的部分や、経済協力パッケージの中身や領土交渉との兼ね合い、交渉の進め方などについて、さまざまな異論や反論がある。
 こうした意見や方針の違いの間隙を突いて、
「官邸主導の外交交渉」を面白く思わない、外務省関係者による「ネガティブな情報操作」が激しさを増しているのだ。

 国益が激突する外交交渉、特に戦後70年以上も解決しなかった領土交渉が簡単に進むはずはない。ましてや相手は百戦錬磨のプーチン氏だ。
日本側が一枚岩とならなければ、ロシア側に付け入る隙を与えるだけだ

 ただ、安倍首相と官邸が読み切れなかった事象が少なくとも2つあると、記事は指摘しています。それは、「谷内正太郎国家安全保障局長-パトルシェフ露安全保障会議書記の会談の決裂」と、「ウリュカエフ経済発展相の解任」。
 トランプ新大統領の誕生に伴う、プーチン大統領の方針変更または様子見のための対日接近保留が原因なのでしょうか。
 そこへ、外務省関係者による「ネガティブな情報操作」が激しさを増しているのだと。

 領土問題の人参をちらっせて、経済協力を引き出す、台所の苦しいロシア。もともと拙速な経済協力姿勢には疑問を抱いていましたが、プーチン大統領のあからさまな後退姿勢が明らかになった以上、日本の経済協力も保留にすべきと考えますが、いかがでしょう。

 台所が苦しいロシアは経済支援を急ぎますが、安倍首相の任期延長が可能となった日本は急ぐことはありません。また、経済面からだけでなく、中国の覇権拡大で、ロシアはいずれ日米と連携し中国と対峙せざるを得なくなるとの指摘もあります。
 

中国 4.0 暴発する中華帝国 エドワード・ルトワック 奥山真司(訳) 文春新書 2016年3月20日 第1刷発行 より抜粋

アメリカとのバランス
 日本にとってロシアとの関係が重要だとしても、日米関係はそれ以上に重要である。現状で日本がロシアとの協力関係を進めようとすれば、アメリカからの批判を免れない。とりわけプーチン大統領との首脳会談は、シリアで失敗したオバマ大統領に、さらに大きな恥をかかせることになる。したがって、誰が日本の対外政策を担当しようとも、その人物はロシアとアメリカとの間のデリケートなバランスをうまく管理するしかない。
 冷戦期の日ロのビジネス関係は、外務省の制限を受けていた。たとえば日本の商社がシベリアから一定量以上の木材を買うことは許されず、カナダやアメリカから買わざるをえなかった。これは外務省が指示を出していたからだ。
 もちろんこれは冷戦期にはまったく正しい政策だった。ソ連は戦略的な敵であり、世界経済においても、まったくポジティブな役割を果たしていなかったからだ。
 ところが、冷戦後は違う。ここでは長期的な戦略を考えなければならない。
中国がこのまま成長拡大を続ければ、ロシアはどこかの時点で、自らアメリカや日本の側につく必要に迫られる公算が高い。ロシアは現在、シベリアをコントロールし、中央アジアも支配しているが、いずれ巨大になった中国に脅威を感じるようになる。そうなるとロシアは、現在の政策を変更せざるを得なくなり、日米の側につくことになるのだ。
 言い換えれば、
中国の強大化によってもたらされるのは、中国が日本を支配する事態である前に、ロシアが仲間を変えるという事態だこの時点でロシアには他に選択肢はない。日本および日米同盟と、歩調を合わせるほかないのだ。これは、ロシアが、日米の側について、中国に対するバランシングを行うということである。もちろん中国が民主化して、地方分権型のさほど脅威を与えない国家になれば、バランシングは起こらない。
 逆に短期的には、今日の日本政府の日常業務のなかで、アメリカとの連携は最優先事項だ。そういうなかで同時に
長期的な視点も見据えながらロシアとの関係も構築していくのは骨の折れる作業だが、日本にとって極めて重要なのは明らかだ。

 中国の成長拡大が続けば、ロシアは日米寄りとなって、対中バランスを保たざるを得なくなるというのですね。日露中の三カ国の関係は、歴史的にも、強くなった国に対し他の二国が連携してバランスを保つことがくりかえされましたし、この本が書かれた時には想定されなかったトランプ大統領誕生となった今は、ロシアはより日米に接近しやすくなったのですね。ただ、オバマ政権時代には米に反発し日本に接近していたプーチン大統領が、トランプ氏の登場で、日本よりも米国に重心を置く方向に代わるか、思案しているのが現状ということなのですね。

 世界の版図が変わろうとしている今、外務省が島国根性というか、国家がどう変動に対処するかの重大事より、縄張り根性で政府の足を引っ張っていては、日本を沈没させかねません。
 優柔不断で、相手国のペースに巻き込まれる岸田大臣ではなく、日本の国を世界の第一線で活躍する力を発揮させる人材に代える時期が来ていると考えます。健康面で不安は残りますが、TPPのタフネゴシエイションを乗り切った甘利氏、国を想い堂々と渡り合える、青山繁晴氏などはいかがてしょう。



 # 冒頭の画像は、ペルーで会談した安倍首相とプーチン大統領




  この花の名前は、ヨシノアザミ


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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





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