遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本の駐台湾大使相当の斎藤正樹代表が辞任

2009-12-02 20:20:33 | EEZ 全般
 台湾ては、今月 5日に行われる統一地方選挙に向け、対中輸出の伸張でGNP 8.25%増達成で台中経済接近効果を主張する馬英九・国民党と、農産物自由化での国内農業崩壊危惧や、期待した観光収入の伸び悩みなど中台経済一体化で影響を受ける中小企業対策など、台中接近策が争点になっていて、国民党は、野党・民進党の批判をかわすのに、躍起になっているのだそうです。
 そんななかで、今年5月に「日本がサンフランシスコ平和条約で台湾の領有権を放棄した後、台湾の地位は未確定」と発言し、馬政見から面会謝絶などの報復措置を受けていた、日本政府の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が、辞任されることとなった様です。
 日経は日台関係が正常化に向かうと歓迎を小さく載せ、読売、産経、朝日は事実関係をさらりと流しているだけ(それはそれで一言言いたいのですが、ここではふれません。)の中、毎日がユニークな見方の記事を載せていましたので転載させていただきます。
 
駐台湾代表:辞任 日本の「地位低下」象徴 総統ら強硬貫く - 毎日jp(毎日新聞)

 【台北・大谷麻由美】日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)が近く辞任する見通しとなった背景には、日台関係の変化がある。対中融和政策を進める馬英九総統は、対日関係も重視する姿勢でバランスを取ろうとしているが、台湾での日本の相対的な地位低下を象徴する出来事と言えそうだ。

 斎藤代表は今年5月、「台湾の国際的な地位は未定」と発言した直後、「勘違いだった」と総統府側に関係改善を申し出た。しかし、発言から約3カ月間、馬総統ら台湾要人は代表との面会や公式行事での同席を事実上拒否した。与党・国民党関係者は「意図的な発言に違いない。台湾は日本に文句を言えない立場だとばかにしている」となじった。また、「(独立色の強い民進党を母体とした)陳水扁前政権時代までと異なり、台湾にとって日本の重要性は低くなっている」と指摘した。

 地位が未定だからこそ独立すべきだと主張する、台湾独立派は発言を歓迎。これに対し総統府内では、斎藤代表が古くから付き合いのある台湾独立派と今も関係が良好なことにも神経をとがらせた。

 中国との関係を深める馬英九政権に対し、野党・民進党が「台湾の主権を犠牲にしている」と批判を強めていたことも重なり、斎藤代表の発言は主権を巡る台湾の根深い対立を再燃させた。馬英九政権の強硬な対応は、主権を巡る立場を明確にさせる意図が強く働いたとみられる。同時に、日本経済に対する期待感の低下で、台湾の軸足が確実に中国に傾いていることを物語る。

 日本政府は、1951年のサンフランシスコ講和条約で台湾の主権を放棄した後「台湾がどこに帰属しているか発言する立場にない」との姿勢を堅持しており、「未定」と断定した斎藤代表の発言はこれを逸脱していた(12/2 産経)のだそうです。
 辞表提出は、日本側政府の判断によるもので、実質の引責辞任とのことです。
 
 5月に起きた事件でしたが、当時、斎藤発言に馬総統は激怒し、斎藤氏更迭を要求するよう指示し、日本外交筋は「代表交代はあり得ない。正常化を働きかけているとしていた(7/6 朝日)のだそうですが、馬政権は面会謝絶で「早期の代表交代」を日本に促していたのでした。

 それが何故今頃引責辞任なのでしょうか?
 斎藤正樹代表は、李登輝氏や民進党との人脈が厚いのだそうで、それを惜しんだのか、それ故に、選挙前の大詰めで、親中の馬政権へ屈して発表したのか、「日米協調路線を基軸に中国と節度ある交流を行うべきだ」と鳩山政権誕生時に、李登輝氏から忠告された事や、中国がこの発言に怒っている事への眉中外交政権の総合判断の結論(結論を出すのが遅い政権なので)がでたのでしょうか。

  李登輝さん、鳩山政権に「対米中で堂々たる外交を」 : 政権交代 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 台湾の前回の統一地方選挙でIT不況の中、中国経済接近を唱える国民党が、与党民進党を逆転し政権獲得への道を歩み始めたのですが、今、その成果を問われようとしています。GDP 8.25%もの高成長を達成しているのであれば、楽勝で余裕のハズなのですが...?
 
 毎日の、台湾での日本の相対的地位が後退している象徴との指摘は含みが大きい言葉だと理解します。
 鳩山新政権は、離米・親アジア(東アジア)を唱えています。東アジアの自由主義諸国の中でもっとも中共の覇権の脅威にさらされ、併呑の危機に毎日直面しているのが台湾です。勇み足の発言があったにしろ(本音としては賛同しますが)、中共の圧力に台湾政権も、日本政府も屈している構図に見えるのですが、鳩山政権のアジア政策姿勢は、米には対等で、中共には隷属なのでしょうか?

 中共の中華思想による覇権拡大は着々と進行し、その進軍の足音が急速に四面に広がり、音色を強めてきていると感じます。日本は、中国の日米分断作戦により誕生した政権となってしまっているので、台湾のみなさんの中国一党独裁政治への併呑から逃れるお手伝いが出来なくなってしまっています。それは、台湾のみなさんの選挙の選択の結果でもありましょうし、やがては自分の国にも来ると知ってか知らずか、日本でも同じ坂道を転がり落ちる選択が進められつつあります。

 なんとか止める手立てはないものなのでしょうか?



↓ よろしかったら、お願いします。


 中国の戦略的海洋進出 続 中国の海洋戦略

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ゴッドマザー 鳩山安子 | トップ | 「ハトヤマは非常識」との評価 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

EEZ 全般」カテゴリの最新記事