ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

石炭は駄目って どうして?

2017-07-19 10:42:52 | 日記
いま電力会社は、石炭を燃料とする火力発電所の建設計画に取り組んでい
る。2016年に電力の小売が自由化されたため、電力会社が目先の(短期
的な)利益にこだわらざるを得なくなり、安価な燃料である石炭に目を向
け始めた結果である。

これに対して山本環境相は、毎日新聞のインタビューで、「(こうした日
本の動向は)世界の潮流に逆行しており、見識を疑う」と批判の矢を放っ
ている。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量の増大を懸
念しての(長期的な視野からの)批判である。有り体に言えば、「(地
球)環境(問題)よりも、経済(的動機)を優先する私企業の経営判断は、
けしからん!」ということである。

たしかに、石炭を燃やせば、(地球温暖化物質である)二酸化炭素(CO2)
を大量に排出することになるから、これは地球温暖化を懸念する立場からは、
見過ごせないデメリットである。

しかし、だからといって石炭による火力発電を断念すれば、どういうこと
になるのか。残された選択肢はただ一つ、原子力発電だけである。原子力
発電はゼロ・エミッションの代名詞でもあり、この選択肢をえらぶことに
は、何の問題もないように見える。

ところが、さにあらず。原子力発電はつねに大規模な事故を起こすリスク
を有し、この点で大きな問題をかかえている。いったん事故が起これば、
人体は重大な健康被害にさらされ、自然環境も回復不可能な放射能汚染を
こうむる恐れがある。おまけに、使用済みの核燃料をどうやって廃棄する
か、という問題もいまだ解決されていない。これも見過ごせない超長期的
な問題である。原子力発電を選ぶことは、地球環境よりも人命を重視する
立場から批判にさらされるだけでなく、環境問題にこだわる立場からも批
判にさらされることになる。環境相だからといって、単純に原発の旗振り
役になることはできないのだ。

山本某大臣が内閣改造によって仮に経産相に就任したとしても、彼は原発
推進派でいることはできないだろう。原発事故の対策費用を考えに入れれ
ば、原子力発電はとても経済合理性にかなったものとは言えない。原発か
ら火力発電へとシフトしつつある電力各社の経営判断こそ、経済合理性に
かなったものと言えるだろう。

山本環境相は、経産相に就任した暁には、石油火力発電の旗振り役にくら
替えするつもりだろうか。
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