私はなぜショーヘイが気になるのだろう。もっと言えば、なぜショーヘイは私の心をとらえるのか。
ショーヘイの所属球団ドジャースが韓国に遠征し、韓国代表チームと対戦(エキシビションマッチ)をした一昨夜、私はその模様をテレビ中継で見た。もちろん、お目当てはショーヘイのホームランである。残念ながら、ショーヘイは全打席ノーヒットに終わった。
それはともかく、ショーヘイは韓国でもえらい人気だという。あの韓国でこの人気とは、一体どういうことなのか。
はじめ私は、この現象の意味をあまり深くは考えていなかった。韓国では若者たちの間で、日本のマンガ・スラムダンクがけっこうな人気だと聞く。ショーヘイ人気も、これと同じレベルだろうと私は漠然と考えていた。シニア世代の(政治レベルの)反日感情と、ジュニア世代の(文化レベルの)親日感情は、全く別物だと、そう考えていた。
シニア世代の反日感情は、日本によるこの国の植民地統治と、その当時の屈辱的なつらい体験に根ざしている。このルサンチマン(怨恨感情)は、シニア世代で途切れ、ジュニア世代には受け継がれなかった。ジュニア世代は今、主に文化レベルで、日本に好感をいだいている。だからジュニア世代が韓国の政治の仕切り役になる近い将来には、日韓関係も好転するだろう。ーーそんなふうに私は漠然と考えていた。
けさの起きがけにスマホで朝日新聞の「紙面ビューアー」を開き、私が注目したのは、次のタイトルの記事である。
「反日感情、ショーヘイに抑え込まれた」
サブタイトルには、
「韓国のファンコミュニティー会長『小さな成功より夢貫く姿』魅了 」
とある。
以下は記事の本文である。
「ソウルで20~21日におこなわれる米大リーグのドジャースとパドレスの開幕シリーズを心待ちにしている人がいる。ドジャースの大谷翔平選手を応援する韓国のファンコミュニティー会長の李在益(イジェイク)さん(48)だ。李さんには、日本人の大谷選手を応援するまでに葛藤があった。」
ショーヘイの所属球団ドジャースが韓国に遠征し、韓国代表チームと対戦(エキシビションマッチ)をした一昨夜、私はその模様をテレビ中継で見た。もちろん、お目当てはショーヘイのホームランである。残念ながら、ショーヘイは全打席ノーヒットに終わった。
それはともかく、ショーヘイは韓国でもえらい人気だという。あの韓国でこの人気とは、一体どういうことなのか。
はじめ私は、この現象の意味をあまり深くは考えていなかった。韓国では若者たちの間で、日本のマンガ・スラムダンクがけっこうな人気だと聞く。ショーヘイ人気も、これと同じレベルだろうと私は漠然と考えていた。シニア世代の(政治レベルの)反日感情と、ジュニア世代の(文化レベルの)親日感情は、全く別物だと、そう考えていた。
シニア世代の反日感情は、日本によるこの国の植民地統治と、その当時の屈辱的なつらい体験に根ざしている。このルサンチマン(怨恨感情)は、シニア世代で途切れ、ジュニア世代には受け継がれなかった。ジュニア世代は今、主に文化レベルで、日本に好感をいだいている。だからジュニア世代が韓国の政治の仕切り役になる近い将来には、日韓関係も好転するだろう。ーーそんなふうに私は漠然と考えていた。
けさの起きがけにスマホで朝日新聞の「紙面ビューアー」を開き、私が注目したのは、次のタイトルの記事である。
「反日感情、ショーヘイに抑え込まれた」
サブタイトルには、
「韓国のファンコミュニティー会長『小さな成功より夢貫く姿』魅了 」
とある。
以下は記事の本文である。
「ソウルで20~21日におこなわれる米大リーグのドジャースとパドレスの開幕シリーズを心待ちにしている人がいる。ドジャースの大谷翔平選手を応援する韓国のファンコミュニティー会長の李在益(イジェイク)さん(48)だ。李さんには、日本人の大谷選手を応援するまでに葛藤があった。」
(朝日新聞3月20日)
李さんが心にかかえこんだ葛藤、それは、大谷を「(野球の日韓戦での)敵」として認識する心と、「(MLBでホームランを打つ大谷の姿に)魅了される」心との葛藤である。
この心の葛藤を、日本による植民地統治に由来するものと書かないのは、この記事がスポーツ欄のコラム記事だからだろう。
李さんが心にかかえこんだ葛藤、それは、大谷を「(野球の日韓戦での)敵」として認識する心と、「(MLBでホームランを打つ大谷の姿に)魅了される」心との葛藤である。
この心の葛藤を、日本による植民地統治に由来するものと書かないのは、この記事がスポーツ欄のコラム記事だからだろう。
それはともかく、李さんをこの心の葛藤から解放したのは、大谷の「小さな成功より夢貫く姿」だと記事は書く。記事によれば、李さんは「大谷選手が小さな成功を選ばず、自分の本当の夢(メジャーで二刀流)を貫き通した姿に、自分への恥ずかしさを覚えた」と語っている。
冒頭の問いに戻るが、なぜショーヘイは私の心をとらえるのか。私にとっては、それは、「メジャーで二刀流」という夢を貫くというより、右ひじのじん帯損傷というアクシデントにめげず、この挫折をいとも易々と乗り越えるその超人ぶりに魅入られた、とでも言えようか。
矛盾するようだが、韓国代表チームとの対戦で、全打席凡退に終わったショーヘイの姿に熱くなり、「ダメじゃないか、がんばれよショーヘイ!」と(偉そうに⁉)叱咤する自分がいることも否定できない。超人のドジ姿を見て優越感をいだく凡人、という何とも滑稽な図柄である。
冒頭の問いに戻るが、なぜショーヘイは私の心をとらえるのか。私にとっては、それは、「メジャーで二刀流」という夢を貫くというより、右ひじのじん帯損傷というアクシデントにめげず、この挫折をいとも易々と乗り越えるその超人ぶりに魅入られた、とでも言えようか。
矛盾するようだが、韓国代表チームとの対戦で、全打席凡退に終わったショーヘイの姿に熱くなり、「ダメじゃないか、がんばれよショーヘイ!」と(偉そうに⁉)叱咤する自分がいることも否定できない。超人のドジ姿を見て優越感をいだく凡人、という何とも滑稽な図柄である。