ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

聖都エルサレム

2017-12-08 12:00:57 | 日記
トランプ米大統領は「エルサレムをイスラエルの首都と公式に認める」と宣言
し、大使館をテルアビブから移転するよう指示した。これに対し、イスラエル
を除く各国の首脳から、一斉に批判や懸念の声があがっているという。中東情
勢がきな臭くなるのは必至で、この武器商人はどこまで戦争・紛争に飢えてい
るのか、という思いを深くする。

エルサレムをイスラエルの首都と公式に認めるとは、聖地エルサレムのイスラ
エルへの帰属を、国際社会に宣言することにほかならない。そうなれば、この
都市を己の聖地とするユダヤ教徒は大喜びだが、キリスト教徒やムスリム(イ
スラム教徒)も、同様にこの都市を己の聖地と見なしている。キリスト教徒や
ムスリム、とりわけ(ムスリムである)アラブ人たちの怒りは大きいだろう。

シオニズム運動を展開するユダヤ人と、アラブ・ナショナリストの間では、こ
れまで何度かにわたり、激しい戦闘が繰りひろげられてきた。聖都エルサレム
の帰属問題を棚上げする形で、このところ小康状態を保っていた中東情勢だが、
トランプ米大統領の今回の発言は、火薬庫に爆弾を投げ込む行為に等しい。

断っておけば、私はムスリムではない。だからアラブ寄りの立場で、今回のト
ランプ米大統領の宣言を批判しようとしているわけではない。むろんユダヤ教
徒でもない。だからイスラエル寄りの立場から、今回の宣言に支持を表明しよ
うとしているわけでもない。

長いスパンで歴史を見渡せば、ユダヤ民族は「バビロン捕囚」以来、1500年
近くも「亡国の民」として世界中をさまよってきた。彼らの望郷と建国への思
いはいかばかりだろうと思いを馳せ、シオニズム運動に共感をいだかないでも
ない。ーーけれども反面、パレスチナの地にユダヤ人たちがどかっと国家をか
まえ、「さあ、きょうからここは俺たちの国だ。あんたたちは出ていってくれ」
とやったのでは、パレスチナ人たちの苦境もいかばかりかと胸に迫り、「これ
で良いのだろうか?」と疑問も湧く。

今回のトランプ宣言は、商才に長けたアメリカ在住の裕福なユダヤ人たちが、
カネに飽かせて圧力をかけた結果だろうが、その彼らが第2次世界大戦のさな
か、ヒトラーの迫害の手を逃れ、アメリカに移住した人々だということも忘れ
ることはできない。

イスラエルにもパレスチナにも共感は相半ばし、半ばしか共感できない私は、
今回のトランプ宣言に、はっきりした態度で臨むことができない。この宣言に
対しては、英仏中ロの首脳が反対を表明したという情報がある(朝日新聞 12
月8日)一方で、「多くの国が米国に追随するだろう」とのネタニヤフ・イス
ラエル首相の見通しもある( NEWSWEEK 12月7日)。イスラエル首相の見
通しにはだいぶ身びいきが混じっているが、情勢は予断を許さない。中東とい
い、北朝鮮といい、武器商人トランプが関与する先々で、きな臭い霧がたちこ
めるのは一体どういうことなのか。先が読めず、頭を抱える天邪鬼の爺である。
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