ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

これは大事だ!

2016-06-05 14:36:38 | 日記
世間は欲望を持ち、欲望を充足するために、その嗅覚をとぎ澄
ます。探偵のようなその嗅覚は、何に向けられるのか。それ
は、大事(おおごと)を見つけ出すためである。東京都知事が
政治資金を私的に流用したとなれば、「これは大事(おおご
と)だ!」と騒ぎ立て、人気女性タレントが既婚の若手ボーカ
リストと密会していたとなれば、「これは大事だ!」と騒ぎ立
てる。世間はそんなふうにして「大事(おおごと)」を「他人
の不幸は蜜の味」とばかりに、創り出しては消費し、また創り
出しては消費し、そんなことで憂さを晴らしたり、暇をつぶし
たりするのである。

「大事(おおごと)」は嗅ぎつけるというよりも、正確には、
三文小説のように創り出されるものだということ、そのことを
よく知っているのは、芸能事務所に所属するアイドル志願の少
女たちだろう。酔いの勢いでアイドル・グループの少年と一晩
ホテルに泊まっただけで、「これは大事だ!」と週刊誌にス
クープ記事を流され、CMのメインキャストから降ろされてし
まうのだから、何でもない(はずの)アバンチュールがどれだ
け高いものにつくかを、彼女たちは身をもって知っているのだ。

「大事」は見つけ出すというよりも、創り出すものだ。だか
ら、「これは大事だ!」と目をつけた事件が、実は大事ではな
さそうだと分かれば、世間は代わりの事件を創作して、無理に
でも「大事」に仕立て上げる。

北海道北杜市の男児行方不明事件では、何度かの捜索が不調に
終わったとき、不発に終わったこの事件を、別の「大事」に仕
立てようとする動きが見られたようだ。国民的巨大掲示板「2
ちゃんねる」では、「(男児の)父親の説明が変わったのは、
明らかにおかしい。父親はもっと何かを隠しているのではない
か?」とか、「一週間、誰かが男児を保護していたに違いな
い。その人物は誰なのか?」といった書き込みがなされて、
「祭りのあと」の今でも賑わっているという。

「2ちゃんねる」は暇人たちが暇つぶしをする場所だから、こ
の掲示板の常連たちは、暇つぶしのネタを創作するのに余念が
ない。

でも、あれだね。私のように暇つぶしで始めた(はずの)ブロ
グ書きが、ネタの発見(というか創作)に行き詰まり、ストレ
スの原因になることもあるから、彼らだって新ネタの創作を楽
しめているとは思えないんだよね。

ともあれネタを提供してくれた朝日さん、マスゾエさん、ご協
力有難うございました。いろいろお世話になりました。

ブログだって消費されるだけの消耗品の一つにすぎないのだから、
ネタが見つからなければ、ジタバタしないで、更新を見送るのも
一つの手なんだけれどね。
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