最近、しきりに自分の原点を考えている。
生まれた時の原点ではなく、
自分の画業の原点です。
何故に画家になろうと思ったのか?
才能があると確信したからなのか?
そんな事はない。
私は幼い時、絵を習いに行かされた。
女性の画家さんの家に行って絵を描くのが、
とにかく楽しかった。
敗戦後、間もないその頃は社会全体が
今とは比べようがないほど貧しかった。
子どもの習い事は今のように盛んではなかった。
豊かでない、
ごく普通の庶民の我が家であったのに、
生母は私に絵を描かせた。
誰かれなく絵が上手いと褒められるのは、
気持の良いものだった。
しかし、
七歳の時に母と別れた後、
私は絵が描けなくなってしまった。
その10年後の17歳。
才能があるかどうかは分からないが、
ともかく画家になりたいと思うようになった。
絵はほとんど
描かなくなっていたのに、
いきなり画家になりたいと思った。
生計が成り立つかどうかを考えることもなく、
無謀にも画家になりたいと思ったわけです。
古希になった今だからこそ分かることがある。
17歳の時、
また絵を描きたいと痛切に思い始めたのは、
たぶん生母への思いだったことを。
若いその時分は、
そんな母への思慕なんて意識では否定していた。
現実問題として50歳で母と再会するまでは、
むしろ憎みさえしていたのですからね。
7歳で母と別れた後から、
埋めようもない心の中に空洞が生じていて、
その空洞を無意識にでも埋めるために、
母の思い出、かつて有った絆を取り戻すために、
また絵を描きたいと思ったのに違いない。
母と子の問題は根源的なもので、
幾つになっても深く尾をひいて心身に影響を及ぼすようだ。
ともかく画業の原点は、
このあたりにあるようです。
メインサイト『すずきゆきおの世界』
生まれた時の原点ではなく、
自分の画業の原点です。
何故に画家になろうと思ったのか?
才能があると確信したからなのか?
そんな事はない。
私は幼い時、絵を習いに行かされた。
女性の画家さんの家に行って絵を描くのが、
とにかく楽しかった。
敗戦後、間もないその頃は社会全体が
今とは比べようがないほど貧しかった。
子どもの習い事は今のように盛んではなかった。
豊かでない、
ごく普通の庶民の我が家であったのに、
生母は私に絵を描かせた。
誰かれなく絵が上手いと褒められるのは、
気持の良いものだった。
しかし、
七歳の時に母と別れた後、
私は絵が描けなくなってしまった。
その10年後の17歳。
才能があるかどうかは分からないが、
ともかく画家になりたいと思うようになった。
絵はほとんど
描かなくなっていたのに、
いきなり画家になりたいと思った。
生計が成り立つかどうかを考えることもなく、
無謀にも画家になりたいと思ったわけです。
古希になった今だからこそ分かることがある。
17歳の時、
また絵を描きたいと痛切に思い始めたのは、
たぶん生母への思いだったことを。
若いその時分は、
そんな母への思慕なんて意識では否定していた。
現実問題として50歳で母と再会するまでは、
むしろ憎みさえしていたのですからね。
7歳で母と別れた後から、
埋めようもない心の中に空洞が生じていて、
その空洞を無意識にでも埋めるために、
母の思い出、かつて有った絆を取り戻すために、
また絵を描きたいと思ったのに違いない。
母と子の問題は根源的なもので、
幾つになっても深く尾をひいて心身に影響を及ぼすようだ。
ともかく画業の原点は、
このあたりにあるようです。
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