■「ご聖断」の描き方についてのまとめと考察
1 二・二六事件の性質
《政権奪取(クーデター)をめざす、軍の一部による組織的な武力攻撃》であるこの重大事件を教えるのに、その行動の目的を書かないのはなぜ?
→△ 東京書籍・帝国書院・日本文教・学び舎。(※日本でも軍隊によるクーデターができる、ということを知らせたくないから…?)
2 二・二六事件の鎮圧命令者
軍隊は命令がなければ動か(け)ない=原則・常識。
この国家的重大事件に対処するために、(動かない軍上層部に代わって)天皇みずからが命令されたという極めてまれな事態。このことを書かない6社は、よほど《戦前の天皇のあり方》を教えたくないのだろう。
→△ 東京書籍・帝国書院・教育出版・日本文教・清水書院・学び舎。
3 「ポツダム宣言受諾のご聖断」についての本文記述
《数百万あるいは数千万の日本国民の命》がかかった重大決断。
国家存亡にまで関わるきわめて重大な国策を決定した人物が誰かを書かないなど、歴史書ではありえない。したがって、これは5社の明らかな編集意図を示している。
→× 東京書籍・帝国書院・教育出版・日本文教・清水書院。
4 御前会議での天皇のお言葉
同席者から伝わっている言葉 「自分がどうなろうとも国民の命を助けたい」(育鵬社資料)、あるいは、「みなの者は、この場合、私のことを心配してくれると思うが、私はどうなってもかまわない」(自由社資料)。
これは、日本皇室の伝統から出たお言葉でしょう(敗戦直後の占領者:GHQ代表であるマッカーサーにも同じことを言われた)。
かつてこのような元首(君主)は世界に何人おられたのでしょうか? 想像すれば涙が出そうになる(出る)日本人がかなりいらっしゃると思います。
~次回、昭和天皇:GHQ占領期~
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