やおよろずの神々の棲む国でⅡ

〝世界に貢献する誇りある日本″の実現を願いつつ、生きること、ことば、子育て、政治・経済などについて考えつづけます。

【中学歴史教科書8社を比べる】122 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その22 ④沖縄戦:Ⅴ 住民の描き方5 まとめと考察3/3>

2017年03月17日 | 中学歴史教科書8社を比べる(h28-令和2年度使用)

■まとめと考察2/3 ※まとめ表再掲

 

 

 

3 死因

 鎌倉時代の「元寇」以来、《国内で、外国軍に何万もの住民が巻き込まれて殺された戦闘》は沖縄戦だけ(空中戦のみの本土空襲と原爆を除いて)。しかもわずか70年ほど前の過酷なできごとであり、住民がどのように死んでいったのか、歴史の苦い教訓として、義務教育の中でしっかり国民に語り継がねばならない。

 

⑴ 死因別の死者数

 各社がどのように描いているのか評価するために、ウィキペディアによって《死因別の死者数》を調べた。※〈推定〉は、複数記事から松永が計算したもの。

 

A 【戦死】〈推定〉11万人

 8万2474人(軍人・軍属と準軍属の戦没者)はほぼ確実。それに、〈推定〉2万8000人(=③一般住民戦没数から、病死・餓死:約1万と処刑死:約1000を除いた数)を加える。対馬丸の児童などの船舶攻撃による死者は③に含まれている。

 ※死因は、米軍の爆撃・砲撃・銃撃・火炎放射・ガス攻撃、魚雷攻撃などによる死。軍人・軍属・準軍属だけでなく、戦場(になった地域)に居合わせた住民の「巻き込まれ死」も含む。

 

B 【病死、餓死】 1万人

 「地上戦域外での餓死者・病死者」。前記の「③一般住民=3万8754人(推定)」に含まれている。

 ◆マラリア病死 1万人 <ウィキペディア:戦争マラリア 2017.3.16>より 

「沖縄戦でのマラリア犠牲者数

  • 波照間島での犠牲者数は、全人口1511人に対して、488人であり(477人とする場合と500人とする場合がある)、死亡時期は1945年7月から1947年に渡っている。1945年8月初めから波照間島への引き揚げが行われたが、多くの人間がすでにマラリアに罹患しており、引き揚げ時には元気だった人や復員してきた人にも次々に伝染し、波照間島は有病地帯になってしまった。
  • 八重山諸島での犠牲者数は、八重山民政府衛生部発行の資料「1945年戦争における八重山群島のマラリアについて」(沖縄県史所収)によれば全人口3万1671人に対して3647人である。7月23日引き揚げが許されたが、9月一杯まで犠牲者は続いた。
  • 大田昌秀は「沖縄県史」第1巻の大城昭保論文を引用し、国頭(沖縄本島北部)一帯で1万名あまりがマラリアで死亡したとしている。」

 ◆餓死 人数不明

 マラリア発症と飢えは同時に起きたらしいので、数としては病死に含めることにする。

 

C 【日本軍による殺害】 1000人(それ以上との説もあり)

 主にスパイ容疑などでの処刑。ほとんど③一般住民に含まれている。

 

D 【自殺】 主に「集団自決」1000人(それ以上との説もあり) 

 ②準軍属」に含まれている。つまり、「援護法」の対象者ということ。

 ※「集団自決」については、次に独立項を立てて詳しく調べる。

 

 

⑵ 各社はどんな死因を記載しているか

 

戦死・病死餓死・日本軍が殺害・自決 ※上記A~Dすべて・・・(2社)帝国書院、日本文教

戦死・病死餓死・自決・・・(1)育鵬社

戦死・自決・・・(4)東京書籍、教育出版、清水書院、学び舎

戦死・・・(1)自由社

 

・全戦没者のうち戦死が圧倒的に多いのだから、各社共通は当然のこと。

特に気になるのは帝国書院と日本文教の描き方。
 明らかに、《日本軍は悪、沖縄県民は被害者》という構図に単純化され、かつ、過度に強調されている。

 現状の《地上波テレビや、朝日・毎日新聞と、ほとんどの地方新聞(※記事配信≒共同通信)の認識・論調》にとても似ていて、《日本人・日本国民としての一体感・帰属感や自覚をもった県民》の存在を無視している。

・集団自決や、(まちがった)処刑は無いほうがいいに決まっている。
 人数はそれぞれ約1000人と推定されており、県民戦没者約12万人の約1.7%。
 まことに痛ましいできごと。
 ただし、《スパイの処刑は世界中の戦場で普通に行われてきたこと》であることは知っておく必要がある。
 アメリカ兵に精神異常が続出したほど異常な状況になった沖縄戦。日本軍(人)による処刑が妥当だったのかどうか、今ではもうその真実は時のかなたにかすんでしまっているのだろうか…

 ※「集団自決」については、「日本軍の関与」に関して対立的な見解があるので、次回からくわしく調べることにする。

 

~次回、集団自決の描き方の問題点 ~

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