ⅲ まとめと考察 1/2
1 領土編入の経緯の描き方
「1895(明治28)年の編入」については、7社が正確に記述。育鵬社、自由社、東京書籍、帝国書院、日本文教の5社は、経緯についてていねいに説明している。
※このように《政治的事象で各社の足並みがかなりそろっている》のは、とてもめずらしい。そのなぞ解きをすると、
◆文科省の指導による・・・「中学校学習指導要領解説 社会編」(h20.7/26.1一部改訂) <p99(歴史的分野)>より引用する。
・「「領土の画定」では,ロシアとの領土の画定をはじめ,琉球の問題や北海道の開拓を扱う。その際,我が国が国際法上正当な根拠に基づき竹島,尖閣諸島を正式に領土に編入した経緯にも触れる。また,中国や朝鮮との外交も扱う。 」
つまり、この「解説」(規定)が、h26.1に示されたので、h27年度に8社が発行した「見本本(みほんぼん)」により採択されて、28年度(昨年度)から使われている現行教科書の記述の《足並みがそろった》のだ。
なお、今年話題になっている、次期の「中学校学習指導要領(案)」には、初めて、次のような新しい内容が示されている。
・「「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。その際,北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。」
<参考> 現行指導要領では、「領土の確定」に関しては次のようにしか書いていない。
・「イ イの「開国とその影響」については,アの欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。」
つまり、現在の中学歴史教科書の発行会社(の多く)に、《①すべての日本国民が常識として知っておくべき、かつ、②今後の日本の国策と密接に関係している歴史事象》をきちんと(=偏向せずに)書かせたいなら、《指導要領やその解説書や検定基準によって法的に強制しなければできそうにない》ということでしょう。
かなりなさけない状況だと思いませんか? (まともな日本人が作っているとは思えない)なさけない地上波テレビと同じように…
~次回、まとめと考察2/2~
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