Willow's Island

since 2005

日米は離間していくのか

2014年01月27日 23時12分05秒 | 時事

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014012702000135.html
 核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」を重視するオバマ米政権が日本政府に対し、冷戦時代に米国などが研究用として日本に提供した核物質プルトニウムの返還を求めていることが分かった。複数の日米両政府関係者が明らかにした。

 このプルトニウムは茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用の約三百キロ。高濃度で軍事利用に適した「兵器級プルトニウム」が大半を占め、単純計算で核兵器四十~五十発分に相当する。

 日本側ではこれまで「高速炉の研究に必要」と返還に反対する声も強かったが、米国の度重なる要求に折れて昨年から日米間で返還の可能性を探る協議が本格化している。米側は三月にオランダで開かれる「第三回核安全保障サミット」を機に返還合意をまとめたい考えだ。

 オバマ政権は核テロ阻止の観点から、兵器転用可能な核物質量の「最少化」を提唱。二〇一〇年に初の核安保サミットを主宰した前後から、東海村にある日本原子力研究開発機構のFCA用のプルトニウム三百三十一キロ(うち核分裂性は二百九十三キロ)を問題視し、日本に返還を求めてきた。

<以下略>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 これはあまり大きく報道されていないようだが、実はかなり重大な事件ではないかと思う。日米同盟がかつてないほど揺らいでいることを示すのではないか、と見られるからだ。
 数十年前に「提供」されたはずのプルトニウムを、なぜ今返さなければならないのか。アメリカが言う「核テロ阻止」という理由を、そのまま信用することができない。というのも、下のような記事もあったからだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

http://news.livedoor.com/article/detail/8424293/
 中国で先ごろ行われた使用済み核燃料の管理に関するシンポジウムで、専門家は「日本でプルトニウム10トンが貯蔵されているが、目的が不透明で、日本の意図は疑わしい」と指摘した。中国新聞網が9日伝えた。
 同専門家は、「プルトニウムの保管にはテロ攻撃や盗難の危険がつきまとう。日本が今後、さらに貯蔵することには経済上の理由が見当たらず、意図が疑わしい」と述べた。
 シンポジウムでは日本の使用済み核燃料の処理計画が核不拡散にマイナスの影響を与えるのではないか、とのテーマでも議論が行われた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つまり、中国は日本が核武装するのではないか、と疑っているのだ。中国が疑っているだけでなく、アメリカも同じように疑っているということである。アメリカとしては、右傾化し対外的に強硬になっていく日本が、いつかは核武装にまでエスカレートする事態を何としても避けたい、というところではないか。オバマ政権の日本への不信感が見て取れる。その上、ウォール・ストリート・ジャーナルによる非常に気になる記事もあった。この記事が本当であれば、オバマ政権もいよいよあからさまな内政干渉を始めた、ということになる。
 これら一連の出来事をまとめてみると、アメリカは日本を突き放し始めた、ということが明確に見えてくる。もともとオバマ政権は日本(特に安倍政権)に冷淡であったが、最近になって決定的な姿勢となった。これはおそらく、安倍総理の靖国参拝がきっかけとなっている。オバマ政権の安倍総理への本音は、実は「失望」よりもはるかに悪いものだったのかもしれない。
 確かに安倍総理の外交姿勢は、最近になってやや危うい面も見えてきた。例えばダボス会議でも、第一次世界大戦時の英独を例に出す、というのは不穏当だと思われてもやむをえない。たとえ「あのようになってはいけない」と言ったとしても、現代において日中が戦争になる可能性がある、と言っていることに等しいからだ。首脳としてはあまりにも慎重さに欠けている。手嶋龍一も言っていたが、あの時は「日本から戦争をしかけることなど無い」と明言すべきだったのだ。
 以前書いたことを繰り返すが、靖国参拝後の釈明においても、「いわゆる戦犯とされた人物を敬う気持ちは毛頭ない」と断言すべきだった。たとえ、自分の祖父がかつてA級戦犯とされた岸信介であったとしても、だ。これらのことが言えないのなら、アメリカ及び他の民主主義国から疑念の目で見られても仕方がない。
 しかし、オバマ政権のアメリカは、もっと愚かである。日本を突き放すことにより日米が離間し、その結果喜ぶのはどこの国か。言うまでもなく、中国だ。中国は絶対に、この隙を突いてくる。増長した中国がとる行動はといえば、尖閣へのより強硬な軍事的圧力だ。日米離間こそが、東アジアの情勢をますます不安定にするのである。オバマは本当にそんなことも分からないのだろうか?