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靖国神社参拝を外交問題にしないためには

2014年01月13日 21時54分39秒 | 時事

http://news.tbs.co.jp/20140111/newseye/tbs_newseye2100274.html
 中国の崔天凱・駐米大使は10日付けのワシントン・ポスト紙に「危険な参拝」と題する意見記事を寄稿し、安倍総理の靖国参拝で「中国やアジアの人々を不安にさせた」とし「対話の扉を閉ざした」と非難しました。

 また、靖国神社は、「戦中の日本の軍国主義の象徴」とし、戦争犯罪にどう向き合うかを日本の政府は靖国神社に対する態度で試されていると強調。 安倍総理が東アジアを世界経済の成長原動力にしようとする努力を「脅かしている」と痛烈に批判しています。

 安倍総理の靖国参拝を巡っては、イギリスのデイリー・テレグラフ紙にも駐英中国大使が記事を寄せていて、欧米の有力紙に中国側の立場への理解を求める寄稿が相次いでいます。(11日17:28)

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 中国が靖国参拝を非難するのは共産党の立場を守るためにそうしているだけであり、もちろん「中国人を不安にさせた」ためではない。そんなに不安にさせたくなければ、誰が靖国を参拝しようが、大騒ぎしなければいいだけのことだ。大騒ぎしているのは、中国共産党及びその意向を受けた中国メディアである。黙っていれば、「中国人民」とやらが「不安」になることもなかろう。(^^) 要するに対日本用の有効な外交カードとしてフル活用している、ということだ。韓国に至っては、その中国の尻馬に乗って、自国を少しでも有利な立場にしようと立ち回っているだけである。まともに相手をしてやる必要は、完全にゼロだ。
 とはいえ、首相による靖国参拝は、事実上外交問題になってしまっている。アメリカまでが「失望」を表明したため、日本は外務副大臣が説明をするため、わざわざアメリカへ出かける羽目になったらしい。また、上の記事にあるように、中国は世界各国で日本の立場を陥れるため、必死になって世論戦を展開している。これに対して日本は防戦一方、という立場である。残念であるが、結果として靖国参拝は、中国に対して付け入る隙を与えてしまった、ということになりそうである。
 日本としては、靖国などが外交問題となることを何としても防ぐべきだ。そのためには、中国の主張することがいかに見当外れであり、靖国参拝の意図がいかに正当なものであるか、国際社会にうまく説明できなければならない。
 現時点で安倍首相及び外務省は、「平和を祈るために参拝した」とだけ説明している。小泉元首相も同じことを言っていた。しかしこの説明一辺倒では、中国側の主張とかみ合っていないように見える。中国が言っているのは、いわゆる「A級戦犯」が祀られているから、それを参拝することがけしからん、ということなのである。韓国などが言っていることも同じだ。
 であれば、日本の首脳としては戦没者を追悼しているだけであり、いわゆる「A級戦犯」とされた指導者層を崇拝しているわけでもなんでもない、ということが明確に分かるようになればよいのだ。東京裁判がいかに不当な「報復劇」に過ぎなかったとはいえ、そこで処刑された者たちは「戦没者」とまではいえない。戦没者でない者を追悼する必要はないわけである。であるから、安倍首相が自ら「いわゆるA級戦犯とされた者たちを追悼する気は、まったくない。いわゆるA級戦犯が合祀されているからといって、国家の指導者としては他の戦没者を無視し、追悼しない、というわけにはいかない。」と言明すればよい。この言い方が最も分かりやすいだろうと思う。中国への反論としても筋が通っている。いわゆる「A級戦犯」を分祀できないというのであれば、こう言うしかないと思う。
 もし上のように言うことができないというのであれば、残念だが世論戦で中国に勝つことは厳しいと思われる。現実問題として、現在の国際社会は第二次世界大戦の戦勝国が仕組みを作っているからである。日本のみがその枠組みから外れることはできないし、もし外れてしまえば、日本の国益を途方も無く大きく損なうことになってしまう。