宇田川敬介氏の「韓国人知日派の言い分」という本を読んだ。最近よく出ている韓国本と違うのは、最終章において「韓国人の言い分」を載せている点だ。これがなかなか面白い。
中でも、韓国のある大手新聞の論説委員が、自国の本質について語っていたことが印象に残った。今まで韓国について不思議に感じていたことの多くが、これによって「ああ、そういうことか」と納得できた。これは貴重な視点である。
かなり長いが、その論説委員が語っていたこと(p235~p237)を以下に引用する。(赤字は私)
「現在までの百年、またはそれ以前の歴史を含めて、いま生きている日本人のほとんどが、あの時は良かったと思える時代があり、それを原点として再現しようと試みたり、あるいはそれを超えようとする基準点を過去に持つことができる。しかし、韓国人にはそれがないのです」
ここでいったん言葉を切り、新聞論説委員はさらに続けた。
「韓国は、ここ百年の歴史を振り返っても、国民がすべて団結したことがありません。清国を宗主国としていましたが、自立の希望はなかったし、常に貢物を持参して指示に従わなければならなかった。清国が周辺国の中で最強ならそれでも済んでいましたが、阿片戦争で弱体化し、ロシアが北から迫ってきても守ってくれなくなり、国内が二つに割れてしまいました。その時、清国と日本が介入し、韓国の領土内で戦争を始めます。その後、日本の植民地になり、経済的、人口的には発展しましたが、他国の天皇の下につかなければならず、それまでのように、朝貢しながらも一応独立していたという状態も失われました。日本の統治が終わっても韓国は一つの国になることができず、韓半島戦争に突入し、同じ民族同士で殺し合いをした。結局、60年以上も統一できず、戦争状態のままです。国民は貧しく、軍事政権下の緊張の中で経済発展を目指しつつも、なかなか暮らしは楽にならず、やっと民主政権ができたら今度は国家破綻し、IMF管理となる。その後もアメリカと中国、日本の間に挟まれて、いいところが全然ない。これが韓国の真実の歴史なのです」
中国共産党政権も似たような事情で、抗日戦争が唯一の「国民が団結した」歴史だと宣伝しているのだろうが、少しでも実際に戦った分だけ、韓国よりもましというべきか。いずれにせよ、このような歴史が、日韓両国の国民性に大きな傷を与えてしまっているというのだ。
「だから韓国人には、『あの時代に戻りたい』ところが全然ない。これはここ百年の近・現代史のみならず、韓半島で歴史が記録されるようになって以降、常にそうした状態で過ごしてきたのです。ここから、国民性として、古いものを忌み嫌い、いつも新しいものを求める性質が作られた。民主化以降の韓国大統領選挙の公約を見れば、すべて新規または変革というスローガンを掲げています。国民の変革の意識が行き過ぎれば金大中や盧武鉉が大統領に選ばれ、朴槿惠大統領も、未来志向という言葉を入れています。為政者は常に変革を志向して、辛くて暗い過去に戻らないよう約束しなければ、韓国人は新しい希望を持つことができないのです」