映画とライフデザイン

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エリザベス  ケイトブランシェット

2011-06-26 17:48:36 | 映画(洋画 99年以前)
映画「エリザベス」は16世紀のイングランド女王エリザベス一世の女王創成期を描く。英国国教会を築いたヘンリー8世と、侍女アン・ブーリンとの間に生まれたエリザベスが女王になる時から、独身を決意して統治にあたろうとする姿を描く。ケイトブランシェットが好演、それを芸達者のジェフリーラッシュや「恋におちたシェイクスピア」で好演したジョセフファインズが支える。ヘンリ8世の離婚問題があるだけに世界史の中でもおもしろい場面で、何度も取り上げられてきた題材だ。



16世紀の英国史を振り返る。1534年自身の離婚問題でローマ教皇との関係が悪くなり、ヘンリ8世は首長法を発令して、自らイギリス国教会の首長を宣言した。カトリックから独立したのだ。1517年のマルティンルターの「九十五カ条の論題」以降プロテスタントの動きが欧州で活発になっていた。しかし、ヘンリ8世死去以降のイギリスではなおも旧教・カトリックと新教・プロテスタントの勢力争いは続いていた。
そして映画は1554年に始まる。ヘンリ8世の子である女王メアリー1世はカトリックを復活しプロテスタントを弾圧した。スペイン王であるフェリペ2世と結婚したにもかかわらず彼と会う機会はめったになかった。ヒステリックになっていた。
一方でヘンリ8世が侍女アン・ブーリンに産ませたエリザベスことケイト・ブランジェットは異母姉妹のメアリ1世にいじめられていた。ロンドン塔に投獄されてしまう。メアリー1世はフェリペ2世との子ができたのでは?と想像妊娠をするが、結局は子宮の病気だった。そのまま他界した。1558年、エリザベスに王位が継承される。新しい女王に、フランスのアンジュー公やスペイン王との結婚話が持ち上がる。エリザベスは恋人のロバートことジョセフ・ファインズと逢い引きを重ねていた。国内の財政は苦しく、スコットランドとの戦争にも敗れたイングランドの状態はよくなかった。エリザベスは新教派の重鎮ことジェフリー・ラッシュを味方につけ、国を新教に統一することを決定した。これを怒ったローマ法王は英国に密使を送るが。。。。

視線をいろんな人物におきながら、16世紀のイギリスは題材になっている。ナタリーポートマンがエリザベスの母であるヘンリ8世の侍女アンブーリンを演じた映画はまだ最近の話だ。

トマスモアをメインにしたオスカー作品「わが命つきるとも」もある。「エリザベス」では父ヘンリ8世は出てこない。彼が亡くなった後という前提で、エドワード6世も出てこない。メアリー1世の王位時代から描かれる。メアリ1世はここではまさに嫌な女として描かれる。政略結婚でスペインのフェリペ2世と一緒になったにもかかわらず、年下の彼は別の女に手を出してメアリ1世の前には姿を現さない。メアリはかわいそうな存在ではあるが、ここではいじめ役として描かれる。
エリザベスは新教徒として異端な身で、あやうく処刑になりそうになる。そういう深刻な場面もあるが、どちらかというと自由奔放な存在だったエリザベスを描いている。そこがいい。それを描くためか恋人にジョセフファインズを持ってきたのは適切だったろう。軟派の匂いがする彼を持ってきたことで、色彩が柔らかくなる。「恋におちたシェイクスピア」と同じ効果だ。
同時にフランスのアンジュー公の軟派ぶりも見モノだ。

おもしろい題材であるが、どうしても近世までの映画はタッチが暗くなる。まだ暗黒の中世から抜けきっていない。争い事すべてに宗教がからんでくる。いやな時代だ。

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