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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「博奕打ち 総長賭博」 鶴田浩二

2014-01-25 05:51:20 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「総長賭博」は東映やくざ映画でも名作の誉れが高い1968年の映画である。

「仁義なき戦い」笠原和夫による脚本を陸軍上がりの山下耕作が監督する。
当初は客入りも悪く、2人は東映の岡田撮影所長(のち社長)から絞られたそうだ。ところが、三島由紀夫がこの作品を絶賛する。当時はヤクザ映画への評価は低いころだった。一転注目を浴びるようになる。


鶴田浩二を初めて知ったのは小学生の高学年のときだ。当時ヒットチャートマニアになりつつあった自分は、毎週トップ10を確認していた。ポップスが主流のときに、ヤクザと思しき和服を着た男が耳に手を当て歌う姿が何かいやだった。何でこんな歌ヒットするの?と思っていたが、トップ10にはずいぶん長くとどまっていた。「傷だらけの人生」である。その頃の自分には鶴田浩二の良さは全くわからなかった。その後も彼を好きになったことはなかった。

ところが、映画を数多く見るようになるとヤクザ映画にたどり着く。その手の類に無縁な自分が鶴田浩二の男っぷりのよさにドッキリしてしまった。その映画が「博奕打ち 総長賭博」である。総長賭博とはいうものの博打の現場をずっと映すわけではない。任侠道の筋を通す通さないの話が続く。


昭和9年、天龍一家の親分荒川が脳溢血で倒れる。跡目を決めるために幹部が集まり、そこで中井(鶴田浩二)が推薦される。中井は自分は元々よそ者だといい、生え抜きの兄弟分で服役中の松田(若山富三郎)を推した。しかし、松田の出所まで待たねばならない。そこで組長の舎弟である仙波(金子信雄)は弟分の石戸(名和宏)を跡目に決定させる。一家では全国の親分集が集まる花会に準備にかかっていた。そこでお披露目ということになる。中井は石戸の跡目昇進には不満が残ったが、幹部が集まって決まったことは従うしかないと受け入れた。

時期が来て、松田が出所することになった。中井は松田組の組衆とともに出迎えに行った。中井は石戸に親分が決まったことを伝えた。松田は予想外の話に憤慨する。松田が出所した天龍一家の幹部への挨拶で、松田は不満をぶつけ、跡目の石戸に反逆する。中井は説得するために松田に会いに行く、今にも殴りこみに出ようとする松田を自分の顔を立ててくれと説得する。
松田はしぶしぶ応じた。ところが、松田組の若い衆が石戸の元へ夜襲をかける。石戸の若い衆は憤慨して、松田の元へ殴り込みをかけようとするが。。。。


鶴田浩二のセリフが冴える。
「一家として決まったことをのむのが、渡世人の仁義だ。白いもんでも黒いと云わなくちゃならねぇ。それぐらいのこと知らねぇ、おめぇじゃねぇだろう」
ビジネスの世界ではよくある話、会社の方針が気に入らなくても受け入れねばならないことがある。
自民党の郵政民営化を反対した議員が冷や飯をくった事件が記憶に新しい。
今回は跡目の決定について、思惑とちがったが、受け入れざるを得ない状態だ。

「こんなちっぽけな盃のために、男の意地を捨てなきゃならねぇのかい」
兄弟の杯だ。その盃を残しているのである。

「これがおめえと五分の盃を交わした兄弟の盃だ。おめぇがどうしてもドスをひかねぇってんなら、俺はこいつをここで叩き割って、おめぇの向こう口に廻るぜ。俺の任侠道は、それしかねぇ」

鶴田浩二は上層部の決定が気に入らないので殴りこみをかけようとする若山富三郎に向ってこのように言うのだ。
そこまで兄弟分に言われればといったん若山富三郎は方針を受け入れるのであるが。。。


こんなセリフ、鶴田浩二が言うからかっこいい。
韓国の新しいヤクザ映画「悪いやつら」を見た。いいと思うけど、背筋に電流は走らない。
この映画は鶴田浩二の男っぷりに感動するのだ。それだけではない。若山富三郎も迫力があっていいし、この2人を切り返しショットで片方だけを映すのではなく、一緒に撮る。しかも長回し、そこにはとんでもない緊迫感が走る。

金子信雄は「仁義なき戦い」で見せるのと同じようないい加減な親分ぶり、お姫様女優桜町弘子の姉さんぶりが感動を呼ぶ。
確かに傑作だ。

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