映画とライフデザイン

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グッバイ・レーニン 

2012-03-02 21:10:59 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
「グッバイ・レーニン」はドイツ映画、1989年のベルリンの壁崩壊前後の東ドイツに焦点をあてる。社会主義国家の崩壊とそれに伴って、すべての価値観が変わるのに戸惑う人たちを描く。映画のタッチはやさしさに満ち溢れている。


1989年10月ベルリンの壁崩壊直前の東ベルリンが舞台、主人公アレックス(ダニエル・ブリュール)は教員の母親と一緒に暮らしていた。父親は西ドイツに亡命をしていた。そのため母親は普通以上に東ドイツの社会主義体制を崇拝し、思想活動にはまっていた。東ドイツ建国40周年を祝う式典の夜、主人公は改革を求めるデモ行進に参加し、機動隊に捕らえられようとしていた。その姿を目撃した愛国主義者の母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)はショックで心臓発作を起こし、倒れた。生命の危機は脱したが、昏睡状態に陥ってしまう。

8カ月後彼女が奇跡的に意識を取り戻した。そのころは旧体制は崩壊して、西ドイツとの統一が進んでいた。主人公はまたショックを与えると命取りになると医者から忠告された。母を自宅に引き取って、東ドイツの体制がずっと続いているふりを装う。テレビが観たいという母の要望には、映画オタクの友人と偽のニュース番組を作って応える。ビルにコカ・コーラの垂れ幕がかけられ、国営の食料品店が大手スーパーに姿を変えていく中、東ドイツ製のものを探し求めて主人公はベルリンの町を走り回るが。。。。

映画が始まって約25分程度出演者のプロフィルと時代背景をカット割りを多くしてわかりやすく説明する。コーエン兄弟の映画やフランス映画「アメリ」と似たようなタッチだ。こういう手法って割と好きだ。

映像は鮮明でなくぼやけた感じにしている。旧東ドイツをどんくさく映すためだろう。西ドイツと統合したあとに、スーパーがアカ抜けたものになり、今まで買えた物が買えなくなる。そういう風刺の仕方がうまい。母親の大好物の東ドイツ製のピクルスが体制が代わって手に入らなくなり、探そうと右往左往する姿は滑稽だ。そういう姿を優しい音楽が包む。


上の体制が180度代わって右往左往するのは日本も戦後経験したことだ。軍国主義もあれはあれで極端だけど、左翼系の極端な動きや学生運動の高まりも妙な感じだ。今も某左翼系新聞の異常な論調に引きずられて国民がだまされている印象が強い。困ったものだ。
北朝鮮は今回あまりの食料困難に核兵器に対しての姿勢を変化させた。いずれそうなるのかはわからないが、国家が破綻して、韓国と合同するようになれば、映画とまったく同じようなことが起きる可能性がある。

ドイツ民族って賢い。2次大戦後ソビエトによって東側のみ社会主義体制に代わった。完全なる押し付けの社会主義を戦後40年で解消した。そして市場経済に代わったおかげで、ユーロ圏で一番の影響力を発揮している。何よりも驚くのは現首相のメルケル女史が東ドイツ出身であるということだ。最初それを知ったときには本当に驚いた。ドイツ人の寛容性に感心し、東西統一のシナジー効果を求めて、過去のしがらみにこだわらない姿をすばらしいと思った。


主人公のやさしさがいじらしい。社会主義を崇拝する愛国主義者の母親を心配させないように右往左往する。遺物となった旧東ドイツの製品を探してゴミ箱まで探す。ちょっといやらしい感じもしないわけではない。でも彼の気持ちはよくわかる。本当にいい男だ。
若い女の人には彼の厚情をマザコンという人もいるかもしれない。でもそれはちがう。母親への愛情をもつことはすばらしいことだ。女性って本当に身勝手だ。母親と仲のいい青年たちをマザコンといいながらも、自分が男の子の母親になったらマザコンの母親になる。しかも当然というような顔をしてね。
これだから女性心理はよくわからない。

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