TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

茅ヶ岳

2012-11-12 | 写真日記

深田久弥氏終焉の地として知られる茅ヶ岳は、八ヶ岳によく似た山容から
「ニセ八つ」との呼び名もあって、いまでは人気の山らしい。

どこの山に行くか決まらずに自宅を出発。とりあえず中央道を走りながら、どの山へ
登ろうかと考え、登山口が韮崎ICから10分くらいと近く、短時間で登れる茅ヶ岳にした。
9時ちょうどに駐車場に到着。広い駐車場の端っこに並んでいるクルマは5台。
その横へとめて支度を整えていると、クルマが2台やってきて、さらにタクシーで来た
女性とで登山口には6名、平日にしてはそこそこの賑わい。
(韮崎駅からここまで、タクシーの運賃¥3,000と聞いて、うわ~っ…)
おはようございます、支度中のおばさまに挨拶をすると、あらまぁ、独りで登るの?
クマにでも遭ったらどうするの?そう言われ、あわててザックの熊鈴をチェック。

 いくつかある茅ヶ岳のコースで、
いちばんポピュラーな女岩を経由して山頂へ登り、帰りは尾根道を下ることにする。

 

単独行の女性がさっさか出発 
そのあとにつづいて歩きだすも、のんびり歩いてるうちに女性の姿は見えなくなった。
樹林の中の平坦な道を行くと、林道・前山大明神線に突き当たり、林道を横切って
山道はつづく。いささかうんざりするような薄暗い樹林がつづく。

 

   

やがて女岩に着くと、岩の手前に立ち入り禁止のロープが張られ、落石で危険なため
女岩には近づかないようにと注意書きがある。(わかりにくいけど、左の画像で木の間の
奥にこんもり見えている岩が女岩) 登山道はロープがかけられた岩ゴロの坂を登っていく。

 

 女岩からは広葉樹林となり
道がやや不明瞭な部分もあるが、このあたりから紅葉が美しく、何度も立ち止まる。

 

 

色づくカエデ 

 

勾配のきつい道をジグザグに登っていくと、やがて道は茅ヶ岳と敷島方向に分かれる。
やがて茅ヶ岳山頂が見えるようになり、

 深田氏が急逝された地点に着く。
石碑の向こうには金峰山が望めるのだが、あいにく雲がかかっている。
深田記念公園にある案内板によると、深田氏は親しい山仲間とともに昭和46年
3月21日に茅ヶ岳を訪れ、山頂まであと一息のこの場所で脳溢血で亡くなられた。

「この辺りはイワカガミが咲いてきれいです」との仲間の言葉に、すっかり喜び、
「そうですか」とうなずいたのが最後だったという。

案内板には深田氏最期の様子がこう記されているのを読んで、
山が好きな者にとっては理想的な死に方だと、うらやましく思った。

ここからはやせ尾根の急な登りを山頂へ向かう。

展望のきくところもあって、正面に曲岳? 雲で隠れている奥の山が金峰山らしい。

 

後ろを振りかえると、登ってきたあたりの紅葉がとてもきれい

途中でコースを外れ、細い踏み跡を辿ってしまったことに後で気づく。
ツツジの枝を避けながら進んでいくと、前方に枝の間を飛び回っている小鳥がいる。
立ち止まりそっと見ると、尾羽のブルーから、ルリビタキの♀のようだ。
カメラをかまえるが、彼女は枝から枝へとせわしなく飛び移り、なかなかじっとしてくれない(・・;)。

かまわずにエイッとシャッターを 
押してみたら、ブレブレだけどなんとかかわいい姿が一枚撮れた。
飛び立とうとしている瞬間だったみたい。

道を間違えたものの、ルリビタキに会えてよかった(^^)v
正しい道に出て一登りしたら山頂に着いた。

 1704m茅ヶ岳山頂
誰もいない山頂だったが、しばらくして駐車場でお会いしたご夫婦連れと、金ヶ岳から
戻られた男性二人がやってきた。このくらいがゆったりできるちょうどいい人数。

 

雲が多く眺望はいまいち、
富士山はうっすらとあたまだけがかろうじて見える。

 

  

標柱が2本、どうしてかな?と思ったら、標柱の後ろ側に新聞記事がくくりつけられていた。
山梨百名山 茅ヶ岳の標柱は、何者かによって再三抜き捨てられたり破壊されたりして、
そのたびごとにボランティアのかたが修復、設置を繰り返しているとのことだ。
標柱や補修用のセメント50㎏を背負って山を登る写真もあり、そのご苦労に頭が下がる。
1997年に設置された標柱が抜き去られ、その後新たに標柱を設置したが、これも抜かれて
再設置すると、こんどは「茅」の文字が削り取られて修復、その後にまた切断破棄され、このときは
鉄筋3本を入れてつなげ再設置。ところがまたもや標柱は鉄筋ごと折り曲げられて破棄された。
これを修復し、山頂付近で見つかった初代標柱とともに設置、山頂にある2本の標柱には
こうしたいきさつがある。 このように何度となく執拗に繰り返される破壊行為に対し、設置側は
その行為に及ぶ理由をお聞かせくださいと記事は結んでいる。
標柱に何かよほど深い恨みでもあるのか、その理由なり原因を考えるにも想像がつかない。
ときとして人間のすることは不可解で迷惑きわまりない。
見張っているわけにもいかない山の上のこと、困ったものだ。

 

下山は山頂から南に延びる市界尾根を下る。

   

陽射しがいっぱいに射し込む尾根道は、登ってきた道より明るくて気持ちいい。

 

   

美しい紫色の葉や、主張しすぎないふんわり赤い実にシックな色づかいの葉、
秋の彩を楽しみながら下る山道。

 

斜度のきつい尾根道が一旦ゆるやかになって、やわらかな光があふれる。
おだやかな秋の陽射しにつつまれて、ほんわか幸せ気分


 

  

登山道沿いには野菊やトリカブト、

 リンドウの花が咲き、

  

午後の陽射しをいっぱいに浴びて、鮮やかな配色が目立つのはクサギの実。

女岩経由で登る谷間の道より、傾斜はきついけどこっちの市界尾根の方が明るく、
季節によっては花も多くてよさそうだ。

あっちこっちと花や実を観察していると、山頂でお会いした男性二人が下りてきた。
一緒になって駐車場へ向かい、途中にある深田記念公園へ寄る。

  

『百の頂に 百の喜びがある』 深田久弥氏の名言が刻まれた記念碑。
まさに共感を覚える氏の言葉、高い山も低い山も、山頂に立ったときの喜びは変わりなく
苦しい登りを経て立つ頂はことさら感動も大きい。

 氏の生い立ちと終焉の地となった茅ヶ岳での
当時のいきさつなどが記されている。 例年4月下旬の日曜日には深田祭が地元有志に
よって開催され、碑前祭、茅ヶ岳登山などが行われているそうだ。

 

駐車場にもどると、朝にはなかった 
無人売店にぶどうとジャムが並べられていた。
ぶどうは試食用も添えられていて、食べてみるとかなり甘い。
ぶどう、ジャムともに価格は¥300とリーズナブル ジャムは巨峰とデラウェアの2種類。
6個あったジャムは、わぁ、安い!と3人で買占め、ソク完売。

お二人のかたとしばし雑談を交わし、またどこかでお会いしましょうと言い合って駐車場を出る。
あたたかな秋の一日を過ごせた茅ヶ岳、また季節を変えて来てみたい。

 

 

 家に帰って食べてみたところ、手作り感たっぷりのジャムは、
やわらかな粒のぶどうにとろんとした食感で甘さも控えめ。手作りならではの美味しさで、
とてもお買い得な一品だった。ぶどう、ジャムともに丁寧にラッピングされ、かつ素朴ながらも
きれいにディスプレイされていたところなどからも、作り手の誠実さが覗える。
どんなかたが作っているのかなぁ~