金曜日、仕事中にスマホが鳴って、誰かなと思ったら父の弟からだった。
廊下にでて、「もしもし」と出ると、
「千鶴ちゃん? おじさんだよ」
まるで小学生のころに戻ったよう。父は7人兄弟の5番目で、そのHおじさんは7番目の末っ子。父も叔父さんも田舎から大阪へでてきていたので、兄弟のなかでも仲良しのふたりだった。仕事でシカゴに住んでいたり、香港にいたこともあって、両親、妹夫婦、私と夫と息子というフルメンバーで香港に遊びに行ったこともあった。
Hおじさんはいつまでも若いイメージがあるのだけど、もう80歳を超えたという。ひゃー。
そりゃあ父が今年88歳だから、そんなものだろうけど。叔母さんの体調がよくなくて、買い物や洗濯など家事を担っているらしい。すごいなぁ。
私の両親が揃って特養に入所したと言ったら、6月のはじめに会いに来ると言う話になっていて、今回の電話は到着時間を知らせる電話だった。
80歳を過ぎているとは思えないほど、しっかりしていて、難波から乗り換えだったよねとか、よく覚えている。80歳を過ぎて千葉からひとりで大阪へやってくるだけでもすごいなぁと思っていたら、松江や山口へ行くことを思えば大阪なんて近いよ、と笑っていた。松江は父と叔父の実家、山口は亡くなった伯母の家のあるところ。まぁ、そりゃあそうだけど。
「いっしょにお昼を食べよう。おじさんがごちそうするから」
「いえいえ、遠くから来てもらうんだからこっちでごちそうしますよ」といったら、
「大丈夫。お金はある(笑)」
「まぁ、実家の周辺にそんな高級料理店もないですけど(笑)」
ほんの、3分くらいの会話だったけれど、やっぱりHおじさんはかっこいいなと思った。
木曜日は京都平日歌会でこんな歌を出した。
・お守りのように近くて遠い父母すりがらすには夏が揺れてる 藤田千鶴
いい歳をして親に依存しているというか甘えているとか、両親に守ってもらったことがないから共感できない、とかいろいろコメントをもらって、そうかぁ、そうなのかなぁと思った。
そして、きのうの神楽岡歌会には
・蒸したてのあんまんみたいな男の子脱衣室にて微笑みくれる
という歌をだして、16名参加で1票だった。「微笑みくれる」が普通すぎるということ。
はたとここで気づいた。88歳の兄に会いに80歳すぎの弟が関東から会いにやってくる、やっぱりうちの家系は家族同士の距離がかなり近いのかもしれない。
歌には翳りとか何かしら謎とか不安とかがあるほうがいいんだなぁと思いながら、こういうときにいつも思い出すのは河野裕子さんの歌。
・良妻であること何で悪かろか日向の赤まま扱きて歩む 河野裕子
そうだそうだ。家族が仲良しで何で悪かろか、そういう家族の中で生きてきたものにはそういう生き方しかないんだもの。と、ひらきなおって生きる。私は日向を歩いていく。
廊下にでて、「もしもし」と出ると、
「千鶴ちゃん? おじさんだよ」
まるで小学生のころに戻ったよう。父は7人兄弟の5番目で、そのHおじさんは7番目の末っ子。父も叔父さんも田舎から大阪へでてきていたので、兄弟のなかでも仲良しのふたりだった。仕事でシカゴに住んでいたり、香港にいたこともあって、両親、妹夫婦、私と夫と息子というフルメンバーで香港に遊びに行ったこともあった。
Hおじさんはいつまでも若いイメージがあるのだけど、もう80歳を超えたという。ひゃー。
そりゃあ父が今年88歳だから、そんなものだろうけど。叔母さんの体調がよくなくて、買い物や洗濯など家事を担っているらしい。すごいなぁ。
私の両親が揃って特養に入所したと言ったら、6月のはじめに会いに来ると言う話になっていて、今回の電話は到着時間を知らせる電話だった。
80歳を過ぎているとは思えないほど、しっかりしていて、難波から乗り換えだったよねとか、よく覚えている。80歳を過ぎて千葉からひとりで大阪へやってくるだけでもすごいなぁと思っていたら、松江や山口へ行くことを思えば大阪なんて近いよ、と笑っていた。松江は父と叔父の実家、山口は亡くなった伯母の家のあるところ。まぁ、そりゃあそうだけど。
「いっしょにお昼を食べよう。おじさんがごちそうするから」
「いえいえ、遠くから来てもらうんだからこっちでごちそうしますよ」といったら、
「大丈夫。お金はある(笑)」
「まぁ、実家の周辺にそんな高級料理店もないですけど(笑)」
ほんの、3分くらいの会話だったけれど、やっぱりHおじさんはかっこいいなと思った。
木曜日は京都平日歌会でこんな歌を出した。
・お守りのように近くて遠い父母すりがらすには夏が揺れてる 藤田千鶴
いい歳をして親に依存しているというか甘えているとか、両親に守ってもらったことがないから共感できない、とかいろいろコメントをもらって、そうかぁ、そうなのかなぁと思った。
そして、きのうの神楽岡歌会には
・蒸したてのあんまんみたいな男の子脱衣室にて微笑みくれる
という歌をだして、16名参加で1票だった。「微笑みくれる」が普通すぎるということ。
はたとここで気づいた。88歳の兄に会いに80歳すぎの弟が関東から会いにやってくる、やっぱりうちの家系は家族同士の距離がかなり近いのかもしれない。
歌には翳りとか何かしら謎とか不安とかがあるほうがいいんだなぁと思いながら、こういうときにいつも思い出すのは河野裕子さんの歌。
・良妻であること何で悪かろか日向の赤まま扱きて歩む 河野裕子
そうだそうだ。家族が仲良しで何で悪かろか、そういう家族の中で生きてきたものにはそういう生き方しかないんだもの。と、ひらきなおって生きる。私は日向を歩いていく。