他人のナントカで相撲を取るという非常にせこいタチのSwallow。
今回もBridgeさんが「こんな素敵なモノ、独り占めしちゃいけない」って感動をみんなに分けてあげようと忙しい中提供してくださったあの
Childhood of a Leaderの監督Brady Corbet氏が語るScott Walkerへの師弟愛とも聞けるインタビュー。
Bridgeさんの翻訳文と動画を同時にご覧になれるようにしました。
On working with Scott Walker
Brady Corbet (うう、このタイトルだけで泣いちゃう)
15:20 〜
僕が映画を作る理由の一つがScottなのです。彼の作品はまだ若い僕にとって、とてつもなく大きなインスピレーションでした。
Scottの音楽に出会ったのは人格がほぼ形成される12~3歳位の、それこそ成長期の真っ只中でしたが、それ以来彼の音楽は聴き手としての僕の生涯の至るところに存在(omnipresent)し続けて、後には彼のスコアが僕のデビュー映画、Childhood of a Leaderの輪郭を決定(定義)づけることにまでなったのです。
7年前、もう8年になるのか、Childhood of a Leader のキャスティングが未だ決まる前の段階で彼に働きかけ映画音楽を作ってくれるように頼んだら、大変驚いたことに彼はイエスと言ったんです。
16:32 その後彼とは親友になり、今までそれこそ大事にして来たコラボレーター達と同じ様に、彼は僕の大切な協力者となりました。
だから彼の死は僕にとって物凄いショックだった。全く寝耳に水だった。
今回、何年ぶりかで妻と一緒にロンドンに来るまで、こちらに住んでいたScottとは何年も会っていなかったから、この旅行では彼の不在をひとしお強く感じてしまいます。
17:12 僕は彼と一緒に二つの映画を作ることが出来たのは信じられない程名誉なことだったと思う一方で、これからはもう彼に頼ることは出来ないのだという思いに打ちのめされてもいます。
でも、彼は僕の中に大きな「創造的勇気」を植え付けてくれました。
このような映画を作るのは、色んな理由で本当に難しい。
要するに映画作りにはものすごくお金が入るのです。
絵を描くことなどとは違って、これには大勢の人を動かす資金が必要です。
特に私が作るような(商業的ではない)野心的な映画製作を効果的に成し遂げるには、多大な人力と演出効果を必要とします。
18:20 ゆえに私と映画の経済面との間には、常に葛藤が続きます。
Scottも同じことで一生涯苦労しました。彼はいつも大オーケストラを使った大規模なスケールの仕事をしていましたから。彼はアルバムを作るのに、作曲には何ヶ月も費やし、執拗に計画を立て、40分の音楽のためのオーケストラを6時間で録音するようなことをしていました。
彼と彼のチームが仕事をするあの効率的なやり方を見た時にはそれこそ仰天しましたね。効率的という事は、同時にプロジェクトが経済的でもあること言うことですから。
19:06 僕が映画を作るこの困難で長い道のりの果てに終着駅にたどりついた時、最後にそこで待っていくれたのはScottでした。作り始めた時と同じ勇気を持って終わらせることが出来るように僕を励ます為に。
これは言うのだけなら簡単です。何故なら、「意見なんかXXの穴のようなもので、誰もが一つは持っている」という発言ほど真実に近いものはありません。皆んながそれぞれ意見を持っていて、人を完全に消耗させる長蛇の列になって毎日のようにやって来て、「お前のやっている事は気に要らない」と言うのです。
19:58 ところがその列の最後にはScottがいて、「よくやった、君はもう自分自身を信じられないかも知れないけど、私はまだ君を信じてるよ。」と言ってくれました。あれで確証を得たのです。
これから先のプロジェクトにも、彼を抱え続けて行かなければなりません。
でも、Scottが逝ってしまって、もう僕の映画の音楽を作らなくなったこれからは、音楽は変わるでしょう。音楽との関係自体を変えなければなりません。
次の映画ではソロピアノだけ使うことを 考えています。 Scottがやっていたことと対極のものとしては、僕にはそれしか思いつきません。
この喪失を悼むのには、個人的にも、そして創作的にも長い時間がかかると思います。
Corbet監督のScottへの想いがとてもよく伝わってきますね。
Scottが45歳ものギャップを越えて若い才能を見出し、共感し、自分の想像世界をフルに発揮して作ったこのサントラは素晴らしい作品であることは勿論のこと、彼にとっても楽しい作業だったのではと私は勝手に考えています。
Corbet氏は「もうScottが居ないという現実を乗り越えて成長していきたい」と言っていますが、ほんと応援していきたいですね。
ねScott・・・