人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

映画「マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ」を観る~オペラ界のBC・AD

2015年03月24日 07時01分03秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから167日目を迎え、なんちゃってスタイルを見せるモコタロです 

 

          

          あまり長い間2本足で立ってると腰痛になりそうだな 誰かみたいに

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日『天声人語』は桜をテーマに取り上げていました

「花を詠む歌は数あれど、この名高い作品の大胆な発想には舌を巻く。『世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし』(在原業平)。この世に桜がまったくなかったら、春も穏やかな気持ちでいられるのに。伊勢物語では、先の業平の歌に続き別の人が詠む。『散ればこそいとど桜はめでたけれうき世になにか久しかるべき』。これは無常、桜は散るからこそ素晴らしい、という賞賛だ

今朝何気に点けたテレビのニュースで東京・日比谷公園の桜が咲いていると言っていました。ただし、上空を寒気団が覆っているので寒風が吹いて寒くなりそうだと解説していました 歓喜団なら良いけれど寒気団ではたまりません。寒風で風邪を引いたら完封負けです。気象庁も予想はよそうと言っているとか いずれにしても、桜が咲いても咲かなくても才能がないので歌は読めても詠めないかな

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日、有休消化の一環として休みを取り、午後2時10分から渋谷のシネマライズで映画「マリア・カラス 伝説のオペラ座ライブ」を観ました この映画は1958年12月19日、マリア・カラスのパリ・オペラ座デビューを飾るガラ・コンサートの模様をすべて収録した、いわばマリア・カラス絶頂期の貴重な映像です モノクロ映像、モノラル録音によるロジェ・ベナムー映像監督による115分のドキュメントです

 

          

 

映画のオープニングではベッリーニの歌劇「ノルマ」の序曲が流れています マリア・カラスの歴史的なパリ・デビューとあってフランス大統領ルネ・コティをバルコニー席に迎え、フランス国歌『ラ・マルセイエーズ』が演奏されます ナレーターが、会場にはブリジッド・バルドー、チャーリー・チャップリンなど著名人が来場しているが、チャップリンにインタビューを申し込んだが、フランス語が不得手だと言う理由で断られたと語っています

指揮者ジュルジュ・セバスティアンがオーケストラ・ピットに入り、パリ・オペラ座国立劇場管弦楽団の指揮をとります。最初にヴェルディの歌劇「運命の力」序曲が演奏されます

そして、いよいよマリア・カラスの登場です。テノールのジャック・マルスが共演します。カラスはベッリーニの歌劇「ノルマ」から「反乱を教唆する声だ」を歌い盛んな拍手を受けますが、彼女はお辞儀一つもしません なぜなら次の「清らかな女神よ」が続いているからです。カラスの歌で私が一番好きなのがこの「清らかな女神よ」です 聴いていて鳥肌が立ってきました。またしても拍手の嵐になり、しばらく止みません やっと終わり「儀式はこれで終わった」そして「ああ!初めの頃の誠実な愛が」を歌います。何度もカーテンコールがあり、そのたびに女王の笑みで聴衆に応えます

 

          

 

次いでヴェルディの歌劇「イル・トロヴァトーレ」からレオノーラのアリア「行っていいわ・・・」~「恋はバラ色の翼に乗って」を切々と歌い、拍手のあと「ミゼレーレ 哀れみたまえ」を歌い上げます

ここでカラスは一旦ステージから引き揚げ、オーケストラによりロッシーニの歌劇「セヴィリアの理髪師」から序曲が演奏されます そして再度カラスが登場、ロジーナのアリア「今の歌声は」を技巧的に、そして力強く歌い上げます 今まで、カラスはあまりロッシーニに向いていないのではないか、と思っていたのですが、考えを改めました 高音から低音まで幅広い音域を苦も無く美しく歌い上げる彼女の姿を見て、あらためてカラスの力を見せつけられました

 

          

 

さて、ガラ・コンサートの後半はプッチーニの歌劇「トスカ」から第2幕です。このシーンは別の映像で観たことがありますが、演出はほとんど同じだと思います キャストはスカルピアにティト・ゴッピ(バリトン)、カヴァラドッシにアルベール・ランス(テノール)、スポレッタにルイ・リアラン(テノール)ほかです

このコンサートの前半が『歌手マリア・カラス』の魅力だとすれば、後半は『女優マリア・カラス』の魅力だと言えるでしょう これ程演技力を備えた歌手はどこにいるでしょうか とにかく『目力』が凄いのです。目で演技していると言っても良いかもしれません カラスは「歌付のお芝居」だったオペラを文字通り「歌劇」として再生したのです。トスカの名アリア『歌に生き、恋に生き』では、感情移入が半端でなくトスカその人に成りきっています アリアが終わるや否やブラボーと拍手の嵐です。いつこの嵐が止むのだろうか、と思うほど長く長く拍手が続きました

BCとADとは紀元前、紀元後のことですが、オペラ界では独特の言い回しがあります。『ビフォア・カラス、アフター・ディーバ(カラス以前、歌姫以後)』。つまり『カラスの前にカラスなし、カラスの後にカラスなし』という意味です

マリア・カラスは美声か?と問われれば、決してそんなことはない 美声ということなら他に何人も歌手はいます。しかし、声自体に力があり、圧倒的な演技力でオペラ界にリアリティをもたらしたという意味で、マリア・カラスはオペラの歴史を塗り替えた唯一無二のソプラノ歌手なのです

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

という訳で、昨日聴いたCDは「ザ・ベスト・オブ・マリア・カラス」です ベッリーニ「ノルマ~清らかな女神よ」、ロッシーニ「セヴィリアの理髪師~今の歌声は」、プッチーニ「蝶々夫人~ある晴れた日に」、同「トスカ~歌に生き、恋に生き」、カタラーニ「ワリー~さようなら、ふるさとの家よ」など、マリア・カラスの魅力を集約したようなCDです 何度聴いても鳥肌ものです

 

          

コメント (8)
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