人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「若き名手たちによる室内楽の極」コンサートを聴く~東京・春・音楽祭

2015年03月23日 07時01分19秒 | 日記

23日(月)。わが家に来てから166日目を迎え、ラップの芯を食べるモコタロです 

 

          

           サランラップよりクレラップの方が固いなぁ オレってラップ通?

 

  閑話休題  

 

先日、自宅マンションのエレベーター内防犯カメラと共用廊下に消火器を噴射して住民に大迷惑をかけた20代女性の話を書きましたが、土曜日に管理組合の理事会があり、管理会社からそのてん末が報告されました 本人に対する損害賠償請求額は約35万円(うち防犯カメラ1台取り替え分=約17万円)ということです。35万円ですよ、奥さん 何しろ当の本人の悪事が防犯カメラに映っているので抗弁のしようがないのです 酔っていたとはいえ、ちょっとしたイタズラのつもりが高い代償につきましたね。よい子はマネしないでね

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日は暖かい1日でした 上野の東京文化会館でコンサートを聴くため、午後早めに家を出て京成上野駅側から登って上野公園を散策しながら文化会館を目指しました。種類は分かりませんが一部の桜は満開です

 

          

 

ということで、午後3時から文化会館小ホールで「若き名手たちによる室内楽の極」コンサートを聴きました これは「東京・春・音楽祭2015」の一環として開かれたコンサートです。プログラムは①ベートーヴェン「弦楽三重奏曲第1番」、②リヒャルト・シュトラウス/ハーゼンエール偏「もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル」、③ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」です 出演はヴァイオリン=長原幸太(読響コンマス)、ヴィオラ=鈴木康治(読響首席)、チェロ=上森祥平、コントラバス=渡邉玲雄(新日フィル首席)、クラリネット=吉田誠、ファゴット=長哲也(都響首席)、ホルン=福川伸陽(N響)です

 

          

 

自席はM列19番、左ブロック右通路側席。会場は9割以上は入っている感じです やっぱり「東京・春・音楽祭」はこうでなくっちゃ 拍手の中、ヴァイオリンの長原幸太、ヴィオラの鈴木康治の読響首席コンビと、チェロの上森祥平が登場します

1曲目の「弦楽三重奏曲第1番」は若きベートーヴェンの力作です。彼は1792年に故郷ボンを離れて音楽の都ウィーンに出てきます そしてハイドンの指導を受けることになりますが、その頃に書かれたのがこの三重奏曲です 6つの楽章から成る大作です。なぜベートーヴェンは四重奏曲でなく三重奏曲を書いたのかと不思議に思っていたのですが、音楽祭の総合プログラムに音楽評論家の安田和信氏がその理由を書いていました

「18世紀後半の理論家の中には、3声部の楽曲は4声部のそれよりも作曲が難しく、三重奏曲を自在に作曲できる作曲家こそが一流だとする者もいたから、1790年代の若きベートーヴェンはむしろ三重奏曲のほうに先に取り組んだのかも知れない

これで納得です。楽器編成からしてベートーヴェンはこの曲の作曲に当たりモーツアルトのディベルティメントK.563をモデルにしたことが窺えるようですが、聴いている限りモーツアルトの影響はまったく感じられず、どこを切ってもベートーヴェンらしい曲想です 全体として明るく溌剌とした曲で、3人の演奏からは若きベートーヴェンの”やってやろう”という意欲を感じます

 

          

 

2曲目はリヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を基に、ハーゼンエールが1957年に編曲して出版した「もうひとりのティル・オイレンシュピーゲル」です 演奏者が登場します。左からヴァイオリン=長原、コントラバス=渡邉、ホルン=福川、ファゴット=長、クラリネット=吉田という編成です。5人の奏者は「むかしむかしあるところにティル~」という語りを軽妙洒脱に演奏、拍手喝さいを浴びました

 

          

 

休憩後はこの日のメーン・プログラム、ベートーヴェン「七重奏曲変ホ長調」です。この曲は1800年に完成しましたが、厳ついイメージのベートーヴェンからはほど遠い明るく楽しい曲です 当時ベートーヴェンはウィーンの聴衆に作曲家として認められる必要があり、いわば『一般大衆向け』にこの曲を作曲したのです 6つの楽章から成りますが、「八重奏曲」と言えばメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」がパッと浮かぶように、七重奏曲と言えばベートーヴェンのこの曲がすぐに浮かぶほど私はこの曲が大好きです

拍手の中、演奏者が登場します。左から長原(Vn)、鈴木(Va)、上森(Vc)、渡邉(Kb)、福川(Hr)、長(Fg)、吉田(Cl)という編成です。福川の携えるホルンはラッパの部分が赤い色をしています

第1楽章のアダージョからアレグロ・コン・モトに移るところは堪らなく良いですね 長原のリードが冴えています。第2楽章「アダージョ・カンタービレ」での弦楽器グループと管楽器グループとの対話は素晴らしいのひと言 第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」はピアノ・ソナタ第20番第2楽章の主題が現われます。第4楽章は、中盤の弦楽三重奏の後、管楽器との会話が聴きどころです 第5楽章のスケルツォはホルンが活躍します。そして最後の第6楽章「アンダンテ・コン・モト・アラ・マルシアープレスト」は、冒頭のアンダンテからプレストに移る部分がこの曲の最大の魅力です コンマスの長原は何のてらいもなくスッと移行します。そこがまたたまらなく素晴らしいと思います。終盤の長原のカデンツァはなかなか聴かせました この人は本当に上手いし、音がきれいです

会場一杯の拍手とブラボーに、7人はアンコールにベートーヴェンの「トルコ行進曲」を演奏しました 高音のクラリネットが際立っていました。それでも鳴り止まない拍手に「七重奏曲」の最終楽章を途中から演奏し、会場を興奮の坩堝に巻き込み、演奏会を終えました

この曲は何度聴いても素晴らしいと思います。幸せな気持ちで家路に着きました

 

          

          

  最後の、閑話休題  

 

昨日聴いたCDはスヴァトスラフ・リヒテル「ソフィア・リサイタル」です。1958年2月25日にブルガリアの首都ソフィアで行われたヨーロッパへのデビュー演奏会のライブ録音です ここからリヒテルが”西側”で活躍することになります。収録されているのはムソルグスキー「展覧会の絵」、ラフマニノフ「前奏曲第23番」、シューベルト「楽興の時第1番」、同「即興曲第2番、第4番」、ショパン「練習曲”別れの曲”」、リスト「忘れられたワルツ第1番、第2番」、同「超絶練習曲第5番”鬼火”、第11番”夕べの調べ”」です

「展覧会の絵」のプロムナードでは、ちょっと前のめり気味の感じがしますが、その後は曲と曲との間を空けず続けて前へ前へと進める姿勢が際立っています 最後の「バーバ・ヤーガの小屋」から「キエフの大門」にかけての演奏は圧巻です 技術的な面だけを言えば、現代のピアニストは何の苦も無く弾き切るでしょうが、当時のクラシック音楽界ではどうだったでしょうか?技術だけでは表現できないものを感じます 一方、一連のシューベルトの曲は軽快です 超絶技巧練習曲の2曲は激しい中にも詩情がある曲ですが、これもリヒテルが単に技巧だけで演奏しているのでないことが窺える演奏です

 

          

 

コメント
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