明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(291)世田谷区の道路で高い放射線量(2.8μS/h)

2011年10月12日 23時30分00秒 | 明日に向けて(251)~(300)
守田です。(20111012 23:30)

今日のお昼頃に、ストロンチウムが福島原発から250キロ離れた横浜から
検出されたことを情報として流しましたが、今度は東京都の世田谷区の
道路で、2.8μS/hという高い放射線値測定されたという報道が行われまし
た。これも重大ニュースです。

このニュースには注目すべき点が幾つかあります。一つには、横浜と同じ
く、この高い放射線も市民が発見して区に通報し、区による対処が行われ
たということです。報告がなされたのが3日、区が測った日が書かれてい
ませんが、2.8という値を確認して、高圧洗浄器で「除染」したものの、
数値が2.7とほとんど下がりませんでした。これが12日に発表されています。

市民が通報してから9日間も発表までかかっている。これも問題ですが、
それまで長い間放置されていたわけですから、その点の方が大きな問題
です。このことにも市民が積極的に測定を行うことの重要性があらわれて
います。ぜひ各地で高そうなところの測定を行いましょう。

ちなみに計画避難区域となった飯館村村役場前の12日の測定値(移動式
モニタリングポストによる)は、2.1μS/hです。世田谷区のこの場所の
値はこれよりもかなり高めです。非常に重大です。東京も場所によって
は計画的避難区域に相当する地域があるのではないか。いずれにせよ、
この値なら年間1ミリシーベルトをはるかに上回るので避難が必要です。


また区による対処ですが、これまでも指摘してきたように、高圧洗浄器の
使用は良いことではありません。そこにある放射性物質を「除去」するの
ではなく、移動させるにすぎないからです。下流に農地があればそこに入
るし、他人の家にかかったり、敷地に入ってしまう可能性も高い。

同時にこれまで行われた高圧洗浄器の使用では、作業者の被曝防護が余り
に軽んじられています。洗浄による水しぶきが作業者にかかっている。
これを飲みこんでしまうことはないのでしょうか。またしぶきがかかった
服はどうしているのか。そのままではないかと思われます。

この方式は、内部被曝への警戒が著しく低い中で行われています。除染は
高い放射線の出ているところ、それを出す放射性物質の多い所に近づく
作業なのですから、やはりそれを吸いこまないこと、飲みこまないこと、
衣服につけて移動させないことが非常に重要です。

こうした観点の弱さが、3日に報告されたものが6日に洗浄され、その結果
が12日になるという時間の流れとなってあらわれていると思われます。
作業者が危険であり、周りの人々が危険です。世田谷のことを離れた指摘
も含みますが、いずれにせよ高圧浄水器の「除染」をやめるよう行政を
市民の側から説得することが大切です。

同時にまた、今回の結果からも、雨水が集まるところなどでは、放射性物
質がその場に沈着してしまって、水では簡単に流れ落ちなくなることも、
現れていると思います。高圧洗浄器では移動すらも十分にはできないので
す。その場の放射性物質を十分にはがせないことが現れています。


ともあれ今日はストロンチウムが横浜から検出され、高い放射線が世田谷
で計測されたことが発表されましたが、両者の「発見」ともにイニシアチブ
をとったのが市民だったことを再度、強調したいと思います。まさに私たち
の自主的行動こそが、放射線防護のカギです。

今回、横浜と世田谷で、危険性を発見して下さった方々に感謝しつつ、さら
にこの問題のウォッチと分析を進めたいと思います。

****************************

世田谷区の道路で高い放射線量

NHK NEWSWEB 10月12日 18時18分
今月初め、東京・世田谷区の区道で1時間当たり最大で2.7マイクロシー
ベルトという高い放射線量が検出され、世田谷区は、この場所に立ち入らな
いよう呼びかけるとともに今後の除染を検討しています。

高い放射線量が検出されたのは、世田谷区弦巻の区道の歩道部分です。世田谷
区によりますと、今月3日、区民から「放射線量が高い場所がある」という
情報が寄せられたため、区が測定したところ、1時間当たり最大でおよそ
2.8マイクロシーベルトと周辺に比べて高い放射線が検出されたということ
です。このため高圧の洗浄器を使って歩道部分の洗浄を行いましたが、
放射線量はあまり下がらず、1時間当たり最大で2.707マイクロシーベ
ルトが検出されたということです。原因について世田谷区が専門家に聞いた
ところ、問題の場所は雨水が集まって放射線量が高くなったことが考えられる
ということです。この区道は小学校の通学路にもなっていることから、区は、
12日朝からこの場所をコーンで囲って立ち入らないよう呼びかけるとともに
今後の除染を検討しています。世田谷区は、ことし7月から8月にかけて区内
の小中学校や保育園、それに幼稚園で放射線量を測定しており、その際、高い
放射線量は検出されていませんでした。世田谷区は、子どもへの影響を重視し、
今月下旬から来月下旬にかけて区内の砂場がある258か所の公園について
調査することにしています。

東京・世田谷区で検出された1時間当たり2.7マイクロシーベルトという
放射線量は、文部科学省が積算の放射線量を計算する際に用いている、1日
のうち、屋外で8時間、屋内で16時間過ごすという条件で計算すると、
1日の被ばく量が38.88マイクロシーベルト、1年間にすると14.2
ミリシーベルトになります。これは国が避難の目安としている年間の放射線量
の20ミリシーベルトを下回っています。計画的避難区域に指定されている
福島県の飯舘村役場では、12日、移動式のモニタリングポストを使って
計測された放射線量が1時間当たり2.1マイクロシーベルトで、世田谷区の
値はこれよりもやや高くなっています。首都圏では、比較的高い茨城県の
北茨城市で、12日、0.14マイクロシーベルトが計測されています。
放射線影響研究所の長瀧重信元理事長は「文部科学省などによる上空からの
測定では、世田谷区では放射線量の高い場所は確認されなかったので、この
ような値が出たことに驚いている。ただ、地形や天候の関係で局地的に高い
線量になることはあり得ると思う。周辺の土壌や草木などから放射性物質の
種類を調べたり、どこから放射線が出ているのか調べて原因を突きとめるとと
もに、ほかにもこうした場所がないか調査する必要がある」と話しています。

世田谷区環境総合対策室の斉藤洋子室長は「現場は小学校の通学路で、近く
には幼稚園や保育園もある。心配する保護者の方がいると思うので、専門家
とも相談してできるだけ速やかに除染などの対応をとりたい」と話していま
した。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111012/k10013213371000.html
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日に向けて(290)放射性物質... | トップ | 明日に向けて(292)「福島のコ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

明日に向けて(251)~(300)」カテゴリの最新記事