明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1532)日本の原発はほぼゼロ状態!ほとんどの原発を止めていることにもっと自信を持とう!

2018年05月28日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180528 23:00)

この間、原発の再稼働が少しばかり続きました。
講演にいくとよく「なぜ再稼働は止められないのか」という質問を聞きます。そのとき強調する僕の答えはこれです。
「いや、ほとんど止めてますよ!再稼働しているのはほんのわずかですよ!もっと自信を持ちましょう」。

具体的に見てみましょう。福島原発事故以前、この国にはもんじゅや普賢などをあわせて59基の原子炉がありました。
まさに「稼働が止められない」状態でした。しかし福島原発事故後は劇的に情勢が変わった。人々の意識が劇的に変わったからです。

59基のうち、廃炉が決まったのは実に三分の一の20基。私たちはすでにこれだけの廃炉決定を実現してきました。
このため現在この国の稼働可能とされている原発の数は39基ですが、そのうちでも動いているのはたった4基! 
玄海3号機、高浜3号機、大飯3,4号機のみです。以下に一覧を示します。

泊原発3基    停止中
東通原発1基   停止中
女川原発3基   停止中
福島第二原発4基 停止中
東海第二原発1基 停止中
柏崎刈羽原発7基 停止中
浜岡原発3基   停止中
志賀原発2基   停止中
敦賀原発1基   停止中
美浜原発1基   停止中
大飯原発2基   2基稼働中
高浜原発4基   1基稼働中 3基停止中
島根原発1基   停止中
伊方原発1基   停止中
玄海原発3基   1基稼働中 2基停止中
川内原発2基   停止中

稼働可能な原発のうち1割しか動けていない。福島原発事故以前の総数からいえば1割どころか6.8%しか動いていない。
それでどれぐらいの発電をしているのでしょうか。
isep環境エネルギー研究所の調べでは2017年の原発の発電量は日本全体の発電量のわずか2.8%です。太陽光と比べても半数しかないのです。

2017年暦年の国内の全発電量に占める自然エネルギーの割合(速報)
2018年4月11日
https://www.isep.or.jp/archives/library/10930

ようするにこの国はいまだにほぼ原発ゼロ状態なのです!97.2%の電気を原発以外で賄っているのです。
私たちは経済大国であろうとも原発がなくても何も困らないこと、十二分にやっていけることを証明し続けているのです。

もちろん4基動いているだけでも怖い!だから原子力災害対策をしっかりと行わなければなりません。
原発は運転が止まっても核燃料プールがある限り危ないから災害対策はまだまだ続けていく必要がある。

それでも私たちは20基の廃炉を実現し35基を止めていることにはもっと自信と誇りを持っていい!
世界が私たちをみて「なんだ、原発なんていらないんだ」とどんどん気づきだしています。

ぜひ明日の朝、出会った方にこの点をお伝えください!

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明日に向けて(1531)玄海原発4号機一次冷却水ポンプ故障は構造的な欠陥がもたらしたもの。十分な対策ができないのだから全ての原発の運転を止めるべきだ!下

2018年05月26日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180526 13:00)

玄海原発4号機一次冷却材ポンプの故障に関する解説の2回目です。
九電は問題のこのポンプのNo.2シール部分に再稼働にあたって満水処理を施したが結果的に間違っていたと言っています。しかし原発が作られてからこんなにも経って「そんなことを言い出すのか」という気がします。
問題の箇所は以下です。

「この空気抜きでは・・・新規制基準適合後の初めての再稼働にあたって万全を期すため、4月27日にスタンドパイプベント弁による満水操作を通常よりも長時間実施し、その後、パージ水ライン及びNo.2シールリークオフラインを5月1日まで満水状態で保管した」(九電の以下の報告書の4ページ)

玄海原子力発電所4号機 一次冷却材ポンプのNo.2シールリークオフ流量増加について
平成30年5月 九州電力株式会社
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0133/0598/gy493slw1n.pdf

つまり再稼働で何か起こってはいけないからと、慎重を期すためにしっかりこの部分を満水にしたと書いてあるのです。
ところが最終的にはこれが間違っていたとされているのです。九電による「原因と対策」の説明で以下のように語られています。

「点検の結果を踏まえ、以下の対策を行います。
1次冷却材ポンプについては、一体型の組立品となっているNo.2シールとNo.3シールを取り替える。
1次冷却材ポンプのパージ水ライン及びNo.2シール水戻りラインを保管する際には、気相部を確保し満水保管としない運用に見直す」。

玄海原子力発電所4号機1次冷却材ポンプシール部の流量増加原因と対策についてお知らせします
平成30年5月15日 九州電力株式会社
http://www.kyuden.co.jp/press_180515-1.html

気相部とはタンクなどに水を入れた際に満水にならない部分、水面から天井までの部分のことを指しますが、これを確保する運用に見直すという。でも再稼働前の準備ではこの部分は「慎重に」満水にしたのです。
ということは、原発完成から今日まで行っていたこの部分の手順が全部間違っていたことになります。加圧水型原発ができてから今日まで、冷却水ポンプの軸受シール部の扱いがずっと間違っていたことになる。
そうなると反対に疑問がわきます。これまでの手順でこの部分で故障が起きなかった例もたくさんあるのですが、どうしてそれらはうまくいったのだろうかという疑問です。

科学や技術にとって大事なのは「再現性」です。ある条件下で起こったことの原因を特定するためには、それが再現できなくてはいけない。同じことが同じように起こりうることが確かめられて、初めて原因が特定できるのです。
しかし同じ条件下で行ったのに、うまくいったりうまくいかなかったりしているというのは、実はまだ原因が付き止められていないことを意味するのです。

そもそもこの部品は何度も壊れている部品です。2016年7月に伊方原発3号機が再稼働に向かっている時はNo.3シール部が今回とは反対方向に圧力を受けて歪み、やはりOリングがかみこんで稼働しなくなってしまって水漏れが起きたのでした。
このときの四国電力の発表を示しておきます。

伊方発電所3号機 一次冷却材ポンプ3B第3シールの点検結果等について
平成28年7月25日 四国電力
http://www.yonden.co.jp/press/re1607/data/pr005.pdf

このときは「原子炉格納容器の耐圧試験が行われ、容器内の圧力があがったため、第3シールが外側から圧力を受けて歪んでしまった」ことが原因とされました。
なんと耐圧試験で壊れてしまったわけです。「テストしたら壊れたのだからアウトじゃないか」と僕は当時も指摘しましたが、それでも伊方3号機は再稼働されてしまいました。もっともその後広島高裁から運転停止を命ずる仮処分決定が出て止まっていますが。

今回、九電は当然にもこの伊方3号機で起こった事態も十二分に検討していたに違いないのです。その結論として徹底的な満水を選んだのでしょう。
ところが今回はそれが原因で壊れてしまったと言う。このことが示しているのは、九電が本当はどうしたら確実に壊れないで運転できるか分かっていないという事実です!

九州電力は故障原因を解明できていない。当然にも完全な対策を施せていない。しかもこの問題は沸騰水型原子炉の再循環ポンプでも起こっていることですから、今後、全国の原発で同じような故障が起こりえます。
いや同じような故障ですめばまだ「幸い」でしょう。高濃度の放射能を含んだ一次冷却水の封じ込めがうまくいかず、原因のつきとめと対策が十分にはなされていないのですから、より深刻な事故に発展する可能性があります。
そんなことにならないためにすべての原発の運転を今すぐ止めるべきなのです。

連載終わり

*****

1次冷却水ポンプのことも含めて、原発の危険性と原発からの命の守り方について高島市でお話します。ご参加下さい。

危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!」
https://www.facebook.com/events/164667064127488/

5月27日(日)
13時30分開場 14時開始 16時終了
場所 高島市観光物産プラザ(JR新旭駅前)視聴覚室
参加協力費 500円

主催
新日本婦人の会高島支部原発ゼロ部
ばいばい原発高島連絡会
連絡先 中平清三(09062421634)

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明日に向けて(1530)玄海原発4号機一次冷却水ポンプ故障は構造的な欠陥がもたらしたもの。同じ故障がすべての原発で起こりうる 上

2018年05月26日 12時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180526 12:30)

再稼働を目指している玄海原発4号機で、5月3日に一次冷却水ポンプが故障を起こし、再稼働スケジュールが延期されました。
このポンプは2016年7月に伊方原発3号機再稼働前の点検時にも故障を起こしており、その時に僕はこのポンプでこれまで同様の故障が繰り返されてきていること、にも関わらず故障を繰り返しているのだから「欠陥装置」であることを指摘しました。
この点をまとめたのが以下の記事です。

明日に向けて(1518)玄海原発4号機で故障を起こした一次冷却水ポンプは欠陥装置だ!
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/57ced7302c61f901a5ec9750cb3e4fd6
https://toshikyoto.com/press/2677

その後、5月15日に九州電力から今回の玄海4号機での故障に関して以下のような「原因と対策」の説明がなされました。

玄海原子力発電所4号機1次冷却材ポンプシール部の流量増加原因と対策についてお知らせします
平成30年5月15日 九州電力株式会社
http://www.kyuden.co.jp/press_180515-1.html

これを読んでみてますます一次冷却水ポンプが欠陥装置であること、場当たり的で再発防止策がまったく不十分にしか説明されていない(それしかできない)という印象を持ちました。
以下、説明を試みたいと思います。九電が示した図を参照しながらお読み下さい。

玄海4号機 一次冷却材ポンプ
http://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0133/0597/t6bxfbhh.pdf

そもそもこのポンプと言われる装置、150気圧300度で流れている一次冷却水の中にプロペラを仕込んで回し、水流を促す役割を果たしているものです。
プロペラを回すためにモーターが必要で、その軸が循環している一次冷却水の配管にいわば直角に差し込まれ、その先でプロペラが回されて冷却水が攪拌されているのですが、このモーターの軸の部分がシールドを施す上での弱点になっているのです。
なぜかというとモーターの軸が回転可能なためには当たり前のことですが軸受け部に隙間がなくてはなりません。しかし一次冷却水は150気圧ですので、このわずかな隙間に高圧の熱湯が押し寄せて冷却水漏れが起こりやすいのです。

この「隙間がなくてはならないけれども隙間があると高濃度の放射能を含んだ一次冷却水があがってきてしまう」という矛盾の解決のために編み出されたのが、一次冷却水よりもっと高圧の水をこの隙間部分に流してシールすることです。
それもシールを3重にすることで抑え込もうとしているのですが、そのためにシールになる水が通る場を囲む「シール部」と呼ばれる部品が作られていて、流れに合わせて上下に動くようにしています。しかし端的にここが技術的に未確立なのです。

今回、玄海4号機で壊れたのはNo.2シールでした。しかも4つある冷却水ポンプのうちの2つで同時に壊れてしまいました。いや分解してみたところ、もう1つも水漏れには至らなかったけれど不具合が生じていました。4つのうち3つが壊れていたのです。
原因はなんだったのかというと「稼働を前にこの部分に空気が残らないように水を充てんしていたところ、水の温度が25度から28度に上がったため体積が膨張してしまい、可動部分の「シール部」が押し上げられ、Oリングが上部にかみこんでしまった。
このため本来可動すべき部分が動かずにシール部の下部が開いたままになっていて、No.1シールに流している「注水」がNo.2シールの方に入ってきて流量が増えてしまった」と言うのです。
「たかだか水温が3度あがっただけでもう壊れてしまうシール部とはそれ自体でもう欠陥部品じゃないか」とも思いますが、しかしさらに九電の報告を読み込んでいくともっと不可解なことが出てきます。

続く

*****

1次冷却水ポンプのことも含めて、原発の危険性と原発からの命の守り方について高島市でお話します。ご参加下さい。

危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!」
https://www.facebook.com/events/164667064127488/

5月27日(日)
13時30分開場 14時開始 16時終了
場所 高島市観光物産プラザ(JR新旭駅前)視聴覚室
参加協力費 500円

主催
新日本婦人の会高島支部原発ゼロ部
ばいばい原発高島連絡会
連絡先 中平清三(09062421634)

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明日に向けて(1529)危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!・・・5月27日高島市でお話します。

2018年05月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180523 23:30)

福井の原発銀座で高浜3号、大飯3,4号機が稼働しています。
この他、稼働しているのは玄海3号機のみです。稼働4原子炉のうち3基が福井で動いています。

この他、定期点検中なのが川内1,2号機。高浜4号機も5月18日に定期点検に入りました。
伊方3号機は差し止め訴訟仮処分で昨年末より法的に停止しています。

こんな中で原発に近い高島市で「危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!」と題して講演させていただきます。
あらかじめ5つの質問をいただきましたのでこれに沿ってお話します。アウトラインを書いておきます。

1、関西電力は再稼働を続けているけれど、本当に大丈夫?

もちろん危ない!まったく大丈夫ではありません。
とくに重要なのは関電の原発はすべて三菱重工製の加圧水型原子炉を使っていますが、これに致命的な欠陥がある。
なんといっても危ないのは「蒸気発生器」という装置で、これまでも内外で深刻な事故を起こしています。
また一次冷却水ポンプも明らかな欠陥部品で、この間でも伊方3号機と玄海4号機の再稼働前に不具合を起こしています。このため玄海4号はまだ稼働できていません。(6月中旬予定とされている)

2、もし事故が起こったら私たちどうすればよいの?

とっとと逃げるにつきます!そのためには事前のシミュレーションが大事。
またそのためにはあらゆる災害に共通する「正常性バイアス」「集団同調性バイアス」「パニック過大評価バイアス」という心理的ロックを解除しておく必要があります。
これらを含めて、命の守り方をお話します。

3、ヨウ素剤を事前に家庭配布できないの?

もちろんできますし、兵庫県篠山市ではすでに実現しています。
なぜ事前配布が必要なのか。かつまた各地での取り組みはどうなっているのかなどお話します。実は滋賀県内でも複数個所で進んでいます!詳しくは聞きに来てください。

4、なぜ国は原発に固執するの?

この点はもともと原発が原爆を作る装置として作られてきたことにさかのぼってお話します。
もちろん開発したのはアメリカと旧ソ連。そのアメリカに日本は原発を押し付けられました。押し付けられ、自分たちでも積極的になり、引くに引けない状態なのでしょう。

5、世界では原発はどうなっているの?

どんどん衰退傾向にあります!とくに新規建設が地獄の道。東芝やアレバが崩壊するなど、メーカーが完全に行き詰っています。
そんななかで世界的連帯も広がっています。この夏の南仏ナルボンヌでの反核サマーキャンプへのご招待を含めてお話します。

みなさま。ぜひご参加下さい!

*****

危ない!福井の原発 命の守り方をつかもう!」
https://www.facebook.com/events/164667064127488/

5月27日(日)
13時30分開場 14時開始 16時終了
場所 高島市観光物産プラザ(JR新旭駅前)視聴覚室
参加協力費 500円

主催
新日本婦人の会高島支部原発ゼロ部
ばいばい原発高島連絡会
連絡先 中平清三(09062421634)

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明日に向けて(1528)ベトナムはなぜ原発をやめたのか~止めたのは誰?どうやったの?~24日、ハートピア京都に!

2018年05月21日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180521 23:00)

原発産業が輸出の道がどんどん狭まる中で没落と滅びの道を歩んでいます。
原発ゼロへの道をさらに広げるために5月24日にベトナムへの原発輸出を止めたお話を聞く企画を行います。

ベトナムはなぜ原発をやめたのか
~止めたのは誰?どうやったの?~
https://www.facebook.com/events/1022466614576504/

実際、原発輸出計画はあちこちでボロボロになりつつあります。
例えば僕自身が計画阻止のために奔走してきたトルコへの輸出計画は、参加企業の伊藤忠が撤退し風前の灯となっています。
福島原発事故後、私たち日本民衆をはじめ世界中で原発の危険性を問う民衆運動が起き、各国の規制当局がレギュレーションを厳しくせざるをえなくなったのですが、そうしたら原発が採算の合わない事業に転落してしまったためです。

以下の記事をご覧ください。

明日に向けて(1507)伊藤忠がトルコへの原発輸出から撤退!輸出政策の息の根を完全に止めよう!―連載1500回越えにあたりカンパを訴えます(6)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/1809007acb81317db551a59f20ce6859

さらにいま、東芝の没落にとって代わろうとした日立製作所のイギリスへの輸出計画も、大きな暗礁に乗り上げつつあります。朝日新聞が次のように報じています。

「日立製作所が、英国で計画する原発の運転開始の目標を2年ほど遅らせて2027年とする案を関係者に伝えた。事業に必要な資金集めが難航しており、設計や建設を引き受ける企業の間で分担の見直しも始まっている。
事業の継続そのものも不透明感が増している」。

日立、英原発2年先送りを提案 資金集め難航
朝日新聞 5/20(日) 7:07配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180520-00000011-asahi-bus_all
 
日本からの原発輸出のとん挫の流れが強まりだしたのは、ベトナム政府による原発計画の白紙撤回以降のこと。これが決議されたのは2016年11月でした。
実はこれには日本のベトナム研究者たちの重要な関わりがありました。今回、そのうちの1人、沖縄大学のの吉井美知子さんをお招きし、輸出阻止の背景にあったものを伺います。
講演後では守田が対談の形でさらにいろいろなことをうかがいます!

衰弱しつつある原発輸出計画をさらに追い詰めるため、画期的な成功体験をシェアしにきてください!
イベント案内を貼り付けておきます!

*****

日時:2018年5月24日(木)18:00 開場/18:30 開演
場所:ハートピア京都 第5 会議室
参加費:800円

18:30 ~ 19:40 講演 吉井美知子さん   
19:40 ~ 20:30 対談 吉井美知子さん&守田敏也さん 質疑応答 全員


主催:市民環境研究所
〒606-8227 京都市左京区田中里ノ前21 石川ビル305
Tel & Fax 075-711-4832  Email pie@zpost.plala.or.jp

主催:世界とつながる公開秘密会議

吉井美知子さんのプロフィール:
沖縄大学人文学部教授。京都市出身。1991年パリ第7大学ベトナム語学科修士号、商社勤務、JICA専門家等を経て、2007年東京大学大学院国際協力学博士号。専門はベトナムNGO研究。
3.11を機に、ベトナムへの原発輸出を止める活動を行う。主な著書に『立ち上がるベトナムの市民とNGO』(明石書店)、共編著『原発輸出の欺瞞』(明石書店)など。

守田敏也さんのプロフィール:
同志社大学社会的共通資本研センター客員フェローを経てフリーライター。兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員を兼ねる。
福島原発事故降、各地で放射線防護と原子力災害対策の講演を行い、ヨーロッパやトルコでも度々講演。著書に『内部被曝』『原発からの命の守り方』がある。

☆★カンパのお願い☆★
この夏(8月)「反核サマーキャンプ」がフランスで開かれ、本講演会の主催メンバーも原発事故の避難者と共に参加します。こうした世界的な脱原発の活動を続けていくため、カンパを募集しています。ご協力をお願いします。

ゆうちょ銀行 なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
なお口座については「世界とつながる公開秘密会議」のものを開設中のため暫定的に守田敏也個人のものを使います。
開設後、メンバーの確認のもとに移します。それまではカンパしていただけるときはメールでもご一報ください。   
morita_sccrc@yahoo.co.jp

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明日に向けて(1527)靖国神社の原型、京都霊山護国神社を訪問し、明治以降のこの国の成り立ちと向かい合います!(20日午後)

2018年05月17日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180517 22:30)

すでにお知らせしたように5月19、20日に京都市で被爆2世3世の交流と連帯のつどいを行います。

第3回 被爆2世・3世 交流と連帯のつどい
2018年5月19日(土)~20日(日)
http://aogiri2-3.jp/indexbox/2018051920.pdf

この20日の午後の「京都と平和の歴史跡などのフィールドワーク」で、京都霊山護国神社を訪問します。
この神社こそは靖国神社の原型、明治以降のこの国の成り立ちと向かい合うのにとても良い場です。
誰でも参加可能ですが、キャンパスプラザ京都での午前中のセッションを終えて、昼食を採ってから市バスを使っていきます。
もしこれだけに参加したい方がおられたら、メールなどでご連絡の上、現場に直接お越しください。概ね午後1時半に到着です。

ここにもともとあったのは「霊明神社」。創建は1806年で幕末の動乱の中で長州藩とのゆかりを深めていきました。
その動乱は1853年ペリーの黒船来航に対して幕府が「開国」に踏み切ったことに対し、諸藩が「攘夷」を掲げ幕府を批判する中で深まっていきました。
とくに1858年4月に井伊直弼が幕府の大老に就任し、「安政の大獄」と呼ばれる一大弾圧で臨んだため、かえって攘夷派によるテロルが誘発され、井伊大老自身が60年3月に桜田門外で討たれてしまいました。

長州藩は尊王攘夷派の筆頭でしたが、安政の大獄で刑死した吉田松陰と親しかった陽明学者の船越清蔵が1862年9月に倒れた際に霊明神社に藩士50人が集まって「招魂祭」を行いました。
「魂を招き寄せる」儀式で、陰陽道で行われてきましたが、しかしその際に招くのは病で身体から遊離してしまった魂などであって、死者の魂を呼び寄せることは厳しく戒められていました。
ところが霊明神社で禁を破って死者が招き寄せられ、12月には安政の大獄で「殉難」した魂も招かれて、命を賭した攘夷決行が誓われたのでした。

1863年になると長州は、京都での勢力争いの末、会津・薩摩連合に京都から追い落とされてしまいました。
これに地元の藩士たちが激怒。「天子様に直訴しよう!」と武装して京に登ってしまい、幕府軍の警戒網を破って御所に殺到。
すると通称「蛤御門」を背に会津藩が登場。長州は矢玉をいかけましたが、これで御所を攻撃したこと=「朝敵」にされてしまいました。

会津軍と長州軍は互角で戦況は膠着しましたが、西郷隆盛率いる薩摩軍が登場したことで均衡が破れ、長州は撤退を開始。会津、薩摩両軍が追撃しましたが、双方が相手を攪乱せんとそこら中に火を放ったため京都は大火に包まれました。
後に「どんどん焼け」と呼ばれた大火事で、たくさんの老舗や祇園祭の山鉾のほとんどが灰燼に帰しました。これを「蛤御門の変」あるいは「禁門の変」と呼びます。この時、敗れた長州藩士の亡骸が霊明神社に運びこまれました。

やがて朝廷は「長州征伐」を発令。これに対し長州は恭順派が主力となり、主戦派の重役が切腹あるいは斬首になって全面降伏。この時、新政府樹立も考えていた西郷隆盛が「謝罪と責任者の処断」だけで長州の存命を図りました。
ところが長州内では高杉晋作ら奇兵隊がクーデターを起こし主戦派が実権を奪還。これに対して幕府は「第二次長州征伐」を発動しましたが、この間に坂本龍馬の暗躍で「薩長同盟」が成立し、薩摩軍が「討伐」をサボタージュ。
なおも攻め込んだ幕府軍を高杉晋作の奇兵隊が諸所で打ち破りました。ちなみに山口県には今も「長州征伐」という言葉はありません。長州のすべての入り口を攻められたが打ち破ったという意味を込めて「四境戦争」と呼んでいます。

これで時勢は大きく転換。一気に薩長連合による討幕の流れができて、幕府による大政奉還がなされ、明治天皇を担いだ明治維新政府が発足しました。
しかしその直前の1867年に坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺されてしまいました。このときも二人の遺骸は霊明神社に運びこまれ「神葬祭」が行われました。

「維新」を成し遂げた明治政府は直ちに大規模に招魂祭を行うことを命じ、この地に長州藩招魂社を建てさせ、続いて維新に参加した諸藩のものも建てさせました。しかし薩摩は入っていません。あくまで長州が主体なのです。
慶応4年(1868年)、明治元年(同)と繰り返し招魂祭が行われ、新首都にも東京招魂社が建てられましたが、これが明治12年に「靖国神社」と改名させられました。このとき各藩‐県の招魂社も「護国神社」に名を改めました。
霊明神社に至っては境内の多くを政府に召し上げられてしまい、そこに新たに京都霊山護国神社が建てられたのでした。(霊明神社は規模を縮小していまも隣に存在しています)。

このように明治維新は、黒船に象徴される西洋の暴力に刺激された「志士」たちのテロルの連続と、内戦の中で成立しました。そのエッセンスが招魂社にこもっています。
特徴は「天皇の為に戦死したものを祀る」ことにあり天皇の「朝敵」は絶対に招かないことですが、
実はこれは日本史の伝統からも著しく切り離されています。この国では戦乱の双方を祀ることが多かったからです。そこには自らが倒した政敵が怨念となって復讐にくることを拝み倒して許してもらう意も含んでいたのですが・・・。

ところが靖国神社は「天皇の敵は許さない」思想で凝り固まって建てられました。根っこにあるのは「我らこそが天皇の真の家臣。我らを朝敵としたものを絶対許さない」という長州の怨念でした。
このなんとも言えない不寛容な思想が、明治、大正、昭和を貫くこの国の原型になってしまい、アジア侵略によって激しく爆発していきました。

その流れは、第二次世界大戦の敗戦でひとたび断ち切られてもいますが、いま、長州の末裔の安倍首相をトップにいただいた政権が進めている改憲策動を見ていると、亡霊たちがまたうごめいているようにも思えます。
相手の言っていることをまともに受け入れず、論敵を嘲笑したり侮蔑したりする安倍首相の態度をみるにつけ、幕末以来のテロルの応酬の歴史が彷彿としてきます。
平和の道を歩むためには、この国の近代の根っこにあるテロル性、暴力性と向き合わなくてはいけない。そのためにこそ20日にみなさんと京都霊山護国神社を訪れ、平和への思いを逞しくしたいと思うのです。

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明日に向けて(1526)イスラエル軍がどんどんパレスチナ人を殺している!あまりに惨い殺人を止めるためにできることをしよう!(ダニーさん・岡さん講演会にご参加を!)

2018年05月16日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180516 23:30)

アメリカが在イスラエル大使館を5月14日にエルサレムに移すという暴挙を行いました。世界中の反対を押し切ってです。
パレスチナの多くの人が怒りのデモに訴えていますが、パレスチナ自治区のガザでの4万人のデモにイスラエル軍が発砲を繰り返し、現時点で子どもを含む62人が射殺されてしまいました。けが人は3000人近くにおよんでいます。

なぜこんなことが起こったのか。
もともとエルサレムはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地が重なるところで、だからこそ長い歴史の中でたびたび衝突が起こってきたところでもあります。
イスラエルはこのエルサレムを「首都」と宣言してきましたが、世界中の国々や人々がこれを認めず、テルアビブを首都ととらえて大使館をおいてきました。アメリカもでした。

ところがトランプ大統領は選挙中から、エルサレムの首都「認定」とアメリカ大使館の移転を公約に掲げ、就任後も実行をほのめかしてきました。
これに対し昨年12月に国連総会でエルサレムの首都認定の撤回をアメリカに求める決議が128か国の賛成で採択されています。
にもかかわらずトランプ大統領はこうした世界の人々の反対を押し切って14日に大使館移転を強行したのです。

パレスチナの人々は猛反発。激しい抗議を繰り返していますが、その根拠の一つはパレスチナの人々も独立国家が認められたらエルサレムを首都にすることを共通の意志にしているからです。
ただしその場合は「東エルサレム」のみをパレスチナの首都とすることが考えられてきたのでした。
トランプ大統領はこうしたパレスチナの人々の意志を無視し、世界中から批判を浴び続けているイスラエルの主張だけを受け入れてしまったのです。

しかもこの移転の日が最悪でした。なぜなら5月15日のイスラエル建国70年周年の日にあわせてたのですが、この日はパレスチナの人々にとっては、自分たちが生まれ故郷を追われ始めた大厄災=「ナクバ」の初めの日を意味しているからです。
そこに合わせて大使館移転が強行されたため、より激しい怒りのデモが沸き起こったのです。ところがアメリカの暴挙を歓迎するイスラエルが直ちに軍を出動し、デモ隊に対してガス弾や実弾での射撃を浴びせかけ、多数の人々を殺害しているのです。

あまりにもひどいです。なんとかこの殺人を止めたい!
抗議の声をあげていきたいですが、同時にみなさんにこの時期にイスラエルのこと、パレスチナのことへの認識を深めていただきたいです。事態を知ることから解決の糸口も見えてくるからです。

そのために推薦したいのがユダヤ人のダニー・ネフセタイさんが書かれた『祖国のために死ぬのはすばらしい?』という本を読むこと、またダニーさんのお話を聞くことです。
またパレスチナの問題を最も積極的に解き明かしてきた広河隆一さんや岡真理さんの本を読み、講演会などに参加して欲しいです。

具体的な企画としては関西でのものになってしまいますが、5月26日土曜日夜に京都市内でダニーさんの講演会があるのでぜひお越しください。この日は僕も駆けつけて一言挨拶させていただきます。午後6時半からウイングス京都にてです。イベントページを貼り付けておきます。

国のために死ぬのはすばらしい? ~外国人の目に映る人権~
https://www.facebook.com/events/170650453756149/

5月27日には大阪市西淀川区民ホールで岡真理さん講演会が行われます。この日もダニーさんも参加!他の方からも報告があります。チラシのアドレスを示しておきます。

パレスチナ「建国」70年の意味~パレスチナから日本を撃つ 岡真理講演会
http://www17.plala.or.jp/kyodo/0527.pdf

世界全体が平和になることを目指して、学びを深めながら声を上げ続けましょう!

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明日に向けて(1525)被爆2世・3世交流と連帯のつどいを京都市で行います!(5月19日、20日)

2018年05月15日 21時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180515 21:30)

表題のように5月19、20日に僕が世話人として参加している京都「被爆2世3世の会」や、岡山、広島の会などを中心に構成している「被爆2世・3世交流と連帯のつどい実行委員会」主催の「交流と連帯のつどい」を開催します。
1日目は西本願寺「聞法(もんぽう)会館」2日目は「キャンパスプラザ京都」が会場です。その他、龍谷大学大宮キャンパス食堂での交流会や20日午後のオプショナルツアーもあります。

このつどいは被爆者、被爆2世・3世であるかどうかに関わりなく参加できます。
とくに岡山在住の三田茂医師が定義するところの福島原発事故によって被曝した「新ヒバクシャ」のみなさんにもぜひ参加して欲しいです。

初日は木戸季市(きどすえいち)さんの講演があります。「核をめぐる今日の情勢と2世・2世に期待すること」というタイトルです。
木戸さんは1991年、岐阜県の被爆者団体(岐朋会)結成当初から事務局長を務め、2008年より日本被団協事務局次長を歴任、2017年6月より事務局長に就任された方です。
被爆者は「決して誰にもあの地獄を体験させてはいけない」と考え、そのために核兵器廃絶を訴えるとともに「被爆者は報復の思想と無縁で報復を厳しく拒否している」と訴え続けてこられたそうです。

2日目午前中は2つの分科会を行います。被爆体験の継承についてと被爆2世3世の健康問題と対策についての話し合いです。
このうちの「健康問題と対策」の会で僕がコーディネータを務めます。
三田医師が3月に出された「『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている」という論文や三田さんのメッセージも参照しながら、それぞれが幼年期からいままでを含めて、身体に起こってきたことを検証し、対策についても話し合います。
この分科会にはぜひ「新ヒバクシャ」のみなさんにも参加していただきたいです。

20日午後はオプショナルツアーで「立命館平和ミュージアム」と「京都霊山護国神社」への訪問を行いますが、後者のガイドも僕が務めます。
この訪問については後日、詳しい内容を提示します。

以下、案内を貼り付けます。
なおすでに受付終了となっていますが、当日まで申し込み可能です。
誰でも参加できますのでぜひご参加下さい!

*****

第3回 被爆2世・3世 交流と連帯のつどい
~京都で会いましょう~
2018年5月19日(土)~20日(日)
http://aogiri2-3.jp/indexbox/2018051920.pdf

被爆2世・3世の皆さん
昨年は国連において核兵器禁止条約採択、続いて「ican」がノーベル平和賞を受賞するなど朗報が相次ぎました。私たちの運動に明るい光が見えはじめています。この流れを止めるわけにはいきません。
今年もお互いの思いや活動の経験交流と学び合いを通して、より充実した「2世・3世」の運動を考え合う機会をもちたいと、交流と連帯のつどいを開催します。
誘い合って集まりましょう!おしゃべりしましょう!

全体会 
記念講演「核をめぐる今日の情勢と2世・2世に期待すること」
講師 木戸季市さん 日本原爆被爆者団体協議会(日本被団協)事務局長

分科会 
被爆体験の伝承・普及を2世・3世はどう取り組んでいる?
被爆2世・3世の健康問題と対策を話し合ってみよう

タイムスケジュール
5月19日(土)
全体会 14時~18時
会場 西本願寺「聞法(もんぽう)会館」 京都市下京区堀川花屋町上がる
夕食交流会 18時半~20時半
会場 龍谷大学大宮キャンパス生協食堂

5月20日(日)
分科会 9時半~12時
会場 キャンパスプラザ京都 京都市下京区西洞院塩小路下がる

オプション 午後
立命館大学国際平和ミューアム訪問
京都と平和の歴史跡などのフィールドワーク(京都霊山護国神社訪問)

主催 被爆2世・3世交流と連帯のつどい実行委員会

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明日に向けて(1524)大飯原発4号機が再稼働されましたがとても危険!後藤&守田対談動画をご覧ください。文字起こしの後半です(下)

2018年05月13日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180513 23:00)

大飯原発4号機が9日に再稼働し、10日にさっそく水位計の不具合で間違って警報が鳴りましたが、関電は「問題なし」として送電を開始。出力をあげています。
こうした事態を前に、2015年夏、川内1号機が再稼働されたときに後藤政志さんと守田で行った対談動画を観ていただきたいと思って再度掲載し、文字起こしも紹介してきました。
4回にわたる文字起こしの前半をすでにご紹介しましたが、今宵は後半をご紹介します。再稼働問題のエッセンスとは何かをつかんでください!


福島原発事故からつかむべきこと
2015年8月14日 後藤政志&守田敏也 対談 東京品川にて
https://www.youtube.com/watch?v=TKJNkgNOgaI&feature=youtu.be

明日に向けて(1125)ベント後付けの条件設定を無理強いされて(後藤&守田対談から-3)‐20180820
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/b6723e704fd2df6cea3f4b429f55ec80
http://toshikyoto.com/press/1962

3回目では後藤さんが初めて「ガス抜き装置」のない格納容器をみて思ったこと。また格納容器の設計師となるや「ガス抜き装置=ベント」をつけることを求められた時のことをお聞きしました。

守田
「先ほどお話をうかがったときのことで、ちょっと突っ込んでしまいますけれども、ちょうど後藤さんが東芝に入られた後にベントをつけることになったということをお聞きしました。あの話をもう少し聞かせて下さい」。

後藤
「私が会社に入ったのは1989年です。ちょうどチェルノブイリ事故もありましたし、格納容器の持つ意味が大事だとされていました。
それで格納容器を担当する時に、一番最初にビックリしたのは、普通、ボイラーなどは圧力が高まると爆発してしまうから、設計上耐えられるとされる圧力より1割ぐらい越えると確実にバルブが開いて圧力が逃げるようにしています。
バルブは何個もついています。危ないから。そうなっていることを知っていましたから、格納容器を見たときに逃し弁がないので「えっ、大丈夫?」と思いました。
でも「ちょっと待って。格納容器は違うよな」と考え直しました。原子炉圧力容器はいいのですよ。圧力容器はそこから圧力を逃がして格納容器の中に吹けばいいのですけれども、格納容器は放射能を閉じ込めるので外に出してはいかんわけです。
そうするとガス抜きできないという立場なのですよ。そうすると設計気圧が4コンマ幾つとか、3コンマ幾つとか言うのですけれども、それって絶対的なのです。絶対に越えてはいけない。それって結構、厳しくて、真剣に設計を見ていたわけです。

その時に何年もしないうちに、1992年にはもう言われていたと思いますが、社内で安全担当というのがいます。それが技術の上流側にいるわけです。その安全担当が来て、今ある格納容器は何気圧まで、何度まで持つのか。「言え」と言うのです。
「言え」たって、そんなのは「設計は3コンマ幾つ、温度は171℃」とか説明するわけです。当たり前じゃないですか。それを越えるなどありえないのです。
ところがそれを何とかという意味は、システムがうまく作動しなくて、本当は緊急炉心冷却系、ECCSで、配管破断が起こった時にそれで水をぶち込む、それが何個もついているのだけれど多重故障を起こしてみんな停まってしまう。
そうなると冷却できなくなって温度が上がっていく。そうすると格納容器がぶっ壊れたら大変なことになるので、どこかでガス抜きしなくてはならない。それを決めるのに「どこまで持つか、頑張って欲しい」とこう言われたのです」。


明日に向けて(1126)安全についての考え方を身につけることが問われている(後藤&守田対談から-4)‐20180821
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0643e26193fcc0fd7471b3f25e51ee0f
https://toshikyoto.com/press/1965

4回目では安全工学の考え方を市民が身に着けることが社会の安全性を高めることになることを話し合いました。

後藤
「もともと格納容器というのはパッシブセーフ、受動的安全、つまり何も機械を動かさなくても、格納容器を隔離弁を閉じて鎮めると何もしなくてもそれで持つというのが格納容器の概念なのです。
それを「ある時には持たなくなる」と言ったとたんに破綻しているわけです。ですから「自殺」と言う表現もとりましたが破綻しているわけなのです、設計思想が。
そうすると破綻したものを取り繕うこと自身が、私も教えている設計工学で言っても設計のあり方として間違っているのです。
根本のところを変えずに付けたし付けたしでやれば必ず破綻するというのが設計学の常識で、いつも「やめろ」と教えているのです。それなのに自分がやったことがそうなっているでしょう。どうみても納得できないですよ。それが正直なところです」。

守田
「私は、直接的には後藤さんとは原発の問題でお話しているわけですけれども、これはやはり技術論全体に関わることだと思うのですよね。
その点で単に原発のことだけではなくて、多くの市民の方が安全工学の観点と言いますが、そういうものを見につけることが私たちの社会全体の安全性を高めることになると思うのです」。

以上で動画と文字起こしの紹介を終わります!
ぜひ多くの方にお伝えください。

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明日に向けて(1523)大飯原発4号機がもうトラブルを起こした!再稼働はやはりとても危険だ!

2018年05月12日 02時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20180512 02:30)

9日に再稼働を強行した大飯原発4号機、もうトラブルを起こしました。
10日午後5時38分に蒸気発生器の水位計が異常を検知。「原子炉を止めよ」という警報を発信しました。
以下、正確を期すために関西電力のプレスリリースを貼り付けておきます。

「大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力118万キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、平成25年9月15日から第15回定期検査中のところ、本日17時38分、中央制御室原子炉盤に「原子炉トリップパーシャル※作動(原子炉系)」警報が発信し、同時刻に復帰しました。同時刻に、プラント計算機に「C蒸気発生器水位低原子炉トリップパーシャル」警報が発信し復帰しました。
プラントパラメータ等を確認したところ、蒸気発生器(2次系)の水位は規定値内であり、プラント状態に異常はありませんでした。
これにより、17時00分から実施していた原子炉出力上昇操作は中断していますが、今後、念のため水位計について問題がないか点検し、問題がないことが確認できれば、原子炉出力上昇操作を再開する予定です。
また、周辺環境への放射線の影響はありません。

※原子炉をトリップ(停止)させる信号は4系統で構成されており、そのうち1系統の信号が作動した時に発信する警報である。なお、2系統以上の信号が同時に作動すれば、原子炉は自動停止する。
[平成30年5月10日 お知らせ済]

本日20時25分から21時05分において、C蒸気発生器の水位計について点検を行い、異常は認められなかったことから、今後、準備が整い次第、原子炉出力上昇操作を再開する予定です。」

大飯発電所4号機の状況について(「原子炉トリップパーシャル作動(原子炉系)」警報の発信)(第2報)
2018年5月10日 関西電力株式会社
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2018/0510_4j.html

要するに蒸気発生器という部品の水位に異常がないのに水位計が「危険」を感知し、警報を鳴らしたというのです。
「原子炉トリップ」というのは原子炉を止めることで、4系統のうち2つが動いたら原子炉が止まるのですからあと一つで緊急停止していたわけです。

このリリース、良く読み込むとなんとも奇妙です。
水位が危ないわけではないのに水位計がアラームを出した。それで念のために水位計も点検した。でも問題がなかったから中止していた出力上昇作業に入ると言っているからです。実際に大飯4号機は11日17時から発電を開始しています。

ではなぜアラームが鳴ったのでしょう?点検して問題がないと言ったって、水位がおかしくないのに「おかしい」という警報を発したのですから、どう考えたって水位計の誤作動なのです。
しかし「異常は認められなかった」という。これは実際には「異常が起こったけれど原因が分からなかった」ということなのではないでしょうか。プレスリリースを読む限りそうしか解釈できません。「なぜ誤報が発せられたのか」がどこにも書いてないからです。

今回のこの故障事故は、明日にも大事故が起こるような兆候ではないだろうとは思います。
しかし安全装置の不具合で、適正に働いていないわけで、そうなると他の水位計は大丈夫なのかという懸念も生じます。
水位が下がってもいないのに「警告」を出してしまったのに、その原因も特定しなければ修繕もしていないからです。

いや恐ろしいのは今回は安全な状態なのに危険と判断したわけですが反対も起こりうるのではないか。危険になっているのに感知しない。そういう危機的な誤作動もありうるのではないか。それなのに原因究明がなされない。このあり方に僕は巨大な危険性が潜んでいると思います。

なんでこんなことになるのか。一次冷却水ポンプについて指摘してきたように、実は原発はさまざまな点で完成していないプラントで、計器の不具合など、頻繁に起こっているからだと思います。実は細部では分からないことだらけ。しかし「そんなことにかまっていたら運転できない!」というのが電力会社側の本音でしょう。まさにそこに本質的な危機があるのです。

ともあれ大飯4号機のウォッチを続けます!

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