規制改革・民間開放推進会議の官製市場民間開放委員会(官業民営化等WG)は、官業の民間開放に関する各省庁ヒアリングを実施中であり、10月22日(金)の会議において、登記事務の民間開放に関して、法務省民事局が次のとおり回答している。
官業民営化等WG2次ヒアリング「質問事項」に対する回答(法務省民事局)
登記事務の民間開放を求める意見は、「登記事務が定型的であり、全国統一基準をマニュアル化することによって、民間に開放可能」という考え方である。これに対して、法務省民事局は真っ向から反論しているが、私は法務省側に理があると考える。
登記は、公示制度に過ぎず、公信力はない、のであるが、実務界で「登記事項証明書」に多大の信頼が置かれているのも、また不動産登記の対抗要件主義が機能しているのも、中立、公正な立場での登記事務が遂行されているからである。登記事務が民間会社に移管されると、必ずや経済合理性に基づく「経営的判断」に基づく処理に流されるであろう。オンライン申請の導入により便利になる側面もあるとはいえ、民間移管は登記所統廃合にも拍車を駆け、デジタルデバイドは登記申請においても顕著なものとなろう。
登記事務が定型的に映るのも、司法書士による事前チェックを経ての登記所における審査、という二重のチェック機能が働いているからであり、そのいずれが欠けても真正かつ円滑な登記申請制度は維持できないと考える。何事もなく登記完了するのが大多数であり、一見定型的に映る登記事務も、二重のチェック機能が「不正な登記申請」を防止しているが故である。また、全国統一基準のマニュアル化は理想ではあるのだが(登記官ごとに相反する判断がなされては、実務は混乱する。)、現行の登記審査事務を仄聞する限りにおいても、現実としては非常に難しい話であろう。
もちろん唯一無二の制度ではない(司法書士制度も然り。)であろうから、真正を担保しうる代替的制度に移行可能であれば、現行制度に拘るつもりは毛頭ないが、難しいと考える次第。
官業民営化等WG2次ヒアリング「質問事項」に対する回答(法務省民事局)
登記事務の民間開放を求める意見は、「登記事務が定型的であり、全国統一基準をマニュアル化することによって、民間に開放可能」という考え方である。これに対して、法務省民事局は真っ向から反論しているが、私は法務省側に理があると考える。
登記は、公示制度に過ぎず、公信力はない、のであるが、実務界で「登記事項証明書」に多大の信頼が置かれているのも、また不動産登記の対抗要件主義が機能しているのも、中立、公正な立場での登記事務が遂行されているからである。登記事務が民間会社に移管されると、必ずや経済合理性に基づく「経営的判断」に基づく処理に流されるであろう。オンライン申請の導入により便利になる側面もあるとはいえ、民間移管は登記所統廃合にも拍車を駆け、デジタルデバイドは登記申請においても顕著なものとなろう。
登記事務が定型的に映るのも、司法書士による事前チェックを経ての登記所における審査、という二重のチェック機能が働いているからであり、そのいずれが欠けても真正かつ円滑な登記申請制度は維持できないと考える。何事もなく登記完了するのが大多数であり、一見定型的に映る登記事務も、二重のチェック機能が「不正な登記申請」を防止しているが故である。また、全国統一基準のマニュアル化は理想ではあるのだが(登記官ごとに相反する判断がなされては、実務は混乱する。)、現行の登記審査事務を仄聞する限りにおいても、現実としては非常に難しい話であろう。
もちろん唯一無二の制度ではない(司法書士制度も然り。)であろうから、真正を担保しうる代替的制度に移行可能であれば、現行制度に拘るつもりは毛頭ないが、難しいと考える次第。