司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

ひとりでも遺産分割の可否(東京高裁判決)

2015-04-16 10:43:42 | 不動産登記法その他
東京高裁平成26年9月30日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84784

【判示事項】
被相続人甲の遺産について遺産分割未了のまま他の相続人が死亡したから当該遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してされた当該遺産に属する不動産に係る相続を原因とする所有権移転登記申請に対し,登記官が登記原因証明情報の提供がないとしてした却下決定が,適法とされた事例

【裁判要旨】
被相続人甲の相続人が乙及び丙の2人であり,被相続人甲の死亡に伴う第1次相続について遺産分割未了のまま乙が死亡し,乙の死亡に伴う第2次相続における相続人が丙のみである場合において,丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してした当該遺産に属する不動産に係る第1次相続を原因とする所有権移転登記申請については,被相続人甲の遺産は,第1次相続の開始時において,丙及び乙に遺産共有の状態で帰属し,その後,第2次相続の開始時において,その全てが丙に帰属したというべきであり,上記遺産分割決定書によって丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続したことを形式的に審査し得るものではないから,登記官が登記原因証明情報の提供がないとして不動産登記法25条9号に基づき上記申請を却下した決定は,適法である。

cf. 原審 東京地裁平成26年3月13日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84478

 高裁判決がアップされたということは,最高裁で決着がついたのであろうか?

 果たして,最高裁の判断は?

cf. 平成26年12月23日付け「ひとりでも遺産分割」の否定に関する考察



 なお,東京高裁の判決中(7頁),

「たしかに,上記認定事実によれば,従来の上記ア(イ)の登記実務は,法務大臣等の公式見解に基づくものではなかったとしても,長年の間広く安定した実務であったこと,この取扱いの相違により登記申請者の負担にも大きな差が生じることが認められるから,この取扱いを変更するに当たっては,できる限り登記実務の混乱を避け,予測可能性を高める手立てを講ずることが望ましかったというべきである。」

と述べられている。もっともである。
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