Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
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ドン・ウィンズロウ『野蛮なやつら』

2013-05-05 21:01:52 | エンタメ


久しぶりの読書。
ゴールデンウィーク中は東北一周旅行に行ってました。
車でまわっていたのですが、やはり長距離ドライブになるので疲労が凄くて・・・
夜ホテルで読もうと思い『1Q84』を持って行ったのですが、そんな体力はありませんでした。

で、関東に帰ってきてから読み始めたのが本作。
ウィンズロウお得意のアウトローノベルで、文体も以前より更にソリッドになっていました。
(文体のみならず色々な部分を「ぶっ壊そう」と意識したとのことですが)

大筋は、理想の麻薬を追及する二人の男が、愛する女を大組織から奪還すべく色々暴れるというもの。
良くも悪くも単純で分かりやすい!
この展開になるまでの前置きがかなり長い点はちょっと微妙。
それでも、投げつけるような文体が良い方向に働き、ページはどんどんめくれていきました。

序盤は、三人の自堕落な生活がひたすら綴られるパート。彼らなりの幸せの構図。
中盤に、そんな生活は続かないとばかりの大組織からの脅迫と、愛人の誘拐が発生。
終盤は、自分たちから麻薬を搾取する大組織から女を取り返す復讐パート。これはとても爽快。
主人公は、元軍人で腕の立つチョンと力はないが冷静なベンの二人。
この二人が知略をこらし、強大な敵を罠に嵌めていく様が面白い。
終盤は胸がスッとする展開。

しかしながらこの二人(+一人)も世間から見れば極悪人であることには変わりないわけで。
めでたしめでたしで終わらないところも物語の味のひとつ。

『犬の力』のような大スケール感はないながら
クライムアクションムービー一本分の満足感は十分にありました。


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