万葉うたいびと風香®’s ブログ

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飛鳥 ~八重山吹~

2009年07月31日 | 万葉集と風土
山振之 立儀足 山清水 酌尓雖行 道之白鳴  万葉集巻二 158 高市皇子

山吹きの 立ちよそひたる 山清水 酌みに行かめど 道の知らなく

風香訳:山吹が寄り添うようにある山清水。汲みに行こうにも黄泉の国への道を知らない。現身(うつそみ)の私はどうすることもできない・・・。君に会いたい。



天武天皇と胸形尼子娘との間の子、高市皇子が十市皇女のために詠んだ句である。

十市皇女は、天武天皇と額田王との間にできた一人娘。
高市とは異母兄弟であった。
今では考えられない恋愛であるが、当時にはよくあったことである。

十市は天智天皇の皇子、大友皇子と政略結婚していたが壬申の乱により大友は自害。
後、父の天武天皇に伊勢神宮の斎宮に仕えるよう命じられる。
斎宮へ旅立つ日の朝、十市は不慮の事故で亡くなるが、万葉集、日本書記とも詳細については述べられていない。
そのことが自殺であった可能性を否定できなくしている。

この事件を踏まえた上で高市皇子が十市皇女に挽歌として3首万葉集に残している。
あとにも先にも高市皇子が残している句はこの3首のみであることは、十市皇女への思いが特別なものだったことを想像できるであろう。

万葉集には、紀に曰はく、「七年戊寅の夏四月丁亥の朔の葵巳、十市皇女卒然(にわか)に病発りて宮の中に薨りましき」といへり とある。

山吹は、一般的によくみるのが園芸種の八重山吹。
一方この歌に歌われた山吹は山の裾野によく自生している一重の山吹であろう。
万葉歌ではあえて八重山吹として
花が咲いても実がならない悲しさ、切なさを高市の思いと重ねてみた。

明日香あたりは四方、山に囲まれていたであろうから5月あたりあちらこちらで自生の山吹が咲いていたに違いない。



 




劉一&ティンティン  シルクロードの調べ

2009年07月25日 | なごみ
「シルクロードの調べ」の響きに惹かれ、昨晩友人と行ってきました。


50人限定のステージ上でのレクチャーコンサートという一風変わった趣向には、ご本人たちも初挑戦とか。

まずは中国琵琶の演奏家 ティンティンさんから。
西安で生まれ、音楽一家で育った彼女は6歳から琵琶を始められたそう。
特殊な指使いの練習は毎日欠かさず1~2時間。
その後、琵琶の練習というから琵琶ずくめの日々が想像できよう。

中国琵琶の歴史は古く紀元前3世紀ごろにすでにその原型があったそうだ。
元はシルクの弦を使っていたが、「音」にこだわりはじめた頃に弦がスチール弦になっていった。
ティンティンさんが今回使われた琵琶は紫檀の一木造り。
その音色はとても優しく、はかなくもあり力強くもある、まさに歴史そのものであった。
演奏された曲は全4曲。
最後に奏でた「天山の春」という曲は、新疆ウイグル自治区にある天山山脈を唄った曲で、目をつぶればいにしえにタイムスリップできるほどの深みのある曲でした。

休憩を挟むことなく、次に登場されたのが劉一(リューイー)さん。
上海音楽院を卒業し、故郷中国において中国笛の若手奏者第一人者で、作曲、編曲もてがけ世界で演奏活動を行うという経歴の持ち主。
今回はアルトからソプラノまで4、5本の笛を演奏された。
国家秘密である循環呼吸をあやつる彼の笛の音は、笛の音が聞こえるやいなや、一瞬にして彼の世界に引き込まれてしまった。
中国古曲も併せて、全4曲を演奏。
中でも日本の歌、「荒城の月」の編曲はすばらしく中国笛の澄んでいながらも深みのある音、ヴィブラートの利いた音は圧巻でした。
独奏後、最後に二人の中国琵琶と中国笛での「春江花月夜」の合奏とアンコール曲で締めくくられ、コンサートは終了。
TVコマーシャルのBGMや世界ウルルン滞在記のBGMにもお二人の音が使われているそうだ。
こんな距離感でプロの演奏が聴けるという機会は、次回があるんだろうか。
そんなことを思いながら、とても満ち足りた1時間30分を名残惜しくもあとにしました。

普段の喧騒を離れ、こうした時間を持てたことに感謝。









犬養万葉記念館

2009年07月16日 | なごみ
明日香村にある犬養万葉記念館。
国文学博士であった犬養先生を記念して2000年に記念館が完成。
明日香村岡にあるこの記念館は、万葉をこよなく愛された犬養先生のおもかげが感じられるべく1Fは犬養先生の書斎の再現、展示スペース、カフェ、図書コーナー、2Fも展示スペースと、こじんまりとしながらも万葉が感じられる造りとなっています。
中でもお気に入りは、エントランス。
お天気のいい日は赤い毛氈が引かれ中央には高市皇子の
『山吹の 立ち儀ひたる山清水 汲みに行かめど 道の知らなく』の歌碑が犬養先生の揮毫で立っていて、この空間が何とも落ち着くんです。

入り口を入ると、中央の大画面のTVより犬養節が。
高らかに斉唱してみえる犬養先生は、まるでそこにみえるようです。
展示スペースには著書「万葉の旅」の取材ノートの原本等が季節ごとの企画展に併せて入れ替え並べられ、書かれた字には言霊が宿っているよう。

入場券代わりにもらえるのは「万葉は青春のいのち」と書かれたしおり。
私は手元にもっている犬養先生の著書専用のしおりに使っています。

何時でも時間を忘れいられる特別な場所。

みなさんも明日香村へ行かれた折には是非足を運んでみて下さい。



七夕の夜。

2009年07月08日 | なごみ
夜、明日香村についてのネットサーフィンをして楽しんだせいだろうか。
なかなか寝付けずマイ明日香コレクションを床についてからも読みあさり、ようやく就寝。
夢の中で明日香村にいる自分にハッとし目が覚めたのが1時55分。
窓から月明かりがこぼれる。
「ああ、満月近かったんだったんだあ」
そんなことを考えながら織り姫、彦星に思いを馳せていると、雲の動きの早さに更に目が冴える。
白い雲間から月が左右に見え隠れしていると思えば、真っ黒な雲に上下に隠されるお月さま。
月光が遮られる瞬間だ。
やっぱり天上は天の川で埋めつくされているのかなあ。
そんなことを思いながらいつの間にかまた深い眠りにはいっていった。
七夕の夜の天体ショー。
一年に一度の逢瀬は叶えられたに違いない。

今宵は七夕

2009年07月07日 | 心に留まった万葉一首
「天の川 霧立ちわたる今日今日と 我が待つ君し 舟出すらしも」

                   万葉集 巻8 1765より

今宵はまさに霧立ちわたる夕べ。
あいにく下界に住む私達からは、雲が覆って星を確認することはできないけれど、きっと霧にまぎれたその雲上は、澄み渡る天の川であふれているにちがいない。

こんな感性で歌が読めたらな。

意訳:天の川に霧がたちこめてきたわ。いまかいまかと私が待つあなた。
そのあなたが私のもとへ舟を漕ぎはじめた。今宵私の元へ・・・。




ユーミンコンサート TRANSIT2009 名古屋公演

2009年07月05日 | なごみ
友人夫婦に誘われ、ユーミンのコンサートに行ってきました。

学生時代よく聞いてた。
結婚してからも晩ご飯作りながらFMから流れるユーミンの歌を聴いて懐かしさや思い出に浸ってたっけ。
そんなことを思い出しながら会場のセンチュリーホールへ。

コンサートは、落ち着いた舞台演出で、ユーミンワールドへあっと言う間に引き込まれる。
飾らない喋りと生ユーミンの歌声は、すっと心に染み渡っていく。

中でも、ベルベットイースター、時のないホテル、埠頭を渡る風、青いエアメール等タイトルすら忘れかけていた懐かしいナンバーもあり、20数年前にタイムスリップしたようだった。

音楽の力ってやっぱり不思議。
あの曲を聴くだけで、あの時がよみがえる。

それにしてもプロのステージにはバックを努める人たちも一流なんだな。
特にパーカッショニストの小野かほりさんのパフォーマンスは素晴らしかった。
全身で表現する音。
更なる感動を頂いた。

ユーミンに感謝。








衣装作り始動

2009年07月01日 | なごみ
気がつけば7月。
秋初月(あきはづき)の別名をもつ今日から衣装作りにとりかかることにしました。
今年は「秋」をイメージした万葉装束に挑戦します。
知人から更に安い布屋さんを教えてもらい、昨日早速仕入れてきました。
安くてゴージャスに!これがモットーです。
はたして、どんな仕上がりになるのでしょうか?
皆様にお披露目できるのは早くてやはり秋かな。

秋が待ち遠しいです。