一気の読了だった。
面白かった。
道尾秀介は気になる作家である。
彼の『向日葵の咲かない夏』については、すでに2度もブログに書いた。
『向日葵の咲かない夏』道尾秀介著読了 - 温故知新~温新知故?
『向日葵の咲かない夏』その2 - 温故知新~温新知故?
今回の球体の蛇は本来、王様のブランチでとりあげられて、『向日葵の咲かない夏』より読みたかったのだが、図書館の予約がいっぱいで今の時期にやっと読めたという訳だ。
待ったかいがあり、面白かった。
サスペンス性とかどんでん返しとかミステリー性は『向日葵の咲かない夏』のほうに軍配が上がるかもしれない。
でも、これも日常性の中に潜むあるいはだれでも経験がある個人や子供の残虐性や異常性・非日常性みたいな物が鋭く描かれているような気がする。
グローバルという視点で考えると、この作者のテーマははずれて、むしろ日本的なドロドロとしたローカルなものが色濃く出ているような気がする。
私も、このような残虐性や異常性は心の奥底に秘めている感じがするのだけど、それがもしかしたら日本人的なアイデンティティなのかもしれない。
でも、このアイデンティティ、大嫌いなんですよね、実は。
日本人だと逃れならないのかもしれない。いや、私だけ特殊なのかな?。
怖い本です。
わたしも、これを読み終えた瞬間、個人的ないろいろな煩わしいことが同時進行していて、凄く落ち込んで気持ちになった。
やばいくらい。
今このブログを書きながら少し持ち直している。
そういう本なので、深刻な個人的な悩みを抱えている方には絶対薦めたくない。
読み終わったとき、気分転換ができる、仲間や、連れ合い、家族がいるなら、読んでみるのも良いかも。
でも、やっぱり凄いな、この本&作者。グローバルな意味でなく、日本ローカルとして。
道尾秀介、もう少し読んでみるかな。はまりそう。
Amazon.co.jp: 球体の蛇: 道尾 秀介: 本
1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。
ブログでもいろいろ取り上げられているようです。
球体の蛇 道尾 秀介 感想 - 読書メーター
一日一読 球体の蛇
スノードームの使い方、星の王子様からの引用、が非常に効果的であった。
また、主人公の心理描写も極め細やかに描きこまれていて、一種の回顧する青春物であり年上女性に強烈に惹かれる苦しい恋愛物、という甘酸っぱい側面もある一方で、
回顧していながら尚取り戻せない青春、二度とあの時には戻れない時代、という苦い側面もあることに眼を見開かされた。
この中で、白蟻駆除の仕事をしている父、が何ともいえないくらいにいい人だ。
自分だって苦しいのに人の子供を引き取ると言う男気がある人間。
裕福ではないのに、アルバイトまでさせてあげる人間。
以下では作者がビデオメッセージ!
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