温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

「コーダ あいのうた」をみた。〜障がい者の描かれ方がすばらしい〜

2023-01-28 20:42:08 | 映画、TV、ミュージカル、エンタ
『コーダ あいのうた』予告編<U-NEXTで好評配信中>
「コーダ あいのうた」を数日前にアマゾンプライムで見た。昨年のアカデミー賞で気になっていた作品だ。見てみると他の作品は、この作品には敵わないなと思った、良い映画でした。
フランスの映画祭で4冠取ったというのもうなづける内容でした。ちなみにタイトルの「CODA(コーダ)」とは、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」とのこと。音楽では演奏記号(終結部)で有名ですね。
なんといっても俳優が聴覚障害者であるということが感動する。
アカデミー賞®の前哨戦ともいわれるサンダンス映画祭で、史上最多4冠に輝き、世界を沸かせた〈必見の1本〉。その日、この映画が上映されるや、各国のバイヤーが配給権に殺到。サンダンス映画祭史上最高額【約26億円】で落札されたことも大きなニュースになった。 主人公のルビーには、大ヒットTVシリーズ「ロック&キー」で一躍人気のエミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート 未来へのうた』の主役でも話題のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは、オスカー女優のマーリー・マトリンを始め全員が実際に聞こえない俳優たち。そのキャスティングにこだわったのは、若き実力派監督シアン・ヘダー。 抱き合い支え合っていた家族が、それぞれの夢に向かって歩き始めることで、さらに心の絆を強くする──熱く美しい瞬間を共に生き、あなたの〈大好きな一本〉になる、爽快で胸熱な感動作。

家族の中でただひとり耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズがルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害のある俳優たちがルビーの家族を演じた。監督は「タルーラ 彼女たちの事情」のシアン・ヘダー。タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門を受賞。ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初のオスカー受賞者になった。
特に、感動したのは下にあるように聴覚障害者の描き方。そう彼らは健常者と全く同じように普通の生活をしているのだ。健常者としては、ついつい、そのように我々と同じ生活を、良いことも悪いことも同じようにして楽しく暮らしているということを忘れて、何か特殊な生活をしていると思ってしまうのだが、その辺りが普通に描かれているのが好感が持てる。感動の映画でした。
これは戦争にについても言える。下の私のブログにも書いたが、桜木武史さんという方が書いた本でわかるように、戦争している国は、年中皆が戦争していると思ってしまうが、実はそこには日常生活があるんですよね。スーパー行って食品を買って、食事をしたり、お茶を飲んだり、雑談したりという日常がゼロではない、ただ違うのは突然その場所で戦闘が始まるということ。
まあ、われわれは、当事者のことはわからないという謙虚さを忘れてはいけないですね。
元になったフランス映画「エール!」でも共通しているのが障がい者の描かれ方。性に対してあけすけで、無理を承知で主張を押し通し、Fワードも使えばナンパもする、見栄を張って自分を盛ってみせるなど、これまでにはなかった自由で個性的な人物たちが魅力的だ。

何よりもテレビなどのニュース報道などでは知り得ない、シリアの人びとの声というか息遣いが伝わってくることだろう。戦乱の中でひたすら生活を続ける人々。宗派は違うものの、多くの人びとがイスラム教徒としてモスクへ通い、祈りとともに、政治的な声を上げる。
それにしても聴覚障害者の俳優もすごいけど、主演のルビー役のエミリア・ジョーンズの演技もすごい。今後注目ですね。
興味深い映画でした。

22世紀の民主主義 読了〜海上自治都市協会、無意識民主主義、「エビデンスに基づく目的発見」「エビデンスに基づく価値判断」など素晴らしい内容でした〜

2023-01-23 17:57:46 | 
よく覚えていないけど、この本も以下の朝日新聞の書評を見て図書館で予約。いや、書評でなくて読書欄の広告でも見たのかもしれない。人気の本らしく、順番が来るのには時間がかかった。1ヶ月くらいかな。
データを介した人びとの行動履歴の収集とそれに基づく最適戦略の決定はデータ・サイエンスの得意とするところだ。もちろん、日進月歩とはいえ、アルゴリズムによる推測や決定はバイアスをまだ除去しきれていないし、データ収集手段がどれだけ拡(ひろ)がるかという技術的制約、ヒトが生来尊重してきた自己決定の感覚とのバランスなど、検討の余地がある課題は少なくない。しかし、立法・行政・司法の自動化という考え方自体は、現在政府が推進している「証拠に基づく政策立案」とも一致しており、本書の提案はその極端な発露でしかない。
 より本質的なのは、前提となる公理がない状態から、人びとの行動履歴「だけ」で社会が欲している目的(価値判断の基準)を推測できるかという問題だ。筆者は肯定的だが、評者も含めて懐疑的な読者も少なくないだろう。
目次は以下の通り
第1章︓故障 「民主主義は最悪の政治形態である。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば」 今、民主国家はどんな持病を抱えているだろう か︖
第2章︓闘争 選挙やその周辺の仕組みをどう改造すればいいだろうか︖ 一人一票で本当にいいんだろうか︖ 選挙区は地域で決めていていいんだろうか︖
第3章︓逃走 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。だが、逃げたくなるのが人情だ。 民主主義から逃げ出してしまう方法はないだろうか︖
第4章︓構想 問題から目を逸らして逃走するのではなく、民主主義の理念をより純粋に体現する仕組みを作れ ないだろうか︖ 選挙も政治家もない民主主義は ありえないだろうか︖
この本は、日頃、政治や選挙って、どうにかならないものだろうかとか、メディアはどうしてエビデンスを示さないのでフェイクっぽいニュースを、報道するのだろうか?などの疑問点を私と共有していて、なかなか興味深い内容だった。それは、上の本の写真に示した、ポストイットの量でみなさんもわかるだろう。よって、今回は、いつものようにキーワードを紹介するのは、本当にキーワードだけ拾う感じで簡略化する。それを以下に紹介。これだけポストイットがつくということは買うべき本なのかもしれない。
ー若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わらない。-->データから言える
ー選挙や政治というゲームに参加してプレイ
ーそもそも民主主義と資本主義は相容れない
ー民主国家ほど2001〜19年の経済成長が低迷-->データから言える
ー民主国家ほどコロナ禍初期に苦しんだ-->データから言える
ー「民主主義が人間をダメにするんじゃない。人間は元もとダメということを教えてくれるものだ」
ーブラジルでは、70歳以下の有権者の投票が気味で、蘇フェイ城の有権者の投票は自由
ー「ある世代だけが投票できる世代選挙区を作り出す」「投票者の平均寿命で表を重みづける」「未成年など選挙権を持たない子の親に代理投票権を与える」
ー海上自治都市協会と呼ばれる新国家設立運動-->現実にすでにある。幻の独立国家「ローズ島」の存在
ーまずやるべきは、民意や一般意思に関するデータをもっと解像度高く、いろいろな角度から取ることだ。
ーデータとしての民意、会議室の声を聞く-->データだけでなく生の声
ー無意識民主主義-->これは賛成だけど、それの解決をアルゴリズムだけに頼るのは賛成できない。
ー「エビデンスに基づく目的発見」「エビデンスに基づく価値判断」-->大賛成
ーグローバル軍事意志決定OS Gotham -->あるらしい。
結構いっぱいキーワードをあげてしまったけど、この辺でやめておきます。このようにいっぱい面白いキーワードがありますので、え?!、と思うキーワードがあったら、ぜひ本書を読まれることをおすすめです。

内容についての私の感想は、以下のアマゾンの読者書評にちかい。1章から3章までは、同感、同感という感じだったが、第4章で解決策はアルゴリズムで解決というのは納得できなかった。

5つ星のうち4.0
頭の体操に
日頃から政治問題について考えている人の多くは、現在の制度・環境下で何ができるかを考えがちだと思う。だからこそ、一歩引いた視点で民主主義を考え直すという試みは面白いし価値がある。 硬直した日本の政治・選挙制度が変わるのは、それを変えざるを得ないような重大インシデントの発生が契機になりそうだが、その頃に本書で紹介されるような種々のアイデアが人々の常識になり各種検討が進んでいたら、何も準備しないよりはマシだろう。 政治家の報酬を長期的課題解決のインセンティブと紐づけるのとかは、今すぐにでも検討したらいいのに。 個人的には投票の度にもどかしい思いをしているので、論点別に投票するような液体民主主義の研究が進むことに期待したい。でも実行するのは人だし、投票も面倒になるし、論点間の優先順位付けとかも難しいし、大きすぎる政府も嫌だし、AIに任せることに納得するにも時間かかりそうだし、とか考えると、自分が生きているうちにお目にかかるのは難しいのかもしれない。

語学の天才まで1億光年 読了 〜ボミタバ語 シャン語 ワ語って知っている?〜

2023-01-09 20:26:58 | 
この本は、いつものように朝日新聞の書評を読んで面白そうと思って、予約し、年末に順番が回ってきた。
「語学の天才まで1億光年」 [著]高野秀行  著者の高野秀行氏は辺境をテーマに旅する探検家・作家だ。20代の頃、アフリカのコンゴの奥地で幻獣「ムベンべ」を探し、ミャンマーでは北部の麻薬地帯「ゴールデン・トライアングル」に潜入。反政府ゲリラ組織でケシ栽培を体験し、『ビルマ・アヘン王国潜入記』を著した。本書はその彼が探検家としての豪快な歩みの中で、数々の言語をいかに習得し、使ってきたかを描いている。
言語習得というと硬い印象を持つかもしれないが、そこは「エンターテインメント・ノンフィクション」の分野を切り拓(ひら)いてきた高野氏のこと。本書にも世界に対する探究心やユーモアが渦になって溶け合い、その世界に引きずり込まれていく魅力があった。ムベンベの探索では現地の「リンガラ語」や「ボミタバ語」で住人にウケまくり、タイではビルマ語を学びながら、少数民族の独立運動にじわじわ入り込む。聞き取りやすいスペイン語を整然とした平安京の街並みに例えて解説するなど、様々な言語に対する深い洞察にも唸(うな)らされる。
現地の生きた言葉をあっと驚く学習法で血肉化し、その構造を謎解きのように分析する過程はまさに探検そのもの。そんななか、言語の学習と実践を通して、わらしべ長者の如(ごと)く物事の奥深くに進んでいく様子に、何度も度肝を抜かれずにはいられなかった。また、本書に登場する先生たちも個性的な人物ばかりで、思わず笑みがこぼれるエピソードが満載。悩み多き探検家のちょっとほろ苦い青春放浪記という趣もあり、とにかく盛りだくさんの読みごたえがあるのだった。
高野氏は言語習得を「RPGの魔法の剣」と呼ぶ。この言葉通り一つの「魔法の剣」で思わぬ扉が開かれるとき、目の前の困難な世界が色合いを持ち始める。笑いあり涙ありの鮮やかな筆致に触れるうち、次第に読者である自分が解き放たれていくように感じた。
内容としては、私はフランスの企業やアメリカ、イギリス、中国、ドイツの会社との共同開発業務の経験があり、英語以外にもフランス語やドイツ語圏の会社との外国語でのコミュニケーションの経験があり、特に英語圏以外のフランスや中国との共同開発の際に、フランスでは、おもった通りのものを食べたい、中国とは彼らの独特な文化というか中華思想のもとはなんなんだろうと興味を持った経験から、この本は面白そうだと思ったのだ。
よって、外国語を学ぶには何がキーなのかが書いてあることを期待していた。しかし、その期待はかなり裏切られたが、内容はリンガラ語、ボミタバ語、シャン語、ワ語など、聞いたことがない言語が次から次へと出てきて、もっと濃い話なので、興味深く読めた。その他にもタイ語や、中国語などについても著者の経験が語られている。
中でも一番、興味を持ったのは、この本の中に出てくる以下の比較言語学系統図のようなものでわかるように、言語とはいろいろな語群や族や派がいっぱいあり、フランス語、イタリア語、スペイン語はインド・ヨーロッパ語族のイタリック語派、ロマンス諸語に分類され、英語はインド・ヨーロッパ語族なのだが、ゲルマン語派の西ゲルマン語群にオランダ語とともに分類されるということだ。英語って、比較言語学的にはドイツ語の仲間なんですね。ドイツ語と英語はずいぶん違うと思うけどね。

そして、この本の著者は、この本を読むなで知らなかったけど、色々興味深い本を書いてる人なんですね。その著者は、言語を学ぶ際に大事な点をいくつかあげていた。まず、先生は日本人ではなく現地人にならうべきだということ、そして、二重録音学習法、物真似学習法、言葉を話すときの「ノリ」など、現地人から習うことで発音を正しくかつ、会話するときの「ノリ」まで含んだ活きた言語を習うのが大事だとのことだ。また、話したいことがあれば、ネイティブでない他の言語は話せるということだ。これは私も同感である。私は、フランスとの仕事の際は、食事の際には困ることなく、思った通りのものを食べるというモチベーションのおかげでレストランでは困らないだけの初歩のフランス語力が身についた。
YouTubeの動画も見つけました。
高野秀行『語学の天才まで1億光年』紹介動画
著者へのインタビューが紹介されているサイトも見つけました。
現地でリアルに使用する現実の言葉を習いたい ーー高野さんが海外の現地の言葉を覚えようと思ったのはいつですか?
高野 やはり大学時代にコンゴに行ったときですね。リンガラ語に出会ったことで、現地の言葉も覚えようとしたら覚えられるというのも知りました。
ーー高野さんは新しい語学は「RPGゲームの魔法の剣」であり、「探検」のようだとも言われています。もちろんその一面はありますが、私は高野さんが新しい語学を学ぶ目的は、新しい外国人と話し、親しくなること(ウケること)、大きな言葉で言えば「人類愛」のようなものにもあると感じました。そのあたりを高野さんはどう思われますか?
高野 新言語を学ぶ目的は、大げさにいうと、ファーストコンタクトですよね。自分にとって異文化の人は、異星人のようにも感じます。その人とどういう風にコミュニケーションをとって心を伝え合うかっていうのは、やっぱりすごく面白いことで、一番の方法が言語です。
その言語も、本には繰り返し書いてますが「情報を伝える言語」「親しくなるための言語」の2種類があります。これらも今回、頭の中を整理して、自分がそんな風に使い分けていることに気づいたんですけどね。
その他アマゾンの本書の紹介記事。
語学は魔法の剣! 学んだ言語は25以上!の辺境ノンフィクション作家による、超ド級・語学青春記。 自身の「言語体験」に基づき、「言語」を深く楽しく考察。自動翻訳時代の語学の意味を問う。
さらにネイティヴに習う、テキストを自作するなどユニークな学習法も披露。語学上達のためのヒントが満載。
そしてコンゴの怪獣やアマゾンの幻覚剤探し、アヘン栽培体験などの仰天エピソードにおける語学についても語られる。『幻獣ムベンベを追え』から『アヘン王国潜入記』まで、高野作品の舞台裏も次々と登場。

インドで身ぐるみはがされたせいで、英語が上達、暗黒舞踏家のフランス人女性に生きたフランス語を学び、コンゴでリンガラ語を話してウケまくる。
コンゴでの「語学ビッグバン」体験により、語学の面白さに目覚め、以後、現地を訪れる際に必ずその言語を学ぶ言語オタクと化した著者。
辺境の言語で辞書もテキストもない場合は、ネイティヴを探して学び、文法の法則は自分で見つける。
現地で適当に振り回すと、開かずの扉が開くこともある語学は「魔法の剣」だという著者。地域や人々を深く知る上で、語学がいかに有効な手段であるかも綴られる。
著者自作の地図や図版を多数掲載。各国、民族の言語観や、言語同士の相関をわかりやすく解説。知的好奇心が満たされるとともに、破天荒で自由な著者の青春記を堪能できる一冊。 言語愛あふれるエピローグも感動的。

最後にいつものようにキーワードを紹介。
ー 比較言語学において共通祖語(共通の祖先)、語族や語群がある
ー 「ムサシノ=ムシャシノ=ウエストバック」パパウェンパのバンドがウェストバックをアフリカに広めた、その後ザイコランガランガというばんどもそれに続いた。
ー 前近代社会に挨拶語はいらない。マイナーな語族の言語には挨拶後がないそうだ。小さなコミュニティでは挨拶は必要ない。挨拶後は、近代社会で形式的な用途の言葉。
ー 話したいことがあれば話せる
ー 二重録音学習法、物真似学習法が有効。
ー 言葉を話すときの「ノリ」や方言差を利用したジョークが現地に人と仲良くなって、言語習得に有効。現地の人と交わることが大事。
ー ザイールとコンゴの違い
ー リンガラ語には文字がない 少数派の言語には文字のないものが多い。ボミタバ語 シャン語 ワ語
ー 麻薬王クンサー。そもそも、著者の夢はアヘンを作ることだった。
ー コンゴの言語は3階建て。詳細は本で読んでください。
面白い本でした。

今年の初詣〜池袋氷川神社、港区愛宕の愛宕神社〜

2023-01-06 19:45:47 | その他
今年の初物でも1日は東京の住処の近くの氷川神社へ。
結構混んでいます。
氷川神社!。
江戸時代、富士登山のかわりになるという池袋富士塚がある。
そして、4日に例年よく行っている愛宕神社へも行った。ここは、10年以上前から行っているが、大河ドラマかなんかで有名になってから、混み方が激しくなってしまった。それが今年も続いている。今年は3が日を避けて4日にしたのだが、2023年初出社の後に仕事仲間でお参り風の人が多く、約2時間待ちでした。
ついた頃。
1時間以上経って、やっと他の人のお参りの様子が大きく見れるようになった。
周りのビル。
お参りの終わった頃はすっかり暗くなった。

出世の石段。
東京タワーが綺麗だった。

今年もいい年でありますように!。

現代ロシアの軍事戦略 小泉悠 著 読了 〜国力を失ったロシアが大国復活に向かう、NATOとの対決、なぜプーチンがウクライナに戦争を仕掛けたが少しわかる〜

2023-01-02 11:54:46 | 

小泉氏はTVにもコメンテーターとしてよく出ていて、ロシアに限らず兵器について詳しいので彼の本は読んでみたいと思っていて、たしかこれも朝日新聞の書評で知って予約した。
冷戦後、軍事的にも経済的にも超大国の座から滑り落ちたロシアは、なぜ世界的な大国であり続けられるのか。NATO、旧ソ連諸国、中国、米国を向こうに回し、宇宙、ドローン、サイバー攻撃などの最新の戦略を駆使するロシア。劣勢下の旧超大国は、戦争と平和の隙間を衝くハイブリッドな戦争観を磨き上げて返り咲いた。メディアでも活躍する気鋭の研究者が、ウクライナ、中東での紛争から極東での軍事演習まで、ロシアの「新しい戦争」を読み解き、未来の世界情勢を占う。 「軍事バランスでは劣勢にあるはずのロシアがこのような振る舞いに及び、実際に成果を収めることができたのはなぜなのか。そこには古典的な軍事力の指標では測りきれない要素が働いているのではないか。これが本書における中心的な問いであり、以下ではこれを様々な角度から検証していくことにしたい。」(本文より)

ロシアによるウクライナ侵略が始まってからというもの、小泉悠氏の顔をテレビで見ない日はないと言っても過言ではないだろう。専門的な知識を持たない一般の視聴者を置いてきぼりにしない分かりやすい語り口は、本書においても存分に生かされている。  こうした冷徹な判断のためには、ロシア軍を戦闘機や戦車などの性能だけで見るのではなく、彼らがどういう脅威認識を持ち、それにどう対応しようとしているのかという「軍事戦略」を知ることが重要になる。この点で、本書ほど充実した内容のものはないだろう。
本書の内容は、結論から言うと小泉氏は良くも悪くも軍事オタクなんだなぁ〜ということ。下のアマゾンの読者評にもある通り、今のウクライナ戦争の1年くらい前に、このようなことをまとめていたのはさすがである。
冷戦下で、国力を失ったロシアが大国復活に向かう、NATOとの対決、「ハイブリッド戦争」と「ドローン戦争」と言う言葉や2017年頃からロシアとウクライナの戦争はあったこと、「非接触戦争」(敵の戦闘力ではなく、経済力を標的)「非線形戦争」「永続戦争」などの「非軍事的闘争論」にある、軍事力だけではないものによる戦争が現実のものとなっていることを知ることができて、なぜプーチンが、今、ウクライナを攻撃するのかと言うのが、少しわかった。

5つ星のうち5.0 ウクライナ戦争勃発前の本だが、ロシアの手の内が良く分かり、とても役に立つ本。 2022年9月6日に日本でレビュー済み Amazonで購入 本書の初版発行は、2021年5月。ウクライナ戦争勃発の1年近く前である。とは言え、読んで無駄になる本ではない。 ウクライナ戦争で、泥沼にはまっているような感があるロシア軍だが、幾ら事前に考えておいても誤算が付き物なのが実戦だから、全ての前提が無に帰した訳ではないと言うべきだろう。 本書の内容は余りにも多岐にわたるので要約は避けるが、冷戦体制下で米国やNATOと真正面から対決して来たソ連と、同じ事をするだけの国力を失ったロシアが、必死で考えた小技の集大成についての調査と考察と思っておけば良い。 例えば、冷戦下のソ連は、核兵器の先制使用の放棄を表明し国際世論に訴えかけていたが、通常戦力で米国・NATO軍を緒戦で圧倒する自信があったからだとの事。逆に、通常戦力に不安があった米国、NATO諸国は核兵器の先制不使用を明言しなかったと言う。今や、事情が逆転してしまい、ロシアは核の限定的使用をちらつかせる事によって、バランスをとろうと必死なのだそうだ。 核兵器のような大規模な話でなくても、対テロ戦争のような国家間の直接的な対決でない非正規の戦争、近隣国家との軍事対決、SNSやインターネットを通じた対立国への世論操作など、それぞれの場合について、卑怯と呼ばれようとも、急所を突くことによって形勢を変えるような手立てを緻密に考え、練習し、可能な場合には実行して来た事を著者は明らかにしている。 また軍事的な手段によらない「政権転覆=西欧的イデオロギーの浸透」への警戒も忘れていないとしている。 ウクライナ戦争の実態を見る上で、上記のような本書の分析は非常に有効で、腑に落ちる事頻りだった。 それにしても、各国の文献や資料を気の遠くなるほど集め、整理・分析した大変な労作である。感心する事頻りであった。
小泉氏は、最近よくTVに登場するが、出演番組で、この本に書かれている内容をひけらかすような場面はないように思う、それはこの本の内容は数年前で、現在に彼の主張は、この本を執筆した時点とは変わっていると言うことが本質だろうが、番組や現在の世論に忖度しているのだろうと思われる。現在メディアはロシアは悪、ウクライナのゼレンスキーは善という扱いに偏向している(戦争は戦争している国はどれも悪)中、もっと事実に基づいた発言をしたほうがいいと思う。でも、この本のあとがきにもあるが、声高にそのような発言するのは、本来軍事オタクの彼としては避けたいのだろう。
また、この当時はロシアはドローンなどウクライナより装備的に優位だったようだが、昨今の情勢を見ると、ウクライナが欧米あるいはNATOの支援を得て、ロシアより優位に立っているということだ。ただし、現ジアのメディアは、ロシア悪、ウクライナ善なので、その過去には触れずに、ロシアは劣った戦力で無駄なことばかりしているというような扱いで、それは事実なのだけど、過去、それが逆転していて、数年で戦略的に取り組めば、しのげるという、今の軍事戦略の変化の激しさを痛感した。また、ロシアは、戦争を終わらせるのではなく、「勝たないように戦う」ことが目的という記述も新鮮に読んだ。
一つ不満を挙げると、彼は文章は決して上手くないように感じた、難しいかつ馴染みのない用語が多いのだから無理ないのだけど、述べられていることがスムーズに入って来なくて、何度も何度も同じ文章を読み直すことが多かった。

その他最後に、私が興味を持ったキーワードを上げる。
ー「戦略縦深」、クレピネヴィッチによれば、「より有利な地位を獲得するために、空間を時間、例えば戦争に突入する前に部隊を動員したり、有力な国家を同盟国として引き込む時間に変換するオプション」、つまり、広大な空間を保持しておけば、それだけで敵の侵略に対してより有利な対応をとるための時間的余裕がえられるということ。
彼のロシア対ウクライナの最新版戦争論を読みたいと思った。