読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

写真の歴史入門 第3部「再生」戦争と12人の写真家

2018年02月12日 20時18分59秒 | ■読む
鈴木圭子著、東京都写真美術館監修、新潮社トンボの本刊
シリーズ三作目の本書は、1930年代から60年代の写真家を取り上げ、その代表的な作品と共に、写真に携わるようになった経緯、時代背景との関係、思想、志向などを簡潔に取り上げつつ作品世界の特徴を論じています。特に戦争との関わり方を客観的に述べており、社会経済状況から写真に関わり続けるために戦争に荷担せざるを得なかったという前提から、その功罪は述べていません。本書では、写真を掲載する媒体として様々な書籍が出版され、それが写真の普及、ひいては写真家の育成と作品へどの様に影響を与えたかを論じています。著者の着眼点の秀逸さを感じました。
時代を写し取った名作の数々を見て、技術が進歩しても作品の奥にある視点こそが命であること、あるいは結果となって表れるのだということが分かります。収録作品はモノクロームですが、撮影条件の厳しい中で、35mm版と思しき作品群の鮮烈で骨太な描写に圧倒されました。また、撮影を通して表現する際に、被写界深度の用い方、光のとらえ方、構図などの重要さが良く理解出来た様に感じました。本シリーズは、美術館ならではの豊富な作例と、専門的な知見による解説が卓越しており、毎巻に触れる度に新しい世界に触れることが出来ます。
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URL => http://www.shinchosha.co.jp/writer/1856/
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評価は5です。

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