読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

錆びる心

2009年06月30日 20時14分41秒 | ■読む
桐野夏生作、文春文庫刊。 六編からなる短編集です。一編目の「虫卵の配列」を初めとして、主人公の眼差しを通した世界を描いています。そして、周辺の変わった人達。少し変わっていて、どこにでもいそうな人々。しかし、その顔の一部に生じた亀裂がぱっくりと開き、中からドロドロした気味の悪いものが溢れ出す・・・。そんなゾワリとする作品たちです。 ---------------------------------- . . . 本文を読む
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剣岳 点の記

2009年06月29日 20時40分45秒 | ■見る
浅野忠信さん、香川照之さん、お疲れ様でした。そして松田さん、蟹江さん良かったね。木村監督のすさまじい執念が完成させた映画であると思います。 本作品は、現地ロケで作った作品であるとの前評判と予告の映像に興味を惹かれ観ました。厳しい自然を描写したい、との思いが強く出過ぎていたせいか、かえって単調に感じる場面もありましたが、文字通り「凄まじい」という一語に尽きる映像の続出でした。太古の地球で堆積した土が . . . 本文を読む
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海のシルクロード7:仏陀と宝石~聖地スリランカ~

2009年06月28日 08時27分55秒 | ■見る
シリーズ7作目は、インド大陸の右下の島国、スリランカです。昨年、上野でスリランカ展を観たので、少し予備知識がありました。この島国は、インドで勃興した王朝から何度も侵略を受け支配されたこと。そして、ヒンズー教と仏教が交互に国教となったこと。 この国の以前の国名を名前を冠したセイロン紅茶の話は出てきませんでしたが、有名や、岩山の上の王宮跡が登場しました。これは有名な遺跡だとのことです。今では、国民の7 . . . 本文を読む
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ダック・コール

2009年06月27日 10時26分13秒 | ■読む
稲見一良著、ハヤカワ文庫刊。 稲見さんの作品は本書で二冊目です。一冊目は「セント・メリーのリボン」でした。短編集でした。本書も同じく短編集ですが、少し凝った作りになっています。そして、登場する6つの物語は、全く違った内容ですが、根底に流れるトーンは一定です。それは生きる上での悲しみと喜びをない交ぜにして、徒労とも思える人生に淡い光を投げ掛けることです。私達はなぜ生まれてきたのか、なぜ生きているのか . . . 本文を読む
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ハラスのいた日々

2009年06月26日 22時44分45秒 | ■聴く
中野孝次著、文藝春秋発行、武田国久朗読 本作の朗読を聞くのは二度目です。朗読が淡々としていながら、作者の愛犬ハラスに対する愛情が良く伝わってきました。思い付きでプレゼントンに希望した柴犬は、子供のいない夫婦のかけがいのない家族になります。幾分か理知に過ぎると思われる作者とその奥様が、幼いハラスに心を惹かれ、成犬になって以後、様々な体験を共有して、人間同士以上の深い絆を育んで行きます。 老犬になって . . . 本文を読む
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クライマーズ・ハイ:DVD

2009年06月25日 20時20分42秒 | ■見る
原作を読んで感動しました。そして、映画を見逃した事を公開しました。興味があったのですが、つい見逃してしまったのでした。そして、今日、DVDでやっと観ることができました。原作に手を加えていることは当然ですが、その修正が不快でなく、少し異なった感動を覚えました。原作での光っていたエピソードは抜かりなく盛り込んでいます。そして、配役が素晴らしい。主人公の悠木役の堤真一さんは、多少類型的と感じましたが、主 . . . 本文を読む
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影絵の騎士

2009年06月24日 20時18分33秒 | ■読む
大沢在昌著、集英社刊。 大好きな大沢さんの新作をほぼ10時間で読了しました。大沢さんの作品に登場する主人公は、何れも陰がある人物で、読み始めるとすっかり惚れ込んでしまします。そして、言葉で勝負してゆくことが主でアクションは従です。実は、私の仕事でもやばいタイプの人たちがたまに登場するのですが、大沢さんの作品などで仮想的に慣れているので、先方の脅しの意図が読めることがあり実益があります。安全に相手を . . . 本文を読む
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盲導犬クイールの一生

2009年06月23日 19時49分35秒 | ■聴く
秋元良平(写真)・石黒謙吾(文)原作、Sony Music 発行:朗読:石田ゆり子。 映画化されていることは知っていましたが、何となく甘ったるい話では、と思い敬遠していました。思い掛けず出くわしてしまう人間愛には照れなくても済むけれども、自分から入っていくには気恥ずかしい世界だから。しかし、散歩しながら聴くのだから、余り気にしませんでした。 意外であったのは、ノンフィクションであったことでした。石 . . . 本文を読む
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鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」

2009年06月22日 19時35分47秒 | ■読む
勝見明著、プレジデント社刊。 久々にしみじみとしたビジネス本に出会いました。昨年の10月に吉岡秀子氏の「セブンイレブンおでん部会(朝日新書)」で、セブンイレブンのプライベート商品の開発に対する拘りが一通りでなく、会長の鈴木敏文氏自らが目配りしていることを知りました。普通の人ではない、と感じましたが、本書では、そうした氏の非凡さが、詳細に語られています。 しかし、それだけであれば、他のビジネス本とさ . . . 本文を読む
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芋虫

2009年06月21日 09時21分44秒 | ■聴く
江戸川乱歩著、新潮カセットブック発行:白石加世子朗読。 戦争で四肢と聴覚を失い、口を聞くことさえできなくなった将校である夫が帰還し、妻が面倒を見る。そして、閉ざされた二人だけの情欲の世界に落ち込んで行く。ある時、妻は夫のあるまなざしに気付き、遂にその残された視覚さえ奪ってしまう。行き場のない絶望に落ち込んだ時に、人は何を見るのだろうか。乱歩は、そんな人間の心の奥底に棲んでいる狂気をえぐり出して私た . . . 本文を読む
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照沼コレクション展

2009年06月20日 14時48分20秒 | ■見る
茨城県近代美術館で、「照沼コレクション展」を見ました。これは、照沼さんという勤務医が、少しずつ買い求めた版画のコレクションを美術館へ寄贈したことを受け開催されたものです。清宮質文という作家のものが多いのですが、他の作家の作品もたくさん展示されていました。著名な山本容子さんの作品もありましたが、(名前は忘れましたが)最後に展示された20点ほどの作品が気に入りました。美術品の鑑賞は、自分が一点だけ買う . . . 本文を読む
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さらばモスクワ愚連隊:若山弦藏朗読

2009年06月19日 20時21分37秒 | ■聴く
五木寛之著、新潮CD発行。 1966年(昭和41年)に小説現代新人賞を受賞した作品です。五木さんの作品は初めてなので、興味深く聞き始めました。 若山弦藏さんは「刑事コジャック」の吹き替えなど、渋い声優として著名ですが、この作品では、重苦しく感じました。導入部の単調な記述のせいもあったと思います。しかし、次第に主人公の元ジャズマンの過去が明らかになり、ロシアでの冒険譚が進むにつれ、若山さんの朗読こそ . . . 本文を読む
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鳥山豊展

2009年06月18日 06時47分20秒 | ■見る
常陽藝文センターの「鳥山豊展」を観ました。非常に写実的な作風と技術をお持ちのようですが、この展覧会の作品群はユニークです。ちょっと観ると、家の柱ぐらいのサイズの直方体が並んでいます。漫然とみていると、たいしたことがないのでは、と思ってしまうのですが、一つ一つの作品には、それぞれ「仕掛け」があります。まず、作品を見て作品の全体像を捉えてから作品のタイトルを観ると、これが何とも面白い。人を喰った、とい . . . 本文を読む
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チロルチョコ

2009年06月17日 20時15分07秒 | ■味わう
最近、とても変わっていて美味しいチョコを食べました。チロルチョコの「三色だんご」というもの。たまたま食べたのが運の尽きで、すっかり肥満気味の身体に良くないことは分かっているのですが、何軒か探し回り、結局、家の近くのドラッグストアーで妻が発見。うれしかったなぁ。 写真にあるとおり、「さくらもち」、「みたらしもち」、「うぐいすもち」の三種類あり、色もそれぞれの団子の特徴通りです。それぞれチョコの中に『 . . . 本文を読む
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人でなしの恋:白石加代子朗読

2009年06月16日 18時28分40秒 | ■聴く
江戸川乱歩作、新潮カセットブック発行。 人でなしの恋とは、どうしたものをいうのか、読んだことのない私は、白石さんが演じる、語り役の嫁の話に聞き入りました。常の白石さんの朗読は、「百物語」のごとく、非常にメリハリが効いたものですが、本作では、育ちの良い良家の箱入り娘という、作品に相応しい調子の朗読でした。 さて、本作は、江戸川乱歩の怪奇調の作品ですが、何だろ、どうしたのだろう、という推理小説の典型的 . . . 本文を読む
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