HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

ユーロ安で通販のsoldesは狙い目。

2012-01-16 15:01:42 | Weblog
 昨年秋のギリシャ問題に端を発した欧州金融危機やその影響によるユーロ安は、1月15日に始まったフランスのセールにも顕著に現れている。通常、パリのブランド街では「Soldes jusqu’a -40% -50%」のPOPが掲示され、一斉にセール期間(だいたい5週間)に突入する。それはお客の間にも周知されており、例年ならセール待ちだった若者やフレックス休暇の観光客が大挙して訪れる。どこの国でもブランドのバーゲンセールはだいたい似たような光景だ。

 ところが、今年は街を歩く若者こそいるものの、ほとんどがショッピングバッグを手にしていない。ウィンドウを覗く光景で終わって、入店する客はまばらだ。ショップによっては、お客が商品を購入するかどうか迷っていると、値段の交渉に応じるところもある。 試しに「Est-ce que c'est ton dernier prix?」と聞いてみると、「Oui. Une autre 10% remise.」との答えが返ってきた。それほど、売上げを確保するのに切羽詰まっているということである。
 ただ、筆者が懇意にしているフランスのメーカーや問屋に言わせれば、「店頭販売の低迷は何も金融危機に始まったことではない」という。ユーロが導入され、さらにインターネットが浸透するにつれ、通販による国境を越えた売上げが増え、「セール目当てにわざわざパリにやって来るのは外国人の観光客くらいでは」なのだそうだ。確かにパリでも街中でi-phoneを見ている若者は確実に増えている。ショップで見つけて、ネットで購入する。世界の主要都市では変わらないスタイルになってきたようだ。

 フランスでは法規制で店頭のセール時期が決まっているのに対し、通販サイトは規制の対象外のため、セールは昨冬からすでに始まっている。12月からすでに「Soldes jusqu’a 70%」を打ち出すサイトがあるくらいだ。
 日本でもZOZO TOWNが年明けからしきりにスポットCMを流し、人気のセレクトショップではMAX80%OFFなどの触れ込みで、アクセス&コンバージョンレートのアップに躍起になっている。だが、wjkやAZ、junhashimotoなど一切値引きをしていないブランドもあり、消費者に対し「この時期に冬物をプロパーで買うか」「春物に期待するか」の決断を迫る。
 ところが、欧州の通販サイトは売上げ低迷の影響から、シーズン立ち上がりのプロパー商品さえ値下げ圧力にさらされている。例えば、「CHEVIGNON」のレザージャケットが359.90ユーロ、日本未発売の「G-STAR RAW」のフードジャケットが129.90ユーロなどと、日本や米国の価格より4割ほど安い。

 さらにブランドを気にしなければ、ザラ級のクオリティでありながら2~3割安く買えるアイテムがいくらもある。これは内外価格差などの次元をはるかに超えるもので、欧州の経済低迷によるデフレが影響していることに他ならない。金融危機→ユーロ安→景気低迷→消費減退→デフレという構図に外部要因であるインターネットやスマートフォンの普及が相まって、通販の商品はさらに「お買い得」になっているのである。
 しかも、インターナショナル通販なら国ごとのサイトページを開設されていて、ユーロ圏であれば価格はどこも同じ。仮に売り切れなら他国のサイトで在庫を探すこともできる。各国で増値税の還付率や関税が違い、輸入すると送料がかかるが、それを割り引いても割安感はある。
 ただ、すべての商品やデザインが日本人の感性にフィットするとは言えないし、サイズや素材感の確認ができないというリスクはある。それでも日本中でどこでも同じブランドしかないことに飽き飽きしている、日本の服は依然として高いと感じている方々には、ぜひ欧州の通販サイトを覗いてみることをお勧めしたい。
 意外性のあるデザイン、アジアにはないカラリングや素材感、ディテールの加工に出くわすかもしれない。それらをスタイリッシュに昇華できるか、ダサダサと言われるかは、ご本人の着こなし方しだいであるが。
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