HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

世間知らずの百貨店メンズ。

2009-10-16 17:36:56 | Weblog
 この冬、九州の百貨店が大手アパレルと提携して企画商品を売り出すという。
カテゴリーはメンズブランドで、すでに入っている「五大陸」や「コムサメン」
「スコッチハウス」の限定品。アイテムは中綿ライナー付きの非ウールコート
やラムレザーのダウンベスト、ミリタリー風のデザインコートになる。
 博多大丸が中心にエリアがバッティングしないように、井筒屋や鶴屋百貨店、
山形屋などがこれを100着~200着販売するという。まあ、メンズ、レディス
問わず百貨店のアイテムは苦戦中の苦戦だから、なんとか話題を作って売って
いこうということだろう。
 ただ、問題は商品内容である。百貨店メンズということもあり、アイテムは
ベーシックな定番デザインで、素材や形でもごくありふれたもの。しかもアパ
レルが通常の企画ラインで作ったもので、限定品というほどレアなアイテムで
はない。
 デザインや素材にこだわりすぎると、逆に売れないかもしれないという不安
がよぎったのか、結局、無難なところに落ち着いている。でも、百貨店側はそ
れで本当に売れると思っているのか。価格は五大陸のコートが3万9000円、コ
ムサメンのベストが4万5150円、そしてスコッチハウスのコートが4万9350円。
今時からするとかなり高額品だ。同じテイストならSPAブランドでは、半額以
下で買えるものいくらもある。
 このコラムでも触れたが、百貨店が取り組まなければならないのは、自分た
ちが自らマーケットを見て、どんなデザインや素材、価格が百貨店に求められ
ているのか。また、それを小規模なOEM系アパレルなどを利用して、どう企画
し売場に投入していくかである。大手アパレルの定番企画を「九州限定」など
の冠を付けて売ることではない。そんなもんで簡単に消費者が動くはずがない
し、売上げや利益がとれるほど甘くないからだ。
 今のご時世、よほど野暮ったい男性でも、このくらいの予算が使えるならセ
レクトショップか、少しプラスすれば海外ブランドの方がいいものが買えると
十分にわかっている。また、半額程度かそれ以下のもの買って、残りはレジャ
ーや食事に使った方が賢いお金の使い方と考えるはずだ。
 なのに当の百貨店やアパレルはそんなことにも気づかないのか。それともそ
んなレベルの市場調査で得た結論なのか。ファッションはもはや業界だけの感
覚で考えても、売れる商品なんて生み出せるわけがないと、とうに言われてい
る。なのに、百貨店や百貨店アパレルは未だにリスク回避、最初に値入れあり
の感覚なのだ。それでいて、経営トップは平気で「地域密着」ばかりほざく。
地域のお客に対する画期的な政策なんかほとんど示さないのにである。
 過去10年の毎秋冬、買いたい服がほとんどなく、自分でオリジナルを作るか、
オーダーで賄ってきた。毎年、今年こそ、ドキドキする服に出会えるのではと
思ってきた。しかし、今年もそんな思いに応えてくれることなく、春を迎えそ
うである。




コメント
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