HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

FACo強行は既定通り。

2011-03-15 20:34:29 | Weblog
 福岡アジアファッション拠点会議がついにFACo強行を決断。「中止する」との一縷の望みも断たれてしまった。
 11日の震災発生から何と4日もたっての公の態度表明。しかし、こちらの予測通り13日には強行を決めていたようだ。その理由をどういう内容でどう発表するか。むしろ、そっちのプロットづくりに苦労したのではないだろうか。
 それゆえ、以下のコメント(原文)をサイトに掲載しただけに止まった。RKB毎日放送は自社サイトのトップにあるFACoバナーから世論の反感を買う「完売御礼」の文字を削除。でも、これはPhotoshopの元画像で完売御礼部分のレイヤーを非表示にして差し替えれば済むのだから、そんなものは空しい取り繕いに過ぎない。早朝ニュースではパブ枠扱いにして発表するかもしれないが、1分程度の放送時間しかないから、たいした説明はしなくて済むと承知の上だろう。
 ただ、イベントを強行するのにどんな明確な理由が考えられるというのか。そんなことは誰が考えてもわかる。結局、理由は前回のコラムで書いたこと。そして、最大の理由を付け加えるなら、福岡県が税金で資金を出すため、FACoは3月末まで予算を使い切らなければならない。延期はできず、でなければ中止をするしかないのである。公共事業における何とも常識はずれの根拠で、大多数の日本国民のみならず、世界のファッション関係者の理解と協力を得られるはずがない。
 

福岡アジアコレクション(FACo)開催についてのお知らせ 【 2011/03/15 】

このたび東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。私たちは、この未曾有の震災の報を受け、開催の是非を含め、諸々検討してまいりました。その結果、復興支援のためにそれぞれができることをご来場のお客様、出演者・スタッフ一同みんなで考えていく機会とするためにも予定通り福岡アジアコレクションを開催するべきだと考えました。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

                                      福岡アジアファッション拠点推進会議


 そもそも、推進会議は最初の事業募集の時から、業者の質問に対し明確な根拠を示して説明できない。企画運営委員長は答えに行き詰まると、「その質問には個別にお答えします」と、公式な解答を避け続けた。
 つまり、裏では自分たちの利害だけで事を進めているため、正論を言われると自分たちの考えの根拠を示せないのである。業者は単年度契約にも関わらずRKB毎日放送が2年目以降もルーチンでトータルプロデューサーに決定したことも、公金を使う事業なのに一私企業の福岡パルコとのタイアップも、さらに今年のFACoのステージを博多阪急の「HAKATA SISTERS 」のプロモーションに切り売りすることも、すべて何一つ明確な根拠が示されていない。最初から結果ありきなのだ。
 良い例が、福岡アジアファッション情報発信システムの構築事業だ。完成したサイトは県が募集した規格内容とは大きく変わり、どんなweb制作会社でも参入できるレベルとなった。県が企画を募集し、審査は推進会議が行なう不透明さ。入札のハードルを上げながら、実際は低いものができ上がっている。これでは業者減らしと言われても仕方ない。しかし、それに対する明確な説明は一切ないのだ。
 それが「一部の利害関係者ですべて決まっていく」と言う根拠だ。FACoの強行で福岡県や福岡市の無策ぶりも完全にあらわになった。去り行く麻生知事に理由を問い質す気にもならないが、高島市長からは納税者である市民に対し明確な説明が欲しい。でも、4月の県知事選挙が完全に無風状態になりそうな状況を考えれば、政治家への期待も空しい結果になりそうだ。
 前回のコラムタイトルは、「地に堕ちるか、FACo」と一縷の望みを託したものしたが、その希望がなくなったことで、「地に堕ちたFACo」に修正しておく。
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地に堕ちたFACo。

2011-03-14 08:10:02 | Weblog
 東北地方太平洋沖大地震から3日目の夜10時過ぎ、デジタル6チャンネルのTBSでは、松原、膳場両キャスターが地震情報を報道していた。その時、突然、福岡ローカルRKB毎日放送のニュースのスーパーが入った。
 「商業施設やイベント会場で明日から…地震の義援金を呼びかけ。福岡県や福岡市の庁舎にも募金箱を設置」

 義援金募集はすでにいろんなところで始まっている。こんな当たり前のニュースがどんな意味をもつのか。それは「FACo(福岡アジアコレクション)」を予定通り、実施するということだ。前回、評論した「ファッションイベント」が中止されることもなく、一部の利害関係者のために強行されるのである。
 どうせ、会場での義援金募集もショーでの黙祷も、日本中が自粛ムードと節電の中で、「自分たちへの批判の矛先を変える」パフォーマンスに過ぎない。 着の身着のまま、食べるものも、住むところにも事欠く被災者を差し置いて、 利益を優先する神経にはまったく呆れ返る。
 
 ショーを中止した場合、プロデューサーのRKB毎日放送は「事業収益」がゼロになるし、チケットの払い戻しなどで大混乱する。イベント会社のアイグリッツは、13日に開催するはずだった神戸コレクション東京を中止しており、FACoまで止めるとなるとタレントのスケジュールブッキングが難しくなる。それ以上にすでに払ったギャラが戻ってこないかもしれない。
 スポンサーにも思惑がある。今回初めてついた博多阪急やアミュプラザ博多は、駅ビルの開業景気が完全に吹っ飛んでおり、今一客の入りが悪い「商業施設」をアピールするには何としても、FACoを集客の起爆剤にしたい。
 順延すればシーズンに入ってしまうし、参加メーカーにとっても小売りにとっても意味を持たなくなる。会場押さえやタレントのスケジュール調整はますます困難だ。

 しかし、そこまでして金儲けしたいのか。まったく恥を知れと言いたい。資金を出す福岡県、福岡市はいったい何をしているのか。麻生知事がひと言「即刻中止」と表明すれば済むことだ。高島市長も「こんな時に、意味のないイベントなんかやってる場合ですか」と、求めれば良いのだ。それが首長であり、政治力ではないのか。まったく、政治家の無能、無策ぶりが表れている。
 それも福岡アジアファッション拠点推進会議を取り巻く一部の利害関係者の思惑で、すべてが決まっていくからだ。まったく談合集団と化している。

 思えば、1991年、湾岸戦争が勃発した時、パリコレデザイナーの中には、自らのコレクションを中止したデザイナーもいる。それは反戦キャンペーンでも、顧客アラブへの配慮でもない。世界と人々の安寧があってこそ、ファッションの目的が達成できると考えるからだ。今回の震災は戦争ではないが、何の落ち度もない人々が命を落とすことでは共通する。

 寒さに震える被災者にとってトレンドファッションなんて何の意味も持たない。 音響や照明などで莫大な電力を使われることはかえって迷惑な話だ。パリコレのデザイナーなら、これだけでショーを取りやめるに余りある。
 何でショーをやらないで、集めたチケット代やタレントのギャラを全額被災者に寄付しようという発想ができないのか。そっちの方が世界、アジアに対して最良のメッセージを発し、はるかに福岡アジアコレクションの知名度やブランド力を上げることになる。そんなことも判らないのか。

 アイグリッツの神戸コレクション東京の中止は賢明な判断である。FACoだって中止することはやぶさかではないはずだ。まだ、時間はある。即刻ショーを中止し、温かい衣類や毛布を送り、復興のためのボランティア活動に切り替えるべきだ。でなければ、福岡アジアコレクションは地に堕ちてしまい、RKBは民放のクズと言われかねない。
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ファッション業界としてできること。

2011-03-12 16:12:07 | Weblog
 2011年3月11日14時46分ごろ、東北地方太平洋沖を震源に国内観測史上最大のM8.8の地震が発生した。津波が宮城県や福島県などを直撃し、200~300人が死亡した他、1000人以上の人々が行方不明になっている。被災に会われた方々には心からお見舞い、犠牲者にも心からお悔やみを申し上げる。そして1日も早い復興を願う。

 実を言うと、大学を卒業しファッション業界で働き始めた年、九州の長崎地方を集中豪雨が遅い、大打撃を与えた。そのとき、会社の社長から取引先のショップに支援物資を送れと5万円を渡された。
 「何を送りますか」と尋ねると、「とりあえず、生活必需品だ」と言われただけで、自分で考えなければならず正直焦ってしまった。入社して3ヶ月くらいでたいした仕事をしていなかったので、何とか上司命令に報いたかった。
 ところが、今みたいに非常食料やファーストエイドキットなんて売っていなかったので、スーパーに行ってミネラルウォーターやタオル、カップラーメン、真空パックのご飯なんかを買いあさった。そして、知り合いのメーカーからTシャツを数十枚調達し、パッキンに詰めてとりあえず発送した。

 でも、被災者にしてみれば、片付けなどの作業があるので、本当は男手が必要だったようだ。 夏の終わりには社長命令で、こっちが長崎まで出張して片付けや掃除のお手伝いをした。仕事とは違った妙なテンションだったのが、今も記憶に残っている。
 でも、出張の目的は「バイヤーさんは秋物の展示会なんかに上京できるような状態ではないだろうから、1日も早く通常の仕事ができるように」との社長の気遣いだった。メーカーとしてお世話になっている小売店さんにできることは、この程度しかなかったのである。

 次いで阪神淡路大震災。この時はプレス会社に在籍していた。友人がワールドにいたし、神戸のアパレルメーカーとの何社かは取引があったので、すぐに義援金をアパレル協会を通じてお送りした。仕事仲間のカメラマンやヘアメイク、ライターやスタイリストも快くカンパに応じてくれた。

 そして、6年前の福岡西方沖地震では自分が被災者となった。打ち合わせのため天神コアの事務所に入った瞬間だった。地下から爆発音のような力で突き上げられ、思わず事務所のカウンターにしがみついた。
 日曜日だったので、事務所は最小限のスタッフしか出勤していなかったが、スチールキャビネットの引き出しが飛び出し、机に入った椅子を直撃。もし、スタッフが座っていたらと思うと、ぞっとする。
 当然、打ち合わせは中止になり、エスカレーターで階下に降りすがら、利紀伊国屋書店などの惨状をたまたま持っていたカメラに収めた。当方の事務所に戻ると、室内はグチャグチャ。Macのハードディスクは床に落ち、重いデザインの本が書棚から2mほど吹っ飛び、カップボードからは飛び出したティーカップやビールマグはすべて割れていた。テーブルの角が壁に当たって、穴が開いていたのをみると、さすがに地震の威力に驚愕した。

 それでも、自分は五体満足だったので余震を感じながらも、すぐに片付けに入った。ただ、このとき、地震保険やり災証明の申請などではたいへん勉強になり、マスコミが受け付ける「災害義援金」では、制度面の不備もわかった。
 義援金はり災証明を受けたからといって、被災者すべてに公平に分配されるわけではない。「日本赤十字」の規定にそって、自治体や持ち家の住人などに優先配分されるのだ。個人への支給は問題ないが、自治体に流れた義援金の使われ方は不透明である。

 本来、税金を使うべき公共財の修復や日曜出勤する職員の弁当代などにも使われいるかもしれない。その辺の使い道がはっきりと公表されず、市政だよりなどの広報も詳細ではない。自分が被災者になったからといって、義援金をあてにしたわけではないが、制度面に問題がある点は指摘しておきたい。
 翻って、今回、九州地方には被害はなかった。奇しくも災害翌日が九州新幹線鹿児島ルート開業日で、記念式典などは急遽中止。先週から地場のみならず全国ネットは九州新幹線開通に浮かれまくり、コンクリートのハコもの、博多シティばかり持ち上げる報道も、一気に吹っ飛んだ。

 長崎集中豪雨と阪神淡路大震災。過去、二度の経験でファッション業界としてやるべきことは、義援金よりまず食料、下着などの実用衣料や防寒具、毛布やラグ、プライバシーが守れる段ボールなどのサプライ、そして片付けや炊き出しなどのボランティア活動。これらの方がよほど被災者に取っては喜ばれるのだ。

 困ったときはお互いさまだから、今回も是非何らかの支援をしていきたい。福岡商工会議所や地元業界は愚にもつかないファッションイベントなんかすぐに取りやめて、被災者に支援物資やボランティアを送るべきだ。こんな時、必ず「ファッションで元気してあげよう」なんてKYなことを言い出す人がいらっしゃるが、こんな御仁こそもし自分が被災者になったらどうなのか考えてみたらいい。
 かつて阪神淡路大震災の取材で、元NHKキャスターの宮崎緑は毛皮のコートを着て現地に赴き、アテンドした地元ローカルの気持ちを逆なでしたばかりか、代わりの衣装代をキー局に請求し番組を降板させれたケースもある。KYな人間は意外にもメディア界の方に多いのだ。

 東北地方はまだまだ寒いから、フリースや長袖など防寒衣料は必需品のはず。おのずとやるべきことは決まって来る。蛯原友里も売名行為なんかではなく、「本当のボランティア活動」をしてみてはどうだろう。落ち目度を振り払う地方営業の前に。
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