HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

タレントに着せて売れればいい。

2009-09-14 19:41:57 | Weblog
 なぜ、TGCがここまでお客を引きつけるのか。それはファッションの新作お披露目=業界人向
け(バイヤー、プレス)だったものを、いち早く一般人向け、プラス即売に結びつけたからだ。
 世界で開催されている多くのコレクションはまずは、オンシーズンの半年前に商品を仕入れる
バイヤーに見てもらい、あるいはファッション雑誌の編集者に評価してもらい、修正を加えなが
ら実需の商品を生産していく。また、コレクションの仕掛けとしてスーパーモデルといわれるマ
ヌカン、舞台装置や音響照明といった演出で、ステージをより際立たせていく。
 こうしたトレンド発信の手法が流行の変化が激しい日本市場では、もはや通用しなくなってい
るということだ。SPAが手がける中国を中心にしたメイドインアジアの買いやすいチープな商品
を揃え、テレビ等で見かけるタレントがそうした商品(主催者側はこれをリアルクローズと一方
的に解釈しているが)を着てランウエイを歩く方が、実際に商品を買うお客に対するメッセージ
性や実需効果が高くなる。お客にとっては自分が好きなタレント、あるいは芸人が着てくれる方
が好感が持てるからである。
 外し崩しのファッションコーディネートが当たり前の現在、デザイナーのスタイリングより自
分流の着こなしで構わない。スーパーモデルより旬のタレントを見たいのだから、ウォーキング
の善し悪しなんてどうでもいい。コレクションのあり方がここまでくれば、プロが仕掛けるステ
ージなんて事実上形骸化していると言わざるを得ない。
 出演するタレントもテレビや映画が振るわず、CM制作も激減し、芸能界でのメーンの仕事は
少なくなっている。プロダクション所属のモデルもファッション雑誌が頭打ちの現状を考えると、
タレント寄りで仕事の幅を広げないと食っていけない。事務所側もTGCに登場するブランドで知
名度を上げれば、ひいてはファッションのプロデュースの仕事につながると考えるのは当然だ。
 酒井法子のケースがあるのだから、ファッションにタレントを起用するのは非常にリスクが高
いのだが、万一の不祥事を割り引いても旬のタレントでこれだけの効果があればそちらを選ぶ。
今の日本のファッション業界にじっくりブランドを育てるような余裕はないようだ。…続く。

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