271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

旧麻屋デパート(文化遺産)

2010-12-13 05:25:51 | 博物
前橋の中心街のシンボル的な存在だった旧麻屋デパートがついに解体されるということを新聞報道で知り、現状を撮影することにしました。古き前橋として思い出に残っている、ベイシア文化会館(旧県民会館)前の赤レンガ倉庫、煥乎堂の旧店舗(白井晟一の作品)は自分で記録することが出来ませんでした。もう時間がありません。日曜日の午前中に現場に向いました。車は前橋テルサ隣の立体駐車場に入れます。

旧麻屋百貨店の西側は市営の駐車場になっていてここから建物の裏側が見えますが、私は高いところから見下ろしたかった。それで駐車場の屋上からかつてのデパートを撮影しました。画像をクリックすると拡大します。この建物は地上3階、地下1階と言われていますが、一部4階でもあるようです。デパートとしての営業は1964年に終了して、個人的な思い出はあまり無いのですが、屋上には観覧車があったことを覚えています。当時は高い建物が少なかったのできっと遠くまで見えたことでしょう。
コンクリートの高い煙突は建物の内部に大きなボイラーがあったことを想像させます。

駐車場を出て建物に近づきます。地番の確認です。

「前橋市千代田町2丁目8番」です。前橋市の旧町名では「立川町」だったかも知れません。

正面の店舗入り口です。

当然のことですが、中はがらんどうです。ここには前橋市役所の分室「にぎわい課」があったのですが、なんとも皮肉な結末です。

昔は賑わった十字路に立って、日曜日のお昼ごろの人通りを撮影してみました。


これが県庁所在地の中心商店街の日曜日のお昼の「賑わい」です。昔の記事になりますが、前橋の賑わいについて「対数の眼で見る(5年前の予想)」を書きました。この動画からも順調に衰退していることが見て取れるでしょう。

最近読んだ新書で興味深かったのは藻谷浩介さんの『デフレの正体─経済は「人口の波」で動く』でした。その藻谷さんの講演記録「トレンドからみた前橋市」が前橋市のサイトにあります(PDF)。
まさにこの問題を取り上げています。

「では、この問題を解決できるのは誰でしょうか。答えは商業者ではなく、地権者であります。人を住まわせ、事業所を集め、病院などをどんどん作ってくださいとするのは地権者です。物件を持っている人が物件に新しい中身を入れ、人を住まわせ、事業所を増やすのです。そのためにも高い賃料をふっかけるというのをやめましょう。
どちらにせよ空いているのだから安く貸したらいかがですか。それをやっているところは必ず栄えています。その典型が吉祥寺です。高い賃料を吹っかけてふんぞり返っているところは東京であっても全く栄えません。北千住や赤羽がその典型です。どんなに交通の大ターミナルでもまちとして全く栄えていないのが北千住であり、本来全然交通の大ターミナルでもないのに栄えているのが吉祥寺です。」

でも地権者の前橋市が行おうとしているのは藻谷さんとは逆方向ですね。元気な自治体は古い資産を上手く活用して活性化を図っています。

この建物は文化財としても注目されています。

痛みが激しいので壁面がネットで覆われていますが、修復は不可能ではないようです。

帰宅して調べて分かったのはこれを施行したのが、鉄筋コンクリート造のパイオニア木田保造(きだ やすぞう1885年~1940年)と知りました。彼の活動拠点だった函館のサイト「関根要太郎研究室@はこだて」に木田の施工一覧があり、この麻屋デパートも掲載されています。

建設当時と思われる構造物もまだ見られます。ブロンズで鋳造された丸に九の商標が下屋のトラスに残っていました。かつてはこの下で商品が搬入されたのでしょう。画像をクリックすると拡大しますが、この下屋はアングルをリベットで接合して組み立てられています。「リベット萌え」ですね。

さらに下屋の下には建物を飾っていたであろうコンクリートパーツが無造作に置かれています。画像をクリックすると別角度の拡大画面が開きます。これらはどこに付いていたのでしょうか?

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