やや旧聞に属しますが、掲げたグラフは上毛新聞2002年8月26日の一面にあったものです。どこの地方都市でも同じですが、特に群馬のような車社会では中心商店街の客足が落ちてドーナツ化現象が深刻な問題になっています。
紙面では「熱気戻るか中心商店街」と題して「バス乗り入れ⇒お年寄り客増加」「中央通り改修⇒商店も化粧直し」といった文字が踊り、記者氏はこのグラフを引用して「歩行者通行量、下げ止まり」と結論しています。彼はグラフの後半の傾きがだんだん緩やかになっているのを見てそう判断したようです。
グラフを仔細に見ると前半と後半では時間のスケールの取り方が違います。また'93年の落ち込みは天候によるものと考えられます。雨の日は出歩かないですからね。
私はこのグラフを見て記者氏とは全く逆の傾向を読み取り、この記事の元になったデータ「商店街通行量調査」の平成12年版と14年版とを商工会議所から頂き検討することにしたのです。データの整理と言っても簡単で、トータルの通行量を片対数グラフにプロットしただけです。
通行量の減少傾向が片対数グラフで見事な直線で表せるのは、中心商店街の衰退が呆れるくらい順調に進行していることを意味しています。自然や社会の変化する速度は現在の量に比例することが多いのです。例えば放射性同位元素の崩壊速度やバクテリアの増加などがその典型です。
そして私は「通行量の半減期」を計算してみたのです。その値は2.8年でした。最近の商店街を歩いてみて私の5年前の予想は多分当ってしまったのです。通行量というのは右から左へ、または左から右への人の流れに過ぎませんが、何か物体の温度にも似て、街の熱気を表しているような気がしてなりません。
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紙面では「熱気戻るか中心商店街」と題して「バス乗り入れ⇒お年寄り客増加」「中央通り改修⇒商店も化粧直し」といった文字が踊り、記者氏はこのグラフを引用して「歩行者通行量、下げ止まり」と結論しています。彼はグラフの後半の傾きがだんだん緩やかになっているのを見てそう判断したようです。
グラフを仔細に見ると前半と後半では時間のスケールの取り方が違います。また'93年の落ち込みは天候によるものと考えられます。雨の日は出歩かないですからね。
私はこのグラフを見て記者氏とは全く逆の傾向を読み取り、この記事の元になったデータ「商店街通行量調査」の平成12年版と14年版とを商工会議所から頂き検討することにしたのです。データの整理と言っても簡単で、トータルの通行量を片対数グラフにプロットしただけです。
通行量の減少傾向が片対数グラフで見事な直線で表せるのは、中心商店街の衰退が呆れるくらい順調に進行していることを意味しています。自然や社会の変化する速度は現在の量に比例することが多いのです。例えば放射性同位元素の崩壊速度やバクテリアの増加などがその典型です。
そして私は「通行量の半減期」を計算してみたのです。その値は2.8年でした。最近の商店街を歩いてみて私の5年前の予想は多分当ってしまったのです。通行量というのは右から左へ、または左から右への人の流れに過ぎませんが、何か物体の温度にも似て、街の熱気を表しているような気がしてなりません。
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いずれにしても、「グラフ」にすることの意味をこの記者はどのように捉えているのでしょう。この記者に「ニセ科学」は見破れないでしょう。「上毛新聞」はNHKドラマ「クライマーズ・ハイ」のモデルになった新聞社でしょうか?
それにしても、駅前商店街の「通行量の半減期」を出すとは、さすがにeのブログです。巨視的に見れば人の動きもブラウン運動というところでしょうか。
記者だけを攻めては可哀想で、元のデータ自体がこうなっているのです。
>データのある年の分だけを横に並べたのでしょうか。
実はそうなのです。
>「上毛新聞」はNHKドラマ「クライマーズ・ハイ」のモデルになった新聞社でしょうか?
ハイ、ご推察の通りです。作者が勤務していた地元紙です。
通行量を時間tの関数であるとして、この減少(または増加)が現在の通行量に比例するとすれば
dN/dt=-kt
という最も簡単な微分方程式で表せます。初期値をN0とすると、その解は
N=N0*exp(-kt)
となります。両辺の対数をとれば
LogN=LogN0-kt
となって、片対数グラフでは直線となるのです。
差ではなくて倍の世界を見せるにはこのグラフが一番ですが、中学・高校の数学教育ではこんな基本的なことさえ教えません。
対数グラフを重視する民間教育団体は仮説実験授業研究会だけですね。
>巨視的に見れば人の動きもブラウン運動というところでしょうか。
そうかも知れません。
♪サインコサインなんになる おいらにゃおいらの夢がある♪という歌がありますが、三角関数は図形を見れば直感的に分かります。理系と文系の「暗くて深い淵」は指数・対数ではないでしょうか。
そうかもしれないですね。
中学・高校など早い段階で、情報(データなども含みます)に関する免疫体系のようなもの、つまりは情報の正否を確かめる力や正しい情報を導き出せる力を育てなければ、と僕も思っています。
できるだけ早い時期に、こういうことを扱うと生徒がどんな反応を示すか試してみたいところです。
おー!まさに団塊の世代。高石友也でしたっけ?
>理系と文系の「暗くて深い淵」は指数・対数ではないでしょうか。
私は、尊敬する某大学の先生に「対数グラフを使いこなしてはじめてエンジニア」という話を聞きました。
比較で「等しい」を1ではなく、0とするというのが対数の世界のわかりやすいころだと思っています。感覚的には、同じなんだから0ですよ。
A=BならばB/A=1 log1=0 では無くて、A=Bならば0・・・(相当勉強が進んでから 集合論を理解してから)x^0=1という順番が成り立たないかなぁ、というのが私の関心事です。対数より割り算のほうが難しいのでは、と思っています。
これを突き進めば、「小学校5年で対数を・・・」ということになります。「何をあほな」という反応が多いですが・・・(笑)。
コメントありがとうございます。団塊世代なのでついクロード野坂(昭如)の「黒の舟歌」が浮かんでしまったのです。ちょっと記憶違いがありました。
♪男と女の 間には
深くて暗い 川がある
誰も渡れぬ 川なれど
エンヤコラ 今夜も 舟を出す
Row and Row
Row and Row
振り返るな Row Row♪
現在中高生を教えていらっしゃるのならば現在の教育課程で指数・対数がどのように教えられ、生徒さんの「受け」はどうか、教えてくだされば幸いです。
> おー!まさに団塊の世代。高石友也でしたっけ?
ハイそうです。中川五郎作詞・高石友也作曲の「受験生ブルース」です。QuickTimeのプラグインがあれば以下でメロディーも聞けます。
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/jukenseiburuusu.html
さて話を常用対数の世界に限れば、桁上がりの数値に他なりません。十進位取り記数法が分かっていれば小学校5年生でも十分理解が可能だと思っています。歴史的にも対数の発明と少数の使用はほぼ同時です。
このことについてはまた改めて書きたいと思っています。
その話を漫然と聞いていたところにこの話ですが。面白いと思いました。
私の記憶では、本県の車の普及率は2.6人/台です。また女性の運転免許保有率も日本一ですね。
私の母(「祖母ログ」の祖母)は80歳ですが日常的に運転をしています。スクーター⇒軽自動車⇒普通車と次々に限定解除したため、免許的にはハーレーダビッドソンまで運転可能です。
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対数で見るというのはとてもごもっともな見方で感心しました。ただそれ以前に、この新聞記事のグラフからも「下げ止まった」とはとても読めないと思います。それを「下げ止まった」と書いてしまうのはやはり恐ろしいと思いますね。
それから同じ数字をもう少し都市計画的に見ると、地方都市の中心市街地の場合には大都市の繁華街と異なり中心市街地自体にも居住者が多いので、通行人数が下げ止まった=来街者が下げ止まった:にはならないところにも注意が必要です。居住人口及びその年齢構成と、通行人の数及びその年齢構成のそれぞれの推移をよく比較してみる、即ち通行人の「中身」を見てみる必要があります。
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ちなみに当の本人は5年ほど前まで「前橋駅の近所」に居住しておりました。実感として分かるようです。
ご参考になれば幸いです。
都市計画の専門家に回覧して頂いたそうで恐縮しています。「傾きがだんだん緩やかになっている」というのは、H6年の交通量-H8年の交通量>H8年の交通量-H10年の交通量>・・・>H12年の交通量-H14年の交通量という関係で、ここから「下げ止まり」と判断したのでしょう。単利の発想ですね。
当時、周りの人に話した私の空洞化防止策が「武家屋敷構想」です。群馬県の最大の企業はいうまでも無く県庁で、警察官や教員を含めると職員の数は約2万人です。江戸時代ならお城の周りには武家屋敷があり、その外側に商人・職人が店を構えて暮らしていました。県庁・市役所の職員は昔なら「お武家様」です。お武家様が城を取り囲むように住むのは当然でした。
これから武家屋敷を空洞化した市街地に建設し、生活の空間として再構築を目論むのが武家屋敷構想に他なりません。お武家様は徒歩で登城することが出来るので職員の駐車場も不要です。日常の買い物も徒歩で出来ます。交通渋滞も緩和され、省エネ効果絶大です。
問題は役所の上下関係が生活空間にも及ぶことでしょうか。それを癒すのが不良中年のたまり場、喫煙OK!お酒ガンガンのライブハウスを何箇所か設置するのです。
こんなことを考えてもう5年経ちました。最近、中心市街地に高層住宅が増えてきたようです。