スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

高年齢者雇用安定法(その4):年間報酬低下に伴う可処分所得の試算

2009-09-26 19:15:50 | 社会・経済

 雇用継続の場合の可処分所得を試算する際には、①60歳の収入、②61歳~64歳の収入について試算し、61歳~64歳の可処分所得が最大となる月例給与と賞与時払いの割振りパターンを選択するようにします。
  定年退職後の再雇用期間の所得は、次の三つで構成されます。
(1) 賃金〔(月例給与+通勤交通費+食事手当+その他の手当)×12+賞与時払い×2)〕
(2) 高年齢雇用継続基本給付金(雇用保険)
  これらの所得に対して、(1) 社会保険料(雇用保険、健康保険、介護保険、年金保険)(2) 所得税(3) 住民税(県民税&市民税)が課金されます。

  まずは61歳以降の可処分所得最大化試算の準備をしましょう。

1.年間報酬の割り振りパターン
年間報酬の受け取り方としての割り振りは、次の4パターンを考えればいいでしょう。
①月例給与として
12分の1を受け取る(賞与時分は無し)
②月例給与として
16分の1を受け取る
③月例給与として
18分の1を受け取る
④月例給与として
20分の1を受け取る
  この割り振りパターン毎に高年齢雇用継続基本給付金、特別支給の老齢厚生年金(併給)、社会保険料、所得税、住民税等を算定します。

 
2.高年齢雇用継続給付受給資格確認通知書

   60歳到達時の賃金月額と高年齢雇用継続給付限度額を確認します。退職前の60歳到 達後に会社がハローワークに手続きし、交付された通知書です。




 3.年金証書・年金裁定通知書
  特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の給付額を確認します。「年金請求書」提出後
2カ月頃に社会保険庁から送付されます。「年金証書・年金裁定通知書」が未着の場合は、本人が所管の社会保険事務所に出向けば確認することができます。




  続いて所得、社会保険料、課税額等を計算しましょう。

1.年間所得額
  賃金(=月例給与×
12+賞与時分×2)+高年齢雇用継続基本給付金+特別支給の老齢厚生年金 で求めます。

2.高年齢雇用継続基本給付金

   60歳以後の各月に支払われる賃金が60歳到達時点の「賃金月額」の75%未満になる場合に支給されます。所得税法上、非課税です。  賃金月額は「高年齢雇用継続給付受給資格確認通知書」に記載されています。
(1) 先ず、以下の算式で月例給与の「低下率」を求めます。
  低下率
(%)=支給対象月に支払われた賃金額÷「賃金月額」
(2) 低下率が
61%以下の場合
  支給額=支給対象月に支払われた賃金額×
15%
(3) 低下率が61%を超え75%未満の場合
  支給額=
(-183)÷280×支給対象月に支払われた賃金+137.25÷280×「賃金月額」
(4) 限度額に注意

3.社会保険料
(1) 標準報酬月額、標準賞与額
  社会保険庁が発行する各年度用の「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」で求める

(2) 健康保険料、厚生年金保険料
  社会保険庁が発行する各年度用の「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」記載の該当欄の「折半額」で金額を求めます。

(3) 雇用保険料
  月例給与×保険料率=被保険者負担保険料
保険料率
  平成
21331日施行の法改正により、平成21年度に限り、保険料率が引き下げられています。

4.所得税
  所得税は、月次分と賞与時分に別けて計算します。

(1) 課税所得
  課税所得=所得合計-(社会保険料+基礎控除額+配偶者控除額+扶養控除額)

(2) 税額の算定
ア) 月次の税額
  国税庁が発行する「源泉徴収税額表」(所得税法別表第二)で、課税所得および扶養親族等の数によって求めます。
イ) 賞与時分の税額
  国税庁が発行する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(所得税法別表第四)で、賞与の課税所得および扶養親族等の数によって求められる課税率を賞与時分の課税所得額に乗じて求めます。


.住民税(県民税+市民税)
  住民税は、前年(1月~
12月)の所得金額を基礎にして計算します。
 住民税には「所得割」と「均等割」があり、均等割は所得に関わりなく、一律額が課せられます。神戸市の場合は
4,800円です。
  所得割は、課税所得に県民税率および市民税率をそれぞれ乗じて求めます。
①県民税=(所得-社会保険料)×県民税率
②市民税=(所得-社会保険料)×市民税率
∴所得割の住民税額=①+②詳細は、お住まいの自治体のホームページで確認して下さい。


.可処分所得の算出
    簡単にまとめると次のようになります。

(1) 月次
  給与等+高年齢者雇用継続給付+在職併給年金-社会保険料-所得税-住民税

(2) 賞与時
  賞与時分-社会保険料-所得税

(3) 年間可処分所得
  月次の可処分所得×
12+賞与時分の可処分所得×2


<シリーズ・インデックス>

 ・高年齢者雇用安定法(その1):概要の確認

 ・高年齢者雇用安定法(その2):定年退職前
60歳到達時

 ・高年齢者雇用安定法(その3):定年退職の直前・直後

 ・高年齢者雇用安定法(その4):年間報酬低下に伴う可処分所得の試算(当記事)

 ・高年齢者雇用安定法(最終回):再就職直後













この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Windows7移行に必要なハード... | トップ | ITによる機密情報漏洩対策 »
最新の画像もっと見る

社会・経済」カテゴリの最新記事