12月5日(水)に『さかばやし』で忘年会をしました。さかばやしは3年前から数度利用しています。
『さかばやし』は、神戸市東灘区御影塚町の株式会社酒心館が営む料亭です。この地は灘五郷の御影郷と呼ばれている地域です。酒心館は清酒福壽の製造元です。
名称は「神戸酒心館 蔵の料亭 さかばやし」となっています。
この日注文した料理は『灘懐石』です。見た目に美しく可愛らしい盛り付けも然ることながら、上品でしっかりした味付けの料理です。
また、ここでは福寿銘柄のお酒のほとんどを飲むことができます。お酒(冷酒)はグラス一杯ごとに注文できます。ボトルで注文すると、冷酒サーバーに入れて提供されます。
それぞれのお酒の能書きは、仲間とワイワイ言いながらメニューをみていくのが楽しみの一つと思います。また、「壱の酒」「弐の酒」「参の酒」「留の酒」といった風に、メニューに書いてある順に飲んでいくのも一興です。
当然のことですが、清酒がとても旨い。私は酒類をあまり飲めませんが、酒の味はわかる方だと自負しています。そんな旨い清酒の中で、食前酒として供された『米米酒』がとても美味しいお酒だと思いました。
米米酒は神戸酒心館でのみ販売されています。
銘柄:神戸酒心館 米米酒(雑酒)
アルコール度数:7.5度
容量:500ml
原料米:日本晴
精米歩合:70%
日本酒度:-56
酸度:4.4
アミノ酸度:0.4
製造元:株式会社神戸酒心館(兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17)
杜氏名:但馬杜氏 澤本 喜久雄
米米酒は、日本酒ライスパワーネットワーク(SRN)のライスパワー・プロジェクトのコンセプトを商品化したもので、ライスパワーエキスが入っているため清酒ではなく雑酒に分類されます。
白ワインを彷彿とさせる酸味があり、軽やかでさっぱりした味わいです。ちょっとした甘酸っぱさがいいと思います。
一般的な日本酒と違うところは、次の3点ではないでしょうか。
第1に、アルコール度数が7.5度と通常の日本酒の約2分の1。
第2に、日本酒独特の辛さを感じさせない甘くやわらかな口当たり。
第3に、日本酒が持つ独特のツンとする香りがしない。
「アルコールが強くなく、するする飲める」
「白ワインのような味でとても美味」
「普段の食事とも相性があう」
などと多くの好評を得ているようです。
ところで清酒福寿は昨日(12月11日)以来、大変な騒動になっており、蔵元も販売店も、楽天市場やAmazonでも品切れ状態です。それと言うのも、ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京大教授(50)が民放TV数局の番組に出演し、各局で福寿がノーベル賞授賞式後の晩餐会で提供されていたと話したことが引き金となり、日本中で買い求めに動いたためのようです。
ノーベル賞の晩餐会に同社の酒が採用されるのは、今回が3回目です。
2008年に益川敏英さんら日本人4人が受賞した際、日本酒が振る舞われることになり、スウェーデンにも輸出している純米吟醸酒が選ばれました。
根岸英一さんら日本人2人が化学賞を受けた2010年の晩餐会にも出されました。
どうやら日本人が受賞した時には「福壽 純米吟醸酒」が出されるようです。
フルーティーな香りと優しい喉越し、瓶のスマートな青さなどが評価されているようです。
銘柄名(種類) 福寿 純米吟醸
アルコール度数 15~16度
容量 1,800ml/720ml/300ml
原料米 山田錦
精米歩合 60%
日本酒度 +2.0
酸度 1.6
アミノ酸度 1.3
製造元 (株)神戸酒心館
住所 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17
杜氏名 但馬杜氏:澤本喜久雄
「福寿 純米吟醸」は、梨やリンゴのような果実香を持っています。
滑らかで肌理が細かく、米の甘味、旨味、それに果実の香りがバランスよく溶け合っています。
後口は爽快で口に残らず、さらりと旨味がほのかに香る純米吟醸酒です。
「2009年インターナショナル・サケ・チャレンジ(International Sake Challenge)」において、「福寿 純米吟醸」が純米吟醸部門で最高金賞を受賞。
<神戸酒心館について>
醸造元「神戸酒心館」は、外見は酒蔵そのものでありながら、門をくぐると、正面が蔵と事務所、左手の平屋の建物は和風料理の店、右手の二階建ては、お酒の販売、利き酒、自家製の豆腐や酒の肴を含む食品販売、それに酒器の販売を中心とするショップ、そしてその奥が酒蔵の雰囲気をそのまま生かした多目的ホールという構成です。
会社の沿革は、
宝暦元年(1751年)12月、灘五郷の一つ御影郷(みかげごう)で酒造りをはじめる。
第二次世界大戦で酒蔵全てを焼失したが、これを再建し、昭和23年11月、「株式会社安福武之助商店」として発足。
昭和37年9月「福壽酒造株式会社」に社名変更。
平成7年1月の阪神淡路大震災では木造酒蔵全てが倒壊したが、これを復興し、平成8年5月8日「株式会社神戸酒心館」を設立。醸造棟の他、お酒と共に文化を楽しんで貰う各種施設を作り、平成9年12月にオープン。
神戸の地酒「福寿」は宝暦元年(1751年)創業。日本一の酒どころ灘の御影郷(灘五郷の中でも最も酒蔵の街の風情を残す場所)で、今なお全量手造りの酒造りを続けています。
「日本酒をもっと身近に美味しく召し上がっていただきたい」との蔵元の想いから、蔵の料亭「さかばやし」で旬菜料理と蔵出しのお酒を提供しているとのことです。
全国新酒鑑評会での金賞受賞は、平成5年~9年、11年~14年と、最近だけでもこれだけの実績を持つ実力のある蔵元です。兵庫県が誇る日本一の酒米、山田錦を使った吟醸酒が自慢のお酒です。近年では、イチゴのようななめらかな香味の吟醸酒が安定して造られています。
また、「凍結酒」も注目の商品です。搾りたての新鮮な原酒を瞬間冷凍させ、マイナス20℃という超低温で保存したもので、この技術は神戸酒心館の特許商品で、「科学技術庁長官賞」、「兵庫県発明賞」を受賞しています。ぬるま湯で溶かし、よく振ってシャーベット状でいただきます。生の香りがそのまま残るフレッシュな味わいが特徴です。
(用語解説)
「日本酒度」とは
酒の甘辛の目安となる数値のことです。日本酒度は、水(±0)に対する酒の比重を「日本酒度計」で測定したもので、清酒の比重を表すものです。
糖分が高い甘口の酒は比重が重くなり日本酒度は「-」に、糖分が少ない辛口は比重も軽くなり、日本酒度は「+」の傾向になります。但し、飲んで感じる甘辛には酸度や仕上げの手法も関係してきますので、日本酒度が「-」だから甘ったるいということはありません。したがって、あくまでも目安程度で受け止めてください。
「酸度」とは
日本酒に含まれるコハク酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸の量で、味の濃淡をみるために使われる数値です。現在、日本酒全体の酸度の平均値は1.3~1.5で、これより低いと淡麗、高いと濃醇とみられます。
また、適度な酸味は酒の旨味、飲み口の良さに大きく影響します。日本酒の甘い・辛いは日本酒度だけでは、正確に判断できず、この酸度の数値もふまえて判断されます。日本酒度がマイナスの酒は、酸度が高い方が、味に旨みと爽快感が出ますし、日本酒度がプラスに切れる酒は、酸度が低いと淡麗辛口になると見られています。
「精米歩合」とは
原料米をどのくらい精米して磨いたかを表すものです。例えば精米歩合60%は米の表層部を40%削って精米した米を使用しているということです。精米歩合の数値が小さいほど、「雑味」が減る傾向にあります。
「アミノ酸度」とは
お酒に含まれる酸の1つで、清酒の旨味を構成し、コクを引き立てるアミノ酸の度数を言います。日本酒にはアルギニン、チロシン、セリン、ロイシン、グルタミン酸など約20種類のアミノ酸が含まれています。
また、飲み口の良さや、のど越しの爽やかさは、このアミノ酸により決定されます。例えば、酸度が低い場合でもアミノ酸が高いと辛口で重たい酒となります。アミノ酸も低い場合は、淡麗で口当たりの良いお酒となります。
【関連サイト】
○ 神戸酒新館
○ ぐるなび兵庫版 神戸酒心館さかばやし
○ SRN 日本酒ライスパワーネットワーク