メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.7~ part2)

2013-04-13 16:50:52 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ブルックリン最終出口』(1989)

監督:ウリ・エデル 出演:スティーヴン・ラング、ジェニファー・ジェイソン・リー ほか

「さあ起きて、町を行き、通りや広場で私の愛している人を捜そう」

今作をひと言で言い表すなら、ルー・リードとザ・バンドの世界をムリヤリ結合させたって感じ。
ああ、この暴力は、かの『ベイビー・オブ・マコン』に通じるぞ
違っているのは、スト明けと新しい命の誕生のシーンをうまくからませて、
トゥララの輪姦される巨大なマンホールみたいな悲しみをソフトにしていること。
これは彼女自らが撒いた種だとしても女のどうにも這い上がりようもない傷ついた心と体には違いない。
少年の心からの涙で彼女の心は少しでも救われただろうか?

もう1人、同じように傷ついた男ピケやケンカで流される血と暴力の後、彼の顔が不気味に輝くのが怖い。
ジョージという妖艶な美に心を奪われてから地をさまよい、ついに救われなかった男。
今作は'50代の下級労働者とストが主題。その表と裏。
このブルックリン街の夜は明けることがなく、ネオンが消えることはない。

リーはなかなかメジャー作品に出ないものの、暗い影をもつヒロインを演らせたらピカ一の若手上昇株
今作では特にトゥララ役にのめりこんでる感じがする。半裸で酔っ払うシーンでは狂気さえ漂う。
ドイツのデカダンス色濃い今作、実際ブルックリンの町並みは普通に見えるそうだが、
どこであっても必ずその裏には底辺の生活、貧しさ、無教育、軽薄な愛と性などの醜い影がある。
その最終出口はブルックリンへと続いている。。


『ロイドの牛乳屋』(1936)

監督:レオ・マッケリー 出演:ハロルド・ロイド ほか
初めてロイドの名に触れたのは辞書のイラスト選びをしていて「ロイド眼鏡=ハロルド・ロイドがかけていたことからこの名がついた」
というのを見て、どんな眼鏡か興味を持ったこと(あの辞書もいつ出来上がることやら・・・
そして今回初めて彼の映画を観た。ジャケットの紹介では「フランネルのスーツにストロー・ハット、丸い“ロイド眼鏡”、
普通の青年がいざとなると超人的大活躍する“ロイド喜劇”を生んだ。チャップリン、キートンと並ぶ大スター」とある。
おまけに、ある爆破シーンで右手中指を吹き飛ばした後の撮影だとか驚 3人とも笑いに命賭けてたのね
ダニー・ケイでも再映画化された今作、彼が演ったらやっぱり楽しいミュージカル風になるかな?と想像する。
ダニー・ケイも勇気をテーマにした喜劇がよく似合う。

タクシーに乗り「ヒヒーン」と声にあわせてロイドが鳴いてるまねをするシーンは大爆笑
ワン・トゥ・ブンブンとワルツにあわせて軽やかに舞う姿は可笑しい。ギャビーの相方メイとのやりとりもとても面白い。
彼女の嫌味ともいえないスパイスの効いたセリフの数々は見どころ。2人の男がグローブをはめっこしているのを見て
「前にもそれにハマった人たちを見たわ」とかetc.. ほんとなんてことない特徴のないロイド。
芸風ってほどの個性もないけど、アメリカ青年を代表して数々の喜劇を生んだとすると、その詳細も気になってくる。

(いまだにバンバンの♪ダンディ を聴くと彼の姿が思い浮かぶんだよね


『ジャバーウォッキー』(1978)

監督・脚本・出演:テリー・ギリアム 出演:マイケル・ペイリンテリー・ジョーンズ、マックス・ウォール ほか
これが噂のギリアム記念すべき第1作目 系統としては『バンデッドQ』で冒険ファンタジー。
ギリアム自らもダイアモンドだと石を売りつけて結局はウォッキーに骨にされちゃう男に扮している。
主演のペイリンがなんといっても大活躍。田舎者で頼りないけど、なんだかんだいって出世しちゃう役所はお手のものって感じ。
'78といえば『空飛ぶサーカス』が大好評のうちに終わって全盛期の頃だよね。
皆若くてはりきってるパワーが伝わってくるけど、MP色より、純粋に童心に戻って冒険する心がテーマみたい。


『MONTY PYTHON and THE HOLY GRAIL』(1975)

監督:テリー・ギリアム、テリー・ジョーンズ 音楽:ニール・イネス アニメ:テリー・ギリアム
出演:モンティ・パイソン ほか
これぞMPカラー一色。ノリノリの6人衆勢ぞろいで1本で6倍、いや600倍たっぷり楽しめる決定版
それにしてもまたもや中世劇の冒険ファンタジーとは! ここへきてやっと気づいた、
MPメンバは昔からとくとくと伝えられる騎士に姫、モンスターの揃った冒険する心を常に追い求める
冒険ファンタジーマニアック集団だったんだ。
作品を見ながら1シーン、1ギャグも見落とすまいとメモったものに沿ってできるだけポイントをおさえてストーリーに書こう。
(そのストーリーは省略

最初から笑える。クリップと荘厳な音楽の下に何語かで「自作自演だよ」「共演者だよ」「こんな人たちも」
「これ終わったらスウェーデン行こうね」「湖もキレイだし」「面白い動物もいるし」
そこにお詫びが入って、「編集の手違いで、彼をクビにします」それでもまだ出てきて「再び手違いで、クビにした奴を解雇します」
ここまで丁寧に笑かしてくれる彼らは本当にタダものじゃない!
そうそう、ド派手王女にはエリックの元奥さんがいるし、本当にMP総結集して純血統書の世界に
造り上げられているのがファンにはなんとも嬉しいし、楽しい。

冒険談も一筋縄じゃいかない。それを書いてる歴史家も出れば、後年説明する歴史家の殺人事件までこんがらがって、
そこかしこにギリアムのアニメがもっとストーリーを混乱し、分断し、奇跡的なバランスでシュールな物語りとなって突き進んでゆく。
このアニメなしでもMPは語れないんだよね。
ああ、久々にMPの新たな芸を見て充実した気分。高度なセンスを必要とする反面、
能無しになって口アングリ状態におちいっちゃうこのユーモア感覚は、一度覚えたらもう止められません。


『ダニー・ケイの天国と地獄』(1945)

製作:サミュエル・ゴールドウィン 監督:ブルース・ハンバーストン 音楽:シルヴィア・ファイン
出演:ダニー・ケイ、バージニア・メイヨ、ベラ・エレン、ドナルド・ウッズ ほか
掘り出し物第3弾。ゴールドウィンとダニー・ケイ、そしてパートナーのシルヴィアの3人ががっぷり四つに組んだ今作。
双子で全然性格が違うケイの1人2役は特殊撮影技術とともに彼の独壇場。
歌あり踊りあり、サスペンスとロマンス、そしていつも楽しみなのが奥さん作詞作曲の迷曲を見事歌い上げるシーン。
今作の花粉アレルギーのクシャミ歌は何度観ても大爆笑

Wonder Man - Otchi Chornya

オペラの歌声もなかなかのもの。ダンスも歌もプロを相手にしても見劣りしない芸達者ぶりに本当にいつも驚かされる。
それに加えてブロンド、背の高いスーツの似合うハンサム。
毎回必ず笑って楽しめるコメディは少ないけど、昔の芸人さんて本当に芸を極めた才能がある。


『キートンの大列車強盗』(1927)

監督・出演:バスター・キートン
キートンが蒸気機関車を知り尽くした機関士として、愛する恋人と国のため、敵と戦って奮闘する武勇伝。
作品の大半を占める列車の追跡劇では機関車という素材をフルに活用して、
キートン持ち前の軽やかで不死身のスタントアクションも盛りだくさん。
ヒロインはなんだか変わった顔をした妙に豊満というか大柄な女優。
恋人にわざわざ入隊を押しつけるなんて戦時中のご時勢が出てるけど、
ドジりながらも英雄になって、それでも恋人獲得以外の大きな意味はないってゆう平和志向なコメディ。

どのシーンも軽業師のごとき身のこなし。何シーンかに分けて撮影しているとはいえ、どのシーンもウルトラCの連続
南軍に知らせて橋で攻撃、ジョニーの飛ばしたサーベルが刺さったり、弾がダムに当たって川があふれたり。
恋人にも見直されて、敬礼とキスで大忙しのエンディングは平和なもの。
走って列車に乗ったり、ちょこちょこ止めたりしての追跡劇は、
電車になった現代のハイスピードアクションに比べるとのんきで楽しい感じがする。


『ウディ・ガスリー わが心のふるさと』(1976)
監督:ハル・アシュビー 出演:デヴィッド・キャラダイン ほか
'36、テキサス。妻子がいながら町を仕事もなくフラついているガスリーから物語りが始まる。
ギターの弾き語りをやり、看板を書くのがうまいが、かといって自信も目的もなく何かが足りないと思いながら片田舎で日々を流している。
アメリカの庶民の心を支えるシンガーソングライターも初めからそうなることを目指していたわけではなかった。
いってみれば国が慢性的に抱えていた貧富の差、職不足という大きな問題、政情そのものが偉大な国民的シンガーを作り出したといえる。
その心は'64死後も次のディランに受け継がれたことにより多少形の差はあれ、世界に永遠に歌われ続けることになったことも素晴らしい。
ディランによってガスリーの名が再び語り草になったともいえるのは確かだ。
あまりに似通ったこの2人の姿を通してアメリカン・ミュージックのルーツとその背景にあった歴史を見た。
歌が常に何かを訴え、人々のすさんだ心を癒していること。キャラダインが見事に体現。自作自演の歌も満載。


『マルクス一番乗り』(1937)

監督:サム・ウッド 出演:マルクス兄弟 ほか
掘り出し6弾目はマルクス兄弟。2~3本未鑑賞があった中から彼らの大ヒット作という1本。
競馬がメインだけど、チコのピアノの楽しさ、ハーポがそのピアノをメチャメチャに壊した中からハープを取り出して
ドタバタナンセンスから一転して、心表れるハープの響き一色となり、グルーチョが喋りでテンポを上げてゆく。
ソフトボイスのハンサム歌手にヒロイン、グルーチョの相手役の大柄な女性とのお人好しなやりとりというベースに
今作で特に目を見張るのは黒人労働者によるジャズとダンスが盛り込まれテンションをさらに上げていること
♪Tommorrow is the another day を合言葉に療養所を守ろうと奮闘するマルクス兄弟の風変わりな世界。

グルーチョと踊り子のシーンも可笑しい。いちいち"thank you"に"thank you"と答えて、座ればテーブル上の花でまともに話せない。
「いるかい?」ソファに座り、彼女がグルーチョの膝に座ると「すごい近視だね」てw
器用に動く眉と大きな眼、ああ言えばこう言うのやりとりはいつも楽しみの1つ。


『MONTY PYTHON and now for something completely different』(1972)

出演:モンティ・パイソン ほか
いやあ、こんな貴重な映像を拝めるとは、なんとも有難き幸福
とはいってもなんの因果か今作が吹き替え版だなんて、面白味が半減 声も100%MPじゃなきゃ!
ま、その点を無視して、いってみれば数々のスケッチの決定版とでもいうか、劇場版なわけで、
シリーズ1~8巻と別バージョンもあれば、ライブでしか観たことのないものの屋内版もあるし、ファンには嬉しい初見のもあるv
1つ1つの内容の紹介は後々。今日まで生きてて良かった(スケッチ詳細は省略
ラストのテーマソングにあわせたアニメもgood!


『新・泥棒株式会社』(1962)

監督:クリフ・オーウェン 出演:ピーター・セラーズ、ライオネル・ジェフリーズ ほか
邦題は「新」とはなってるけど初作とは直接関係なさそう。
ギャングコメディながらセラーズのボケ演技や変装術が見られないのが残念。
セラーズはクールなボスに徹底していて、相変わらず美女に弱いけど、今作は抑え気味。
こうゆうハードボイルドならぬソフトボイルド?ものもイケるのね。
ファンにとってはドタバタナンセンスもののイメージが捨てがたいけど。


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