メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.7~ part1)

2013-04-13 16:50:53 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はオレンジ色のノートからご紹介。
前回に引き続き、バスター・キートン、マルクス兄弟、モンティ・パイソンなどなど。

  

photo1:エリック・アイドルが出た『80日間世界一周』
photo2:大好きなビリー・ワイルダー×ジャック・レモンコンビ
photo3:友だちと観に行った「グランマ・モーゼス展」

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ゼンダ城の虜』(1979)

監督:リチャード・クワイン 出演:ピーター・セラーズ、リン・フレデリック ほか
驚いたなあ、これがあの『チャンス』と同じ年に撮られたなんて!
本当にセラーズは年齢も見かけも性格も見事に変装して演じ分けられる名人だ。
これだけの剣の立ち回りなどが出来るのにその後すぐ亡くなったなんて信じられない。
コメディアンらが好んで取り上げる中世劇でマヌケな王と、機転がきく腕っぷしもいい王ソックリの御者を別人みたいに演じている。
フレデリックはセラーズ夫人だよね!? これは要チェック。美人は3人出てきたけど29歳年下の奥さんはどれかしら?

どちらかというとコメディは寝取られ男の伯爵や、拷問フリークで自分の道具にハマっちゃう番人
(せっかくのルビーを下水に落として「他にない?」といって泣いちゃう王は可愛い)に任せて、
セラーズは2役のドラマを主にしている。
特に御者が王の芝居をするというシェイクスピア劇風のシドニー役は真面目でカッコいい。
二重撮りも上手い。こうゆうシーンが多い彼のダミーはどんな人がやっているのかな?
髪型やメイクや動きでこうも同じ人が変われるものか。どう見てもルーディは30代で、チャンスは60代くらいに見えた!
話芸も彼の見せどころの1つだが、吹き替えなのはやはり残念。「王でちゅ」なんていう連発でこりゃ酷い
英国人にとってセラーズの喋りはどう感じるものなのかな?やっぱり夫人は姫役の若いコだった。
人形みたくキレイ。最期の作品に共演して幸せのうちになくなったのは往生とも言えるか。


『荒武者キートン』(1923)

監督・出演:バスター・キートン 出演:ジョー・ロバーツ、ナタリー・タルマッジ ほか
このスタントは『ダイハード』のウィリスどころじゃない。マジに危険でほとんど無茶とも言える。
川に流されていくシーン、本物の滝つぼの淵で長い木とくくりつけた縄1本だけで見せる必死のアクロバット
これはやり過ぎ。計算もなく、自らの運動神経と勘を頼りにやってるんじゃないかと思わせるヒヤヒヤもの。
アクション映画というジャンルすらないこの時代、キートンのコメディでさぞかし皆驚嘆したことだろう!
このシーンで滝に落ちて溺れかけたそうだ。彼が60代まで元気でいたことが信じられないくらい!驚
今作では珍しく、ヒロインとのキスシーンまである
ストーリーは別の人だけど監督業にも加わって、驚異に満ちたキートンワールドが繰り広げられている。
テーブルのお祈りで片目を開けてあたりをうかがう表情がなんともキュートで美しいシーン。


『マルクスの競馬騒動』(1950)

監督:チェスター・アースキン 出演:グルーチョ・マルクス、ウィリアム・ベンディックス ほか
グルーチョが兄弟としばし離れて大男のW.ベンディクスとパートナーを組んだ、どうやら晩年の作品のよう。
ハーポらがいない分、雰囲気は随分と落ち着いちゃって?邦題の通り、競馬で儲けようとする2人の水兵の
ペテン騒ぎというドラマが中心。グルーチョのナンセンストークのテンションも抑え気味。
こんなに八百長やドーピングのまかり通るレースじゃ全然フェアプレイじゃない。
なんか思いつくとピロロポロロンと音楽が鳴るというグルーチョの水辺さんの歌(ハモり方がイイ)が楽しいけど、
もうちょっと得意のこじつけ理屈こねギャグが欲しいところ。

later info:父母も芸人で5人兄弟にそれぞれ芸を覚えさせ、ミュージカル風のステージで成功。
その後4人が映画出演。ゼッポは自ら“飾りでしかない”と抜け、ハーポはセリフが下手なので聾唖で活躍。
何度かメンバーチェンジ。生まれた順番でみな他界。グルーチョの本名はハバート。なんだまともな名前があるじゃんw
彼は歌が得意で聖歌隊にもいたとか!舞台にヒゲの代わりに靴墨で描いたらウケて、それからずっとそのスタイルなんだって


『レオン』(1994 劇場にて)
監督:リュック・ベッソン 出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ ほか
ベンソン監督がレノと組んだ『グランブルー』の名コンビ復活。
今作は清涼な海から離れ、殺伐とした大都市N.Y.で影のように暮らすプロのクリーナー(殺し屋)レオンと
12歳の少女の奇妙で純粋、そしてなんとも哀しい純愛物語り。
はじまりは悪に満ちた犯罪都市の醜い一面から、中盤は2人1部屋で奇跡的に平穏な日々、
それが伏線となって、心を通わせた2人が汚職警官とのスリリングな対決、絶体絶命からの脱出。
哀愁あふれる実は情が深い殺し屋役レノの朴訥な感じ、頼りがいのある体格、渋い表情がカッコいいし、
すっかり悪役が板についたオールドマンの異常ぶりは1作ごとに迫力が増して見える。
リトル・イタリーは、N.Y.であってN.Y.でない異世界。そこで殺しの仕事を斡旋しているアイエロも
妙に義理堅い男なのも面白く、名脇役で作品を引き締めている。

「愛している。初めて生きる意味を見つけたんだ。今度は根を張って生きてゆく」
校庭に彼の大事な友達の観葉植物を植える少女。「無口だから好きだ。俺と同じで」
植物を大事に育てて命からがら逃げる時も一緒なんてあり得ないところが映画の面白さだよね。
ラストに流れるスティングの♪we dance alone.. はピッタリ。


『シンドラーのリスト』(1993)
監督:スティーブンン・スピルバーグ 出演:リーアム・ニーソン、ベン・キングスレー ほか
評判、期待と実際が一致、それ以上の感動をもらった今作。日本は今年で戦後50年。改めて思い起こすにはいい機会だ。
皆が忘れようとしている実際に起こった信じ難い事実について、それを現代にここまで完璧に再現し、
世界に示したことには大きな意義がある。しかも、監督自身もユダヤ系だと今回初めて知った。
平和の時代に生まれて育ち、慣れてしまっている私たちの世代にとって、戦争があったこと、
ヒトラーやユダヤ人虐殺は、過去の歴史、本の上でのことでしかない。
ましてや今作の主人公シンドラーという戦争の影の英雄の存在なんて、今作を観るまで全く知らなかった。

なぜヒトラーはここまで徹底して同じ人間である一部の人間を隔離し全滅させようとしたのか?
なぜ兵士らは同じ人間を家畜、細菌以下として理由もなく殺すことができたのか?
すべては狂った時代の仕業? それもたったの6年間に何百万人の死者を出してまで。
映画は始まりと終わりに人々がそれぞれの自由を有する時のみカラーでほとんどはモノクロ。
所々象徴的に色づけがしてある。赤い服を着た少女が列の中を迷い、結局は焼却所に運ばれてゆくシーンは心に残る。

オスカーのお陰で奇跡的に生き残れた1100人は6000人の子孫となって今も彼の墓を見舞う。
「映画を亡くなった600万人の人々に捧げる」数知れない墓碑と鎮魂歌のごとき静かなメロディ。
シンドラー夫人はじめ、たくさんの関係者が現在も生き証人として生きているというから驚く。
過去の悲劇は今なお続いている。詳細なエピソードは彼らの実体験を再現したのだろう。
絞首刑となったアーモンのメイドを務めたヘレンいわく「力とは人を許すこと。恐怖を与えることではない」
「戦争は人の悪いところばかりを出させる。平和は良いところを引き出す。アーモンでさえ、戦争でなかったら、いい奴だったろう」
『ダークマン』以来、初の大抜擢のリーアムと『ガンジー』の強烈な個性とうってかわって重い役に徹したキングスレー、
その他無数のエキストラらにいたるまで全員が一丸となってこの壮大なドラマが成り立っている。


『キートンの結婚狂』(1929)

監督:エドワード・セジウィック 出演:バスター・キートン、ドロシー・セバスチャン ほか
こうして見るとキートン作はマドンナと恋する男っていうのが多いのね。今作は女優に夢中になるクリーニング屋さん。
このドロシーという女優は、キートンに負けず劣らずスラップスティックをやっているのにビックリ
比較的人物が近くて表情の演技も見せ所。音楽もピアノだけからジャズっぽい工夫がある。

今作以降トーキー時代に入り、キートンの人気はあまりふるわなくなる。
スラップスティック、特に彼の高レベルで危険度大のスタント芸はやはり年齢に限界があるもんね。
彼のドラマ演技ってのもいけるんじゃないかってファンとしては思うんだけどな。

later info:父親の興行に出て、振り回されて表情ひとつ変えないのを見て、
奇術師フーディニが“BUSTER(なんて奴だ)!”と言ったことが名前の由来。
STONE FACEで大活躍。『荒武者~』でキスしてたのは奥さんのナタリー!2人の息子あり。
でもアル中で家庭不和で離婚。後2度再婚している。どんな端役でもこなし映画多出演、舞台もやってた。
邦訳の伝記があるらしいから読みたい!


『マルクス兄弟のデパート騒動』(1941)

監督:チャールズ・F・ライスナー 出演:マルクス兄弟 ほか
今作は笑いとともに音楽があらゆるジャンル、あらゆるシーンに織り込まれている
グルーチョの♪Sing while you sell はハリウッドミュージカル風。踊りとハーモニーが豪華。
韻の使い方が楽しいブギウギやジャイヴ、ビーバップ、子守唄をロック風にしちゃう無表情の女子店員という
この時代の音楽シーンの新鮮な空気も伝わってくる。
「このドレスは赤いけどテクニカルカラーはコストが高い」なんて本音もチラリ
チコの軽快なピアノ、ハーポとのドタバタ共演奏、ハーポのハープは三面鏡を利用して、バイオリン、ベースも加わり、
3人のハーポの三重奏が楽しい。でもそれが彼の想像だったってあたりもイイ。
トミー・ロジャースとして甘い声を聴かせるのはトミー・マーティン、プロの歌手だよね。
♪アパートの四奏曲 はなんとも変わったダニー・ケイ風面白おかしい歌。

女性がドレスと同じ生地をムリヤリ取り寄せてくれとせがんで、ハーポが彼女のスカートの一部を切って渡しちゃう
あのクルクルパーマに、かかしファッション、そしてハサミも彼の必須アイテムなんだよね。
マーサ「結婚後若い娘に目が移って私のことなんか忘れちゃうわ」
グルーチョ「いいやとんでもない、2週間に1回は手紙を書くよ
「君の叔父は猿じゃないのか?」て言われて、グルーチョ「親類を悪く言うな」とかw
それにしてもあの妙なゴリラウォークはどんな時でもああなのね。


『少年と鮫』(1980)
監督:フランク・C・クラーク 出演:デイトン・ケーン、マーレン・ジェンセン ほか
この作品が昔観てもう一度観たいと思っているあの映画と同じかも知れないと思ったけど別物だった。でも同じだけの感動を味わえた。
あの映画はウミガメが恋人たちを助けるもので今作はサメ。元来彼らはめったに人を襲わないんだけど、
恐怖のイメージとは逆に、今作ほど手なづけられ、まるでイルカのように人とたわむれる姿は今まで見たことがない!驚
人の手で育てるとこうもなつく魚なのだろうか? どうやって撮影したのか『アトランティス』同様
魚と波に溶け込み、一緒に動くカメラワークは素晴らしいかぎり。
暑い都市を離れて、彼らのように人であることも、時間もすべて忘れてどこかの孤島で自然と同化して生きたいものだ
ハワイの群島のひとつだろうか? 腰を振るダンスは子宝を象徴する。男女を解放させるあらゆる行事の数々も見せ所。


『ウディ・アレンのバナナ』(1971)
監督・脚本・出演:ウディ・アレン 出演:ルイーズ・ラッサー ほか
芸人を離れた実際のアレンがどんなか知らないけど、俳優としてのアレンは自らの短所をすべて生かして
逆手にとって気恥ずかしさ、情けなさをさらけ出すことで苦笑い、照れ笑い、大笑い、とにかく人を笑わせちゃう。
モジャモジャの薄い髪、白くてか弱い体、神経質に喋りまくって、やることなすことドジばかり。
普段の欲求不満を爆発させて可愛いヒロインと役得とばかりにイチャついているようにも見える。
ナンセンスギャグと痛烈な社会風刺・政治批判をともなった今作は、楽しめる要素満載。
監督としてのアレンはいつも冴えまくっているんだ。


『新80日間世界一周』(1989)

原作:ジュール・ヴェルヌ 監督:バズ・クーリック 出演:ピアース・ブロスナン、エリック・アイドル ほか
たしか2巻ものの映画のほうは鑑賞済み。あの時もブロスナンじゃなかったっけ? 他にマレーネ・ディートリッヒなどが出てた。
今作は3本分で、なんとあのアイドルが主役級で、最初から名前がドドーン ピアースが主人公なのにね
その後の調べで出演を知ったけど、やっぱり英国のコメディアンは中世が舞台のファンタジックストーリーが好みなのかも。
彼が単なるコメディアンとはいえないけど。

PART.1 ヨーロッパ編
いいところで「to be continued..」これは先を見なきゃって感じ。
この撮影はそれぞれの国に実際行って撮ったのかな? とにかく予算はかかってそう。
2本組みでは日本も入っていたけど、今作は中国あたりみたい。日本だって日光江戸村あたりに行って撮ればなかなか面白そうだけど。
それぞれの文化や人々の気質、加えてよりすぐりの美人が楽しめるというおいしい話。
さてさてフォッグ氏はこそ泥なのか?彼らの旅は成功するのかお楽しみ。

PART.2 アジア編
横浜のシーンあり。まあ1875年だからチョンマゲもいたかも?でもやっぱりなんか変だよね
'89に撮ったならもっと日本文化の真の姿をとらえてもよさそうだけど、原作に沿うとこうなっちゃうのか?
♪どんぐりころころ のおばさんの合唱が聞こえてきた時はどーしよーかと思ったよ。これ本当に日本で撮ったのか?
日本よいとこ一度はおいで。今ならチョンマゲに囲まれて混乱することもないだろうし。
フィックス役のユスティノフがイイ味だしてるなあ! 太ってて抜け目ないプロにしては酔って「エリー」と恋人の名を叫んだり、
足をくじこうとどこまでも目標を追う根性は大したもの。
命を助けてもらって、フォッグを友と認めはじめたみたい。フォッグと姫の関係のゆくえも気になるところ。

PART.3 アメリカ編
最後のフィナーレで文句なく満足。何度観ても(といっても最後のトリックは忘れてたから、また驚いてしまった)
間に合うか、間に合わないか、時間の秒針が刻む音さえ聞こえてきそうなラストへの盛り上がりは手に汗握ってしまう
映画より少し時間が長い分、ディテイルもしっかりしてて、なんといってもキャストが最高。
そういや有名なテーマ曲はここでは流れていない。劇場用と別物にしてテレビ用だったのか?
今作でいえる最大のメッセージは“金は多く持っているほうが断然有利だ”ってこと。
それにしても小説でなかったら、これほどたくさんの困難や事故に巻き込まれることなく30日間くらいで着いたかもね


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