メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

世界の名作全集 22 あくたれジャンの日記 ヴァンバ/原作 国土社

2024-04-10 17:26:10 | 
1990年初版 安藤美紀夫/訳 依光隆/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


やることなすこと、あまりに度の過ぎた心無いことばかりで
イタズラと呼ぶにはどぎつくて、サイコパスぽい/汗

動物にペンキを塗るのも、虐待だし
サイコパスって、動物虐待と関係深いよね

自分の起こした騒動を全部他人のせいにして
自分がどれほど不幸か嘆くのも徹底していてコワイくらい

同じ家にこんな子どもがいたら、私は耐えられないが
そう育ったには、素地になる家庭環境があったのかも

そもそも家族が他人の悪口を言ったり、噂を流したりするのが好きっぽい
子どもは周囲をよく見てマネする生き物だから、家庭や社会の投影とも言える

ジャンの言う通り、子どもに体罰で教えても何も身につかない
自信をなくし、他人のせいにしたり、八つ当たりするほうに逃げるのも無理ないかも

ジャンを子どもだからって理由だけでのけ者にしているから
なんとか注目を浴びて、たとえ怒られてでも
家族にかまって欲しいだけなのかもしれないし

挿絵の依光隆さんは「少女・世界推理名作選集」でも描いてたな
1926年 高知県生まれ



【内容抜粋メモ】

登場人物
父母
長女 アダ
次女 ビルジーニア
三女 ルイーザ
ジャン 9歳

コルラルト 医者 ルイーザの婚約者
マラルリ 弁護士

カテリーナ お手伝い
ベッティーナおばさん


●日記
誕生日にもらったプレゼントの中で、母からもらった日記が気に入り
何を書いたらいいか分からないから、アダ姉さんの日記を持ち出して写す(!

「カピターニみたいなイヤなおじいさん、もう二度とこなきゃいい」

お金持ちだから、両親はアダと結婚させようとしている

カピターニが来て、みんなの前でジャンの日記を読み
姉の気持ちを知って激怒し、縁談がなしになる



●あくたれジャン
釣りに行くと、川に落ちて、ジジおじいさんに助けられ
みんなに世話をされて嬉しいジャン

カーテンの影に隠れていると、ルイーザ姉さんが
医者のコルラルトといつ婚約を発表しようかと話していて
ジャンはみんなの前で発表してしまう



●ダンスパーティー
姉たちの写真を盗み、裏にそれぞれの悪口が書いてあるため
本人のもとへ持っていくと、みんな怒りだす

ジャン:子どもなんてものは、いたずらするためにこの世に生まれてきたようなものだぜ

ベッティーナおばさんがダンスパーティーの日にやって来ると分かり
お金持ちだが、田舎者でみっともないから恥ずかしいと話す姉たちを助けるために
「パーティーの前に帰って」と頼むと「もう二度とこない」と怒って帰ってしまう

パーティー当日、女性客はたくさんいるのに、男性は3人きり
写真の件で怒ったのが原因とバレて、また体罰をくらうジャン

ジャン:
ひっぱたいて子どもを苦しめることはできても
考えまで変えてしまうことはできない









●ベッティーナおばさん
おばさんの家に行こうとして、汽車賃もないため、見張り室にもぐりこむ
ひどい風雨になり、割れた窓から雨風が吹き込む

トンネルに入ると煙でむせる
駅で降りると、駅長室に連れていかれ、真っ黒な顔と服について聞かれ
無賃乗車と不正乗車で罰金になる

ベッティーナおばさんは割れた窓の弁償まで払うハメになる







おばさんは、白アザミをとてもかわいがっているため
鉢の土を出して、棒とヒモをつけて、おばさんが見るたびに伸びたように見せて笑う

イタズラがバレて怒られるが、「愛しいフェルジナンド様の魂が宿る」
と言っていたのを聞いていたのが知られて、誰にも喋るなと約束させるが
ジャンは聞かれるたびにみんなに喋ってしまう



●動物園
畑仕事をしている農家の子どもに「動物園をつくろう」と言って
イヌやヒツジにペンキを塗っていく

最後には子どもにもペンキを塗って、木に縛り、泣いてしまう
親が来ると、ロバに乗って逃げる

おばさんは父に電報を打って、連れて帰ってもらう
ルイーザはコルラルトと結婚が決まり、ローマに行くことになる



●花火
2人の結婚式に花火をあげてお祝いしようとたくさん買い込む

ベッティーナおばさんは手作りのダサい毛布をプレゼントして
姉たちは、ダイヤモンドのほうが良かったと言ってたと話すと
また怒って帰る

コルラルトさんのコートのうしろに花火を仕掛けたら
とんでもない騒ぎになって、部屋に閉じこめられる

ジャン:なにかどでかいことをして、ボクをこんな目に遭わせた大人たちに思い知らせてやらなきゃ


姉は同情して食べ物を持ってきてくれる






●転落
部屋から脱走しようとして、敷布をさいてロープにして
窓から出たら、布が切れて転落し、頭を打ち失神

ちょっと厳しくしすぎたと後悔して、手品を観に連れて行ってもらって感動し
手品師になると決める

友だちの前で近所のオルガさんの金時計を粉々にくだいて(!
元通りになると思ったら失敗して、お母さんの時計を渡すと驚いて持って帰る子どもたち

帽子の中に卵を割って入れてオムレツを作ると言ったが
自分の帽子だと分かったネルリさんは激怒する

おもちゃのピストルに弾が入っていてビックリした
弁護士のマラルリ氏の目に弾が当たって大怪我を負わせた







ネルリ:あいつは生まれつきの悪党だ!

ジャン:ただの災難だよ 大人なんて、みんなそうなんだ



●時計
オルガさんがお母さんの時計やハンカチを持っているのを見て
なんでも珍しいものが欲しくなって収集する
“クレプトマニア”なんだとアダと話しているのを聞いて
おかしくてたまらないジャン

母はオルガさんの夫にワケを話すと、夫は有名な医者にみせて
医師は神経を休める治療をすすめる
ジャンはさらに大量のハンカチを姉の所からオルガさんの家に届ける

怪我が治ってきたマラルリさんのもとに社会党の委員たちがお見舞いに来る
母は“異教徒”と呼んで嫌っている



●学校
ジャンは前の席にマツヤニを塗って、服とくっついて離れない

「動くんじゃない 顔をぴくぴくさせるんじゃない」が口癖で
“ぴくぴく先生”とあだ名されている先生に怒られて、校長にも呼び出される







マラルリさんがビルジーニア姉さんと結婚することになる
アダ姉さんは、貧しいデ・レンツィス氏との結婚に許しが出ずに泣く



●姪フローラ
マラルリさんの姪フローラが1週間遊びに来る

フローラが大事にしている人形をバラバラにして、組み立て直すと
寝かせても目が開きっぱで泣き出す

ジャンが主人、フローラが黒人奴隷になって
森に置いてくる、という遊びをするために
顔を真っ黒に塗り、髪の毛を切ってしまう(!

森に置いたまま忘れていたが、カミナリが鳴り
カミナリ嫌いのフローラを心配した親に話すと大騒ぎになる

ジャン:
あんな、たいしたこともないちびっ子のために
ウチじゅが大騒ぎをしてるのを観てると腹が立ってきた


フローラは早めに家に帰ることとなる



●どろぼう
両親がいない夜 ビルジーニア姉さんが「どろぼうがいる!」と叫んで
近所の人もやって来る







ジャン:
姉さんは、いつもベッドの下にどろぼうがいると思っているから
一度くらい本物がいてもおかしくないと思ったんだ

おもちゃのピストルを持ったわら人形をつくって、姉のベッドの下に置いたジャン
ビルジーニア姉さんは両親に出かけ先から早く帰ってきてとSOSの電報を打つ

ジャンは大嫌いなスープだけの食事の罰となったのが悔しくて
シチューの鍋に塩をいっぱい入れる



●結婚式
マラルリとビルジーニア姉さんの結婚式に
あくたれジャンを連れて行かないよう計画していたのを知り
馬車に飛び乗って教会に行って泣いてしまう







今度は暖炉が急に爆発する事件が起きる
残った花火を隠しておいたジャンのせい

ジャン:
子どもは大人を敬わなくてはいけない
だったら、大人も子どもを敬ったらいいじゃないか


粉々になった金時計が出てきて、手品で遊んだことを話すと、また父から体罰を喰らう
ジャン:済んだことだもの、もう忘れちゃったよ

オルガさんに謝ると、小説のネタになると笑って許してくれる
ジャン:子どもの扱い方をオルガさんから教わるといいや



●代議士
クラスメイトからマラルリさんが代議士などなれるわけがないとバカにされて怒るジャン

1人で運転もできると自慢したのが信じられず
運転手が銀行に行ってる間、運転を見せてもらうと
クルマは暴走し、友だちは失神、家につっこんで、2人とも大怪我を負う









同情したコルラルトは、ローマで電気療法を受けるといいとすすめる
ローマに行くのが夢だったジャンは大喜び

鼻声の侯爵夫人をマネして待合室で喋っているのを見て
コルラルト:今度、患者さんと話したら絞め殺すぞ



●電気療法
侯爵はジャンの事故についてバカにした態度をとるため
光線浴をしている箱に入ってる時、タマネギをこすりつけてやると
機械の中で動けない侯爵は顔をくしゃくしゃにして苦しむ
医者:ひどく神経がたかぶっている 冷水浴をさせなさい!







コルラルトの姉マチルデが可愛がっているカナリヤをカゴから出してあげると
愛猫が食べてしまう(!

猫をこらしめるために水道に頭をつっこむと痙攣をおこして
逃げた拍子にベネチアガラスの花瓶を割って
高級なペルシャじゅうたんを水びたしにしてしまう

召使いのピエートロ:
マチルデさんがとても大事にしているものが5つあった
カナリヤは食われて
子どもの頃に拾ったネコは黄色いヘドをはき
友だちの形見のベネチアガラスの花瓶はこなごな
教会におさめる刺繍もめちゃくちゃ
叔父がお土産で買ってきたペルシャじゅうたんは色が変わってしまった・・・

父はとうとうジャンを寄宿舎のある学校へ入れる決心をする(やっぱり

マラルリ:
私たちが結婚したきっかけになってくれた
友だちとケンカしたのも、ボクの悪口を言ったから
私ならちゃんとした子にしてみせますよ

ジャンは試しに1か月、マラルリ宅に預けられることになる








解説





ヴァンパ 本名ルイージ・ベルテルリ
1860年 フィレンツェ生まれ 1920年死去
王政に批判的で、マンガ入りの風刺詩などを書いた

結婚し、2人の子どもが産まれてから児童文学に関心を持つようになった
『チョンドリーノ』

1906年『日曜新聞』を創刊 本書はそこに連載された
形式や見栄にとらわれた社会に対する批判をこめた
全国的に広がった子どもの読者を「こおろぎとロンドの会」に任せた

『鼻の話』
『おかしな光景』
『ながいながいお話』

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