メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1992 part3)

2012-10-17 11:55:50 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『裸のランチ』(1991)



監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:ピーター・ウェラー、ジュディ・デイビス、イアン・ホルム ほか
まともな評価は出来ないクローネンバーグがここまで天才鬼才だったとは
『デッド・ゾーン』を越えていて悔しいけど、たぶん最初で最後のなんとも奇妙な作品だ。
黄色い煙草の煙に包まれたストーリーの端をつかんだと思えてもすぐに霧散してしまう。
また、出演陣もまるでこの作品のために生まれたかのようにハマっている。
ピーターのなんとも言いがたいビリー・リーに、形容しがたい薬中の妻役のジュディ、
インターゾーンの悪玉医師役でイメージ反転したロイ・シャイダー
『2001年宇宙の旅』の彼までがキテレツに見えた。
それにゲイっぽい雰囲気をよく出していたジュリアン・サンズ。言ってみれば彼が一番人間に近い。

小説家という人種を皮肉っているのか、タイプライターが名前を持ち(ブランド名?)
魚人の頭やゴキブリみたいな化け物になって、それぞれリーにインターゾーンのスパイ活動を指示してくる。。
時々、現実の眼から実際の姿がどうなのかを私たちに見せてくれるからいいものの、
私たちまですっかりリーのインターゾーンの後戻りのできない深い幻想の世界
~魅惑的でさえある世界へと引き込まれてゆく。
ウィリアム・バロウズの原作を買ったはいいが、読むのが恐くなってきた。


『仮面の情事』(1991)
監督:ウォルフガング・ペーターゼン 出演:トム・ベレンジャー、グレタ・スカッキ ほか
とってもヒッチコック的ミステリーで、また久々にスカッキのしっかりした演技も堪能できた今作。
ここには、いくつかの深刻な現代の問題を鏡のごとく映し出している。
スピードの出しすぎによる交通事故の無残さ、
妻や家族に暴力をふるう夫、環境破壊のことなど眼前にまったくない建築家等々・・・
トムもホフキンスもイイ役に徹しているし、妖しい占い師キルマーの魅力も冴えている。
でも、本当の愛を求めるなら顔はやっぱり誰でもいいものなのかしら?分からないなあ!


『シンドバッド黄金の航海』(1974)
監督:ゴードン・ヘスラー 出演:ジョン・フィリップ ほか
まるでギリシア神話でも再現したようなフシギで面白いトリックだらけのピュアなアドベンチャー!
シンドバッドが妙にヒーローっぽくなくユーモアの分かる人間味のある男として描かれているのがイイ。
悪役のほうも、悪の権化というより、永遠の若さ、富や名誉、全能的なパワーなど、
誰もが一度は望むだろうものを自らの身を削ってまでつかもうとしている必死な感じで憎めないし、
彼が造り出すモンスターたちはとってもアーティスティックで可愛い
とくに、コウモリのミニ人間みたいなのは、すごく従順だしキュート!1匹欲しいって感じ
6本手の女神が踊るバリダンスなんて前代未聞だし、とても'70年代映画とは思えない斬新さ。
とにかくビックリ仰天の冒険物語。

(どこかで観たって思ってたら、レイ・ハリーハウゼンhere


『ST. ELMO'S FIRE』(1985)
出演:アリー・シーディ、デミ・ムーア、ロブ・ロウ、エミリオ・エステベス、アンドリュー・マッカーシー、ジェニー・ライト ほか
この作品の持つ意味を本当に共感してとらえることはムリだ。
どこかにかならず起こっている、そんな題材を扱っているから。
冒険もアクションもない代わりに、友人という連帯感、誤解、恋人との境界線など
身近でどこかあたたかい作品に感じられる。

とにかくキャストがすごい。若手有力俳優が芽を出し始めた頃の勢ぞろいって感じ。
ロブはなんかチャランポランしてそうで結構ハートフルでイイ作品にコンスタントに出演して
それなりイイ演技をしているから意外。
エステベスの出演作を観るのは、これで2本目だけど、いかにも映画小僧あがりって感じ、細かい芸がうかがえる。
チャーリーよりもずっと父親(マーティン・シーン)にソックリなのには驚いた。
『HARD COVER』のジェニーがロブの妻役でちょこっと出てる。
相変わらずフシギでクールな魅力でステキ。
題名は「幻の火」の意味。船乗りはその火を頼りに港へたどり着いたという。
そんな名の酒場から始まり、若者が次々と出入りしては巣立ってゆく~そんな設定が珍しい。

「僕たちは曲がり角に立っているんだ。これからもうまくやっていくしかないんだヨ」


『真夜中は別の顔』(1977)
原作:シドニー・シェルダン 出演:スーザン・サランドン ほか
原作を読んでかなりショッキングな感動を覚えたのも、もう2~3ヶ月前のこと。
小説を映画にすれば、キングも言っている通り、比較されるのは当然。
しかも'77といえば、まだこの本が世界的ベストセラーになる前の話で
サランドンもまだ無名同然の女優だったはず。

まあ、厳密に言えば抜けた大事なシーンもあった。大事なセリフもなかった。
だけど審判員のごとく目を光らせて観ていたかぎり、みな全力でそれぞれの役になりきっているし、
米仏にまたがる2人の女性のほとんど半生をビデオ2本にすることなく
2.5H近くに納めたのもエライと思う。全体的によく映像化してくれた!って感じ。
でも、初めてこの作品に触れる方々は、やっぱり一人ひとりの登場人物の本当の姿、
そして作品自体もっと味わい深いものとするため、ぜひぜひ原作を夢中になって読んで欲しい。


『激突!』(1972)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
仕事で高速に乗った男が幽霊船のように不気味なトラックにあくまでもしつこく追い回される。
究めて単純な設定だから逆にのめりこめる。
クルマを運転する人なら、こんな得たいの知れない不気味で巨大なパワーを持ったトラックに
猛スピードで追われたら・・・と思えばゾッとするのかもしれない。
だだっ広い米大陸のハイウェイじゃあ、何が起こるかわかんないし、起こっても助けを呼ぶのは至難の業。
それは『HITCH HIKER』でも痛感したけど、カーチェイス、カーチェイス、
まとめれば、これは純粋にカーチェイス映画でした。
私なら他の人の車の後をずっとついてゆけば、相手も証人がいたら困るだろうし、
きっとうまくいったんじゃないかなあ。いいアイデアだと思わない?


『らせん階段』(1945)
監督:ロバート・シオドマク 出演:ドロシー・マクガイア ほか
身障者の若い娘ばかり狙ったのは、なんだか酷い話。
ここぞ、という時にあれほど正義をふりかざしていたペリー医者が突然来られなくなるのも納得できない。
犯人もすぐ分かっちゃうし、結末も見えてきちゃう昔のスリラー映画だけど、
みな真面目に人を恐がらせようと頑張っているところがイイ。


『遠い世界のアウトロー』(1986)
監督:ピーター・ワーナー 出演:ロッド・テイラー ほか
カルチャーショックものも文句なし楽しめる設定だけど、
もし現役テキサスのカウボーイ、それも強盗を働いたばかりの
プロのガンマン4人と、それを追う元彼らの仲間で警察の一人が
'80年代へタイムトリップしてしまったら?

そこでもやっぱりひと悶着あったけど、あざやかな銃さばきと
チームワークで現代の悪党をやっつけた上、
探偵事務所まで開いて、すっかり適応してしまうところはさすがU.S.A!
あっぱれの西部劇臭いSFドラマ。


『アーリー・スプリング』(1986)



監督:アストリズ・ヘニング=イェンセン 出演:ソフィ・グロベル ほか
原題は「子供時代の通りで」。珍しいデンマークの映画。
デンマーク語って口の中で飴玉を転がしているようなフシギな響き。
子どもでもないし、大人の仲間にも入れてもらえない年頃。
貧民地区のウサギ小屋で暮らす夫婦と兄とエスター。

窓から星を眺め、ロウソクの炎でロマンティックな詩を書き、
勝手に美化した想像で頭を一杯にする。
なんだか少女の根源を描いていて、今見てもどこかくすぐられてる感じにさせられる。
とくに真っ赤なドレスにカールした髪なんか一度は憧れる理想像だもんね。
夢想にひたってうっとりする主人公のソフィーはどこか気品があってなかなかの適役。
たびたび出る民族行事も面白い見せ場の一つ。


『マダム・ウルフ 奥さまは月夜がお好き』(1989)
監督:マイケル・フィッシャー 出演:スーザン・ブレイクリー ほか
有無を言わさぬB級映画なんだけど、よくもまあ2H近くもかけて
じっくり撮ったもんだと思う、けっこう笑える、
欲求不満の主婦にいいかもしれない狼男の呪い?!
平凡な主婦が全身毛むくじゃらのオオカミに変身してパニックになるところや、
ホラーファンの娘とフリークの友だちがウルフマンと対決しようとするところなんか
あっけらかんとした現代のファミリーを扱ったコメディでなかなかのもの。



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