メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1992 part4)

2012-10-17 11:55:49 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。part3のつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『足ながおじさん』(1955)
監督:ジーン・ネグレスコ 出演:フレッド・アステア、レスリー・キャロン ほか
久しぶりにアステアの上品で可笑しなダンスの世界にひたれたって感じ
原作のシンデレラ・ストーリーの良さを引き出しながら、
ちゃんとアステアらしいロマンティックなミュージカルになっているところがイイ。
レスリーが一風変わった野生的な魅力で、赤・白・黒のステキなドレスをひるがえし、
2人そろってリズムに乗って軽やかなステップを踏むダンスシーンも
速いテンポのドラマ部分も同じくらいステキな映画らしい映画


『SUGARLAND EXPRESS 続 激突!』(1974)
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:ゴールディ・ホーン、ベン・ジョンソン、ウィリアム・アザートン ほか
「続」とはなっていて、視点が変わっているところは似ているけれども、本題の通りまったく別物。
ウィリアム・アザートンシリーズ第2弾だが、まだ若いのなんの!
ホーンも持ち前のヤンキーぶりでガムをクチャクチャ噛みながら、
軽いノリでカージャックしたかと思えば、赤ん坊を真剣に取り返そうとする姿は
犯罪と言えどもやっぱり同情したくなる。
はじめ銃で脅されていた警官が次第に情が移り、しまいには2人をかばおうとさえする変わり様がイイ。
筋を通して2人の約束を守ろうとする警部の渋さも光る。

それにしても、アメリカって変な国。
すっかりお祭り騒ぎでパトカーの周りに群がったり、
積極的に若い夫婦に加勢しようとするところなんか、日本じゃとても考えられない。
国境を越えれば、すぐ目の前にいてももう手が出せなくなるって感覚も日本人にはないし。

スピルバーグは、やっぱり私たちに同情させようとしたのかしら?
あっさり銃で片付けてしまう警察のやり口や、途中GSを荒らしてゆく様子、
賞金稼ぎみたいな連中等々、重要なシーンがいくつか見える。
ジーンは「刑務所に入って変わったのかもね」と言っている。
入らなかったら、まだスリなどをしていたかも知れないし、
もしかしたら違っていたかも知れない。
とにかくこの映画は実話に基づいているという。
やっぱり変な国だなあ、アメリカって、この世界って


『私がウォシャウスキー』(1991)
出演:キャスリーン・ターナー ほか
なにかを問いただすって感じじゃない完全娯楽版のストレス解消もってこい、ワンダーウーマン映画!
ファンとしては、ターナーのセクシーなシーンももっと観たいけど、
彼女いわく合気道の腕に自信があるゆえに、探偵というよりも野次馬おばさんみたいなノリで
どこでもヅカヅカのりこんでしまうウォシャウスキー。
彼女がラッキーなのは、警部が父の同僚で、恋人が腕利きの記者、
そんでもって暴力団員のボスが、なんとスクール時代のクラスメイトときたもんだから仕事もやりやすいわけ
本当にこんな風に悪党どもをバキバキやっつけてくれる女性(それもセクシーボディの)ばかりになったら、
同性としちゃ頼もしい限りだけど、まだまだ世の中そんなにうまくはいかない。
でも映画なら実現してしまう!そこがきっと狙い目なのね。


『デビル・ドール』(1986)
監督:ローランド・エメリッヒ 出演:ジョシュア・モレル ほか
西ドイツの監督さんだけあって、ちょっと異色。
少女の言う通り“日の出”のように美しい“死の光”。
あれは『ブレインストーム』で究極の映像化がされたが、
なんて荘厳で穏やかな世界だろうと思わず誘い込まれる。
「死という世界は存在しないのだ」という博士のセリフの意味は何なのか!?
この悪霊の目的は最後までわからないが、少年は父とともにいて、
彼の死はそう悲しいものには描かれていない。
ほとんど夜か、暗い屋内の場面なので画面が暗すぎる。
シネマスクリーンだけど、やはり邪悪なものがうごめくのは
日中よりも、何かを隠すには絶好の夜がふさわしいのかも知れない。


『NIGHTMARE~デビルゾーン』(1983)
監督:ジョセフ・サージェント 出演:エミリオ・エステヴェス ほか
chapter one トパンガの恐怖
やっぱタバコの吸いすぎはよくないよ。

chapter two 戦うビショップ
4話のうち一番面白かった。
エステベスは初期作品なのに、もうしっかり俳優している。
『世にも奇妙な物語』のノリで、現代のゲームセンター通いの少年らに見せてあげたい感じ。
のめりこんでゆくエミリオの異常な演技がイイ。

chapter three 祝福
不気味なクルマが生きているみたいに襲う場面は『激突!』にソックリ。

chapter four ネズミの夜
人間も化け物ネズミも子を思う親の気持ちはいっしょ!?


『黄昏のチャイナタウン』(1990)
監督・出演:ジャック・ニコルソン 出演:ハーベイ・カイテル、メグ・ティリーフレデリック・フォレスト ほか
前作『チャイナタウン』もそうだけど、こんなに理解に苦しむ複雑なストーリーと展開の作品も珍しい。
前作がポランスキー監督で、16年も経ってから今度は主演のニコルソン自身が、
まったくその雰囲気を崩さないで完璧に続編をつくっているのには驚いた。
ああ、うまく説明できない。だってストーリーの半分も理解出来なかったんだもの。
ニコルソンが入れ込んだだけあって、人生の渋みの境地みたいな作品なのよね。
あたしも、あと20~30年経って、もう一度この2本を観直したら、
もうちょっと共感できるものが見つかると思う。
なんといってもキャストがイイって、今のところこれしか言えない。
'90年に撮ったとは思えない時代感がスゴイ。


『The Collector』(1985)
終身刑まで覚悟してかかってきては、迷惑どころじゃないよね。
また次の標的を探し始めるってのは、近頃多い異常犯みたいなノリ。
でも、どこか紳士的で芸術的、ロマンティックな異常犯だから憎めない?
でも、人間には誰にでも自由に生きる権利と日照権てものがあるのよ。
何でも揃っていたって、ジメジメした地下室に閉じ込められていたら、
美しい蝶もその美しさを失ってしまうってことに気付いて欲しいなあ。


『ハンナとその姉妹』(1986)
監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー、マイケル・ケイン、ダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーシー ほか
いつもN.Y.をどの街より鮮やかに、繊細に描き出す、人情味あふれるアレンの作品。
『インテリア』でも創作活動にかける3人姉妹が出てくるけれども、
今作にはそれほどストーリーに暗さがなく、完璧でない人間の温かみや
迷いながら探し物をゆっくり一つずつ見つけてゆく人生の面白味みたいなことを伝えてくれている。
この作品でダイアンとケインは、それぞれオスカーをとっている。
それほど目立たない作品だけど、身近な笑いや問題、不安、夢等々を
自然に演じ、自然に撮っているところがいいのかも知れない。


『ウディ・アレンの影と霧』(1992)

 

監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー ほか
白と黒の世界。
でもアレン作品なら現代のモノクロ映画としての意味があってしっかりと楽しめちゃう。
だてに長いことたくさんの映画を撮ってるわけじゃないんだよね。
一作一作に愛着や思いいれがこっちに伝わってくる。

売春宿にいりびたる大学生役にジョン・キューザック、
そこの売春婦にジョディ・フォスター、キャシー・ベイツら、
サーカス団のピエロ役にはジョン・マルコビッチ、
同じ団員のブランコ乗りの美女にマドンナ、
とにかくのっている役者がそれぞれの持ち味を充分に出している。

ラスト近くのマジシャンのセリフ
「みな妥協という灰色の帽子をかぶるんだ」
「みなイリュージョンを必要としているのさ。空気と同じにね」
アレンの今現在のメッセージをのぞかせている。

理屈っぽいアレンと、ボーっとしたファローの絶妙のコンビ、
これからもこの2人の作品を観ていたいけど・・・。
サーカスを扱って、ヒューマンストーリーを語り、
終わった後もなんともいえない余韻が残るあたり、
ちょっとフェリーニ風とも言えるこの一作。


『ラブ・ポジション』(1985)
原作:手塚治虫 監督:井上秀治 
ハレー彗星に託された地球存続の願い。
ターミネーターのようなノリの絶対悪は、エイズか環境破壊か?
ベトコンとの決死の戦闘から逃れ、廃墟に住む森の妖精のような美少女との出逢い、
そして戦争という愚かな行為と緑の破壊を悲しみで訴えるあたり、
ロマンティックであり、悲観的ムードは手塚治虫のスケールの大きいアニメならではの魅力。
しかし地球破壊のために送られたにしては、ラミーナはか弱すぎるのでは?
思わずこの美しい惑星を気に入ってしまった彼女が選んだ住処が
ベトナムのジャングル地帯であったという設定はスゴイ。


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