メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1995.9~ part5)

2013-05-26 14:06:25 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ハート泥棒』(1987)

監督:アーシアン・バーンスタイン 出演:マーティン・ショート、アネット・オトゥール、ポール・レイザー ほか
ソフトなロマンティック・コメディ。いつもビデオ屋の目の前の棚にあって全然気づかなかった主演2人のジャケ。
このショートの写真がなんとも完璧なんだな。この時37歳。
いつもながら一体どんな秘密があるのか、この人って年々若返っているみたい
メジャーになったのが遅咲きの分、これからもっともっと稼いでほしい。
相手のオトゥールは『キャット・ピープル』の人だよね。大人の男女の3度目のデート。
互いに自分を飾って受け入れてもらおうとするが故に嘘をついちゃうってゆう微妙なあやを丁寧に描いている。
軽いポップミュージックが'80代してて作品の温かなラストに似合ってる
あの超ビキニパンツはちょっとキョーレツ

男は男らしくリッチなところを見せたがり、女はそれに感心するフリをする。
女は女らしい可愛さを装って、男はそれにひっかかる。
でも、本当に内面に惹かれたら、他はどーでも虚飾は必要ないんだよね。
ショートは物真似が得意芸で今作にもチラリとある。ピアノは本当に弾いてるの?
すっかりその世界に入っちゃってるから笑える。彼もSNLで長年鍛えられて、
先輩のS.マーティンらと同じイッっちゃってる芸のあるコメディアンだから、
もっとキョーレツな部分の見せ場も欲しかったなあ。


『HANKY PANKY』(1982)
監督:シドニー・ポイティア 出演:ジーン・ワイルダーギルダ・ラドナー ほか
最初から最後まで完璧サスペンスタッチで二転三転して結末が読めずに引きずり込まれる面白さ。
ワイルダーと亡き妻でコメディアン、ラドナーの息の合ったカップルで、
助演には『ヒル・ストリート・ブルース』の主任の男優やら名優ぞろい。
町に、空に、西部の荒地、グランド・キャニオンって、舞台も次々広がって、
軍、政府の国家秘密と絡んでゆくなかなかスケールの大きい作品。

のんびり平凡な男の巻き込まれ型の災難話。
ワイルダーのキレちゃってるギャグは少ないもののサスペンスコメディもgood。
ただワイルダーもラドナーも服のセンスはないみたい '80代前半だからねってこともあるけど。
まさにこれこそ“TRUST NO ONE”って感じ。
スパイごっこをするなら常に尾けられ、情報が漏れてるって用心してないといけないんだね。

(ラドナーのSNLでのギャグ大好きだったなあ


チャップリン作品集Vol.7『独裁者』(1940)
監督・脚本・出演:チャールズ・チャップリン 出演:ジャック・オーキー ほか 解説:淀川長治
今作でやっとチャップリンがキートンら名コメディアンらと一段違って扱われ、
単なるコメディアン以上の偉人として世界に知られ、現代になってもビデオや伝記等が発売され
長く人々に愛されている理由が分かった。

バーレスク+トーク+ドラマ、彼の全力を注いだ125分もの長編。しかもヒットラー統制の世界大戦に合わせて、
これほどストレートに独裁政治をあざけり、平和の大切さを訴えたことに感服。
神は一方に極悪、他方に善を同時に造り出した。この偶然のフシギさ。詳しい解説は淀川さんに任せて。

有名な演説のシーンがあって、これだけ立派にセリフ回しが出来るならトーキーへの心配など皆無だったのに。
他にもハンガリー舞踏曲に合わせて勢いよくヒゲを剃るシーンや、地球儀とのバレイ、
カーテンを魔法のようにスルスルと登ったり、とギャグも多い。
ポーレットが美しく勇敢で平和を愛するという申し分ないヒロインを熱演。
シュルツ役のレジナルド・ガーディナーも個人的にこのG.チャップマン風喋りが気に入ったv
問題の第二次大戦の嵐は過ぎ、国々のバランスは微妙なところで奇跡的にとれているけれど、
1人1人の心の中にチャーリーの言葉が染み渡るのはいつのことだろうか。


BBC製作ドラマ『聖地ノックへの旅』(1991)
出演:ジョン・ハート、デヴィッド・シューリス、マル・ホワイト ほか

「信仰は支えにはなるが万能じゃない」「笑いまで失ったらおしまいだ」
「こんな体になったのは、神のせいでも誰のせいでもない。運が悪かった、それだけだ。生きることを楽しまずにどうする」

現代医学は障害になる子どもを生む前から識別できるまでになり、母親らが生む選択が出来るようになり、
身障者団体から「身障者にも生を得る権利がある」と訴えられているというニュースが頭に浮かんだ。
苦労すると分かっていながら生む、どちらを選んでも苦しい選択には変わりない。
しかし五体満足のほうが身障者より幸せかということは必ずしも分からない。
テリーの皮肉に満ちたユーモアは、不安や恐怖と表裏一体、それでもどこかで折り合いをつけて、
毎日の中に幸せと満足感を得ようとし、他人を助けようとする彼の一言一句が重く感じられる。
J.ハートの久々元気な姿を見れて嬉しい。最近は地元のテレビ出演のほうに忙しいのかな?
人と宗教という微妙な問題についても今作品の重要なテーマとなっている。


『ロビン・フッド 伝説のタイツ男』(1993)

製作・監督:メル・ブルックス 出演:ケリー・エルウェス、リチャード・ルイス ほか
おお、主人公の2人からずーーーっとカメラを引いて気象衛星から見たイングランドみたいなカットの美しいこと
'90を象徴する軽快なラップでの始まりと終わりからギャグのオンパレード。
このMP的荒唐無稽ナンセンスコメディ映画を継承していけるのは、
もはやベテラン、メル・ブルックス唯一人になってしまったのだろうか

細かい芸が無数にある。ブルックスももちろん顔を出している。
情報伝達にはFAXならぬFOX、これが超速いっ!!!
魔法使いが焼いた特製ゲテモノ焼きもスゴイ。全て中世モダン劇とも言えるセットは
リモコンや音センサーに反応するし、『ゴッド・ファーザー』もどきのイタリアンギャングも笑える。
決闘中影絵になるとすかさず手でつくった犬の争いになったり、一瞬たりとも気が抜けないのがブルックスコメディ。


『幸せはパリで』(1969)
監督:スチュワート・ローゼンバーグ 出演:ジャック・レモン、カトリーヌ・ドヌーヴ ほか
レンタル屋で粘って漁った結果見つけたレモン作品。ドヌーヴとの共演なんて
ストーリーは甘ったるい小品だけど、この異色で豪華な顔合わせでラストまで引っ張ってる。
'70代を予感させる妙にサイケデリックなシーンが多いのも特色。
緑と白の水玉模様のカエルのぬいぐるみのプレゼントも可愛い。
当時レモンは44歳、ドヌーヴは27歳かな。若い! でも彼女は40過ぎた今も全然変わってない。
彼女こそ神の創った美しさ。永遠なんだね。黒のミニドレスがバッチリ。
キスシーンはレモンがなんだか緊張気味に見えるのはマジかも? 長いこと俳優業をしているといろんな事があるねぇ。
フシギでサイケでロマンティック、なんともいえない魅力のある作品。
Say a little pray fo you の詩も雰囲気出てる。


『アラスカ珍道中』(1946)
 
監督:ハル・ウォーカー 出演:ビング・クロスビー、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーア ほか
これが噂の「珍道中シリーズ」。7作つくられたうちの今作は最高傑作と言われている4作目。
『笑う映画』、その他でも今作の楽屋落ちギャグの楽しさを取り上げて、
ファンも多く、期待してたけど、それ以上の面白さ!
波に乗ってるユニヴァーサル映画が息の合ったスタートリオを生み出し、ロマンティックな歌、
豊富なギャグ(モノクロなのが惜しい)、特に今シリーズでコメディ演技も花開いたクロスビーは、
R.ミッチェム風に眠たげで、時にすっとぼけ、時に色っぽい瞳で甘い歌声に思わずウットリするのも納得。

最初、解説者が「僕の名はR.ベンチリーだ。誰も気にしないだろうけど・・・」とか、
「今のがフラッシュバックです」とかいちいち上の隅にお邪魔したり、
そうそう、猿の後ろ姿! 何度も振り向いて「ついてくるな、頼むよ」とか、
悪態の音声が消えて「子どもだって観てるんだぞ」とか、船上での素人芸大会では猿の次に
どんな金持ちでも春は皆のもの とクロスビーが歌って賞金は猿に。「次はシナトラを呼んでこよう」!
でもさすがの彼らも突然降ったようにどこからともなく流れる伴奏のことは口にしなかったなw

サンタクロースが「何が欲しい?」「どうせ子どもだましだろう」行ってしまうソリには美女2人。
2人はガラガラ持ってアブアブ。
遠くの雪山を見て「パンだ」「ありゃ山だろ」
周りに星がついてパラマウントのマークになって、「いや、あれが俺にとっちゃ飯の糧さ」
ほとんどポイントは『笑う映画』の中におさめされている。他6作を観る日が楽しみ。
キスシーンで「ここで映画が終わりならいいのにね」なんて観客に話しかけるなんてあまりないもんねw


『私の彼は問題児』(1991)

監督:アート・デ・ジョン 出演:フィービー・ケイツ、キャリー・フィッシャー ほか
離婚した両親、仲が悪いのは娘のせいと思っている母、それを感じて愛されていない淋しさと不満は
架空のイタズラ小僧に投影され悪さを働く、楽しいコメディの裏にはフロイト的心理学が流れている。
深層心理に潜って、父のように甘え、頼りきってた浮気者でどーしよーもない夫と、
命令的な母を直視し、幼い自分と対面して、解放と自我を取り戻すというラストはまさに
誰かの心理療法の体験談の典型。女ってつくづくやっかいだなって思っちゃった。
人生80年、90年時代。その人の基本的性格しいては人生を決めるのは「3歳までの育て方による」という。
考えれば空恐ろしい。後々、彼女みたく感動的に軌道修正ができればいいんだけど、
「自信を持って、自分を信じること」でも、みんな実は寂しい生き物なんだ、人間て。

子どもは、大人が忘れた“想像する力”を持っている。それを信じてあげて、愛で包んであげるのが一番みたい。
イギリス訛りで、緑の服に黄色い髪のフレッドのキレようは、今大人気のJ.キャリーに通じるものがある。
泥パイや泥棒ごっこ「忘れ物だよ」といって鼻くそをつけたり、海賊ごっこで船を沈めたり、
大人にはキツイ冗談でも、際限ない子どものイタズラには胸がすく思い!


『恋人よ帰れ!わが胸に』(1966)

製作・監督・脚本:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー ほか
B.ワイルダー+J.レモンコンビ第3弾目。解説通りワイルダーは「映画を面白くするコツを知り抜いた職人監督」。
数々の監督賞等をとり、今も人々に愛されている理由がよく分かる。
予期せぬハプニングにいやおうなしひきずられる小市民がレモンの得意技とすれば、
共演のマッソーは確信犯的ズル賢さが特徴。この2人、後々も縁深いワケだけど、まさに名コンビ。
マッソーは今作で助演オスカーを獲得。フットボール選手のR.リッチもいい味出してる。
細かいセクションに分けて、どんどん話に引き込んでいく面白さはさすが。
マッソーの悪い天才ぷりと渋いアップが印象的。テクニカラーじゃないのが残念。
邦題は妻が帰ってくるところからとっててロマンスを感じさせるけど、原題は中国のおみくじクッキー。
「一部の人を一時騙せても、大勢をずっと騙すことは出来ない」(リンカーン


『晩秋』(1989)

製作:S.スピルバーグ ほか 製作・監督・脚本:ゲイリー・デビッド・ゴールドバーグ
出演:ジャック・レモン、テッド・ダンソン、オリンピア・デュカキス ほか
久々泣けた感動作。スピルバーグ作品には、必ず笑いと涙、家族の温かさが感じられる。
高齢化社会問題を数々とり上げ、がん、介護、認知症、死を見つめなおし、精一杯生きることを学ぶ。
どこかに起きている、言ってみれば自分と家族にも似た、またそれぞれのドラマがあるんだと気づかされる。

父の空想の農場から物語りが始まる。古きよきアメリカを象徴する、のどかで温かいこれらのシーンがなんとも幻想的で美しい。
レモンの78歳演技も見事。特殊メイクと知らなければ信じてしまうところ。
奥深く重みのあるセリフ、エピソードがたっぷり。

「家族じゃないか、忘れて、愛し合おう」温室で和解する母と父のダンスシーンはキレイ。
「ずっと間違ってたの?」「途中でスレ違っただけだよ」
「'47、ジョー・ディマジオがホームランをとられて土を蹴った。彼も人間なんだ。アメリカならやろうと思えば何でもできる」

世の中は急速に変わり、親と子にはいつも価値観の違いがあるけど、心底はいつも抱き合える愛情が流れている。
「お前を子どもの頃、もっと抱いて、キスしてあげればよかったよ」
野球をずっと嫌っていたけど、テレビの話にキャッチボールって、とっても大切な父と息子のコミュニケーション手段なんだな。
「子どものしつけは間違ってなかったようだ」

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notes and movies(1995.9~ part6)

2013-05-26 14:06:24 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part5からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ちょっとご主人貸して』(1964)

製作・監督:デビッド・スイフト 出演:ジャック・レモンロミー・シュナイダー ほか
図書館やビデオ屋に行くたびレモン作品に出逢えるなんて、わたしはすごい果報者v
それにしても主演作がこんなにたくさん、それもハイペースであるなんて、偉大な俳優なんだな。全リストが必須!
なんだか変な夫婦。サムの造ったヘンテコな芸術作品はジャック・タチの世界。
敬礼する兵隊にヌッと出てくる手、全部廃品らしいんだけど。
それからレモン独特のチャチャチャシーン。といっても彼のダンスはどれも型なんかない。すっかりイっちゃってるやつなんだけど。
同じコメディでもテクニカラーがいいね、やっぱり。
どこまでも協調して笑ってついてくる上司の集団は気色悪いけど笑えるw
観直して分かった。看板の写真はOKだけど「ベネット夫婦」とは会社側についた嘘だもんね、納得。慌てるわけだ。
S.マクレーンに、C.ドヌーヴ、R.シュナイダーなんて、一流美人女優との次々の共演、レモンも果報者だね


『AVANTI!』(1973)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ジュリエット・ミルズ ほか
ビリー・ワイルダー×ジャック・レモンコンビで再び組んだ今作はイタリアが舞台。
パスタにワイン、美しい風景に音楽、そして美人とのロマンスを賛美してやまない、
1時~4時までたっぷりのんびり昼食の時間をとって人生楽しまなきゃ損!
そんなゆったりリッチな気分にさせてくれる。
もっとも、ウェンデル家のように際限ない資金がバックにあればこそ、
一流ホテルで支配人の親切なケアとサービスが受けられるワケだけど。

「イタリアは感動の国」マフィアその他の問題はあれど、その国それぞれに美しい面と汚い面があるってことだね。
普段は地に足つけて一生懸命働いて、1~2週間、異国ですべて忘れて楽しむ旅、休暇っていいものだなあ!
ウェンデル家を2代に渡って細かく面倒をみてくれる支配人は、大変だけどイイ人。
「冬になったら休みます」ってセリフがイイ。
レモンのオールヌード(黒い靴下は履いてるけど)にはビックリ
タイトルの“アヴァンティ”は、ボーイなどがノックした時に「どうぞ入って」という意味。
歌のようなイタリア語とエネルギーに満ちたイタリア人の生活を満喫できる1本。


『おかしな二人』(1965)

原作・脚本:ニール・サイモン 監督:ジーン・サックス
出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー ほか
新しいレンタル屋の豊富な品揃えの中からジャック・レモンシリーズもたくさん見つけたv
第1弾は、ニール・サイモン、ウォルター・マッソーと組んだ今作。
世間のアカにたっぷり染まった様なマッソーと、生真面目な平均(たいらひとし)風レモンのキャラが十二分に発揮されて、
息はピッタシ(実際はどーなんだろ?w)、ありそーなお茶の間コメディがお得意のサイモンストーリーは、
おかしなコンビながら男の友情も悪くない。

よくもまあ、こんなくたびれたサラリーマン風の俳優ばっかり集めたもんだなってゆうポーカー仲間は、
日本でゆったら、煙もうもう、ビールにおつまみ、徹夜の雀荘みたいなもんなんだね。
何事もやり過ぎるのは自分にも周りにも良くないことだけど、
こうゆう一人不幸人間フィルの気持ちも分からんでもないところがある。
オスカーもなかなか友人思いの話の分かるイイ奴で、なんとか友の自己嫌悪グセを直そうとしているのがイイ。
怒りを心底にためたり、むやみにコントロールしようと思わないで、自然に任せてはけ口を見つけるのも大事よね。
ま、自然に任せすぎグリーン・サンドや壁にねっとりソースはいただけないけど


『新・おかしな二人』(1981)

監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー、クラウス・キンスキー ほか
すっかり見慣れたこのコンビ。役所としては『恋人よ帰れ!わが胸に』に似てる。
'80代ながら'70の空気が時々流れているのが面白い。
妊婦の旦那の“cool”“heavy”“grass”なんていう喋り方や、
セクシャルクリニックにインド系の音楽、精神力を高める怪しい病院と、それ以上に怪しい院長のC.キンスキー
レモンの胃痛持ちで吐いたり、いかにも痛々しさが伝わりすぎて痛ましい
ドスの効いた棒読みとも言えなくもない台詞回し、意外に大柄なのに脚はルパンみたいに細い、
トレードマークのブルドーザーみたいな顔にも慣れたマッソーの味わい方も少し分かってきた感じw


『チャイナ・シンドローム』(1978)

製作・出演:マイケル・ダグラス 出演:ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン ほか
二世俳優M.ダグラスを筆頭に、J.フォンダ、J.レモンというビッグスターが組んで放ったハードな社会派ドラマ。
F.ダナウェイ主演の『ネットワーク』では、ふくれあがったテレビ、マスコミ、プレス産業を皮肉っていたけど、
今作ではプレスが本来の使命を果して更に重大な核、原子力、放射能漏れの危機を追う、
迫力とスピード、サスペンス、アクションに満ちた力作。
タイトルは、水圧の異常で爆発が起これば裏側の中国にまで被害が出て、
州ひとつ吹き飛ぶばかりか、汚染による死傷者が大勢出るという怖い現象のこと。

「大衆はいつでもどこでも殺されかねないということ?」
「原子力の装置は部品1つ1つが何度もテストされ、あらゆる事故を想定し、すべてシステムで防衛されるようになっている」

電気がなければ生活できないほど私たちは電力に頼っている反面、
日々、放射能汚染の危険や不安も抱えている。
この微妙な問題は万全な安全対策技術の向上と、一人一人のモラルにかかっているとも言える。


『JM』(1995)(劇場にて
監督:ロバート・ロンゴ 出演:キアヌ・リーブス、ビートたけし ほか
観た後は頭が機械みたく固まっちゃいそうなくらいCGを多用した近未来映画。
とっても退廃的だけど、今のところ最も現実化しそうなイメージに思える。
やっぱり大画面で観ると迫力が違うね!

機械文明の電波によって引き起こされる絶望的な神経障害の治療法情報を巡っての争いが描かれるが、
SF作家の飛びぬけた千里眼的発想に驚くとともに、エイズやがんが解明されようと、
常にそれを越える予想もつかない新しい現代病が現れる恐怖を感じる。
結局、神が創った奇跡、自然の脳細胞を越える頭脳はないって結論。
イルカが出てきたのにはビックリだが納得してしまう。ヤク漬けなのが不気味

一人娘を現代病によって亡くしたという、冷酷さの裏に情が流れるたけしの役柄はイイ。
CDにインターネット、TV電話に仮想現実、CG、目の回るような美しい映像は金かかってそう!
メタル、レーザーの光の後は、野原や青い空が見たくなってくる。


『ぼくの伯父さんの休暇』(1952)

監督・出演:ジャック・タチ ほか
大好きだなあ、このユロ叔父さんのキャラクターと、J.タチのほのぼのスケッチ風なコメディの世界
フランスの日常生活から生まれる自然な可笑しさがいっぱい!
今作は、夏休みのヴァカンスを海辺で過ごす人々の話
鉄琴のやわらかな響き、軽快なジャズが対照的にうまく使われている
こんな休暇を過ごせるユロ氏の職業、身分が気になるけど、そんなことは関係なし。

なんだかんだ迷惑なユロ氏に皆冷たいけど、挨拶してくれる老夫婦もいて、
ユロ氏も最後に海岸をあとにする、なんだか寂しいラスト。
あのグルーチョにも負けない斜め歩きや、礼儀正しさ(礼のしすぎ)が特徴。
こんな人がいたら楽しいよなあ。この叔父さんシリーズは2作だけか。もっと他の作品も観たい!

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notes and movies(1995.9~ part7)

2013-05-26 14:06:23 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part6からのつづきで、ピンク色のノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『マスク』(1994)
監督:チャールズ・ラッセル 出演:ジム・キャリー、キャメロン・ディアス ほか
向かうところ怖いものなしの人気スター、J.キャリーの主演による待ってましたのメガヒット作。
彼のキャラがこれほど活きる映画はないだろう。
平凡なダメ男が、あるキッカケでなんでもありのヒーローに変身して悪を倒し、正義を守り、ブロンド美人をゲット。
数々のハリウッドスーパーヒーローの面々に決して引けをとらないのがこのマスク!
古代、悪事をしたヒトが仮面に封じ込められて、それをつけると、心の奥に潜む願望がもろにパワーアップして出てしまうという。
マスク自体に意思が働いて、巡り巡って海の底からやってきたのはスタンリーのもと。

マイロが愛らしい第2のヒーロー。短いシッポをプリプリ振って、フリスビーキャッチの名犬、
飼い主の言うことを100%理解し、必要な時は助っ人に駆けつける。こんな犬が私も欲しい
それからやっぱり迫力なのは合成技術効果がとにかく楽しい。ポケットからハーポみたくいろんな物、
バズーカ砲まで出てきたり・・・それを超えるJ.キャリーのオーヴァーアクション
飛んでくる弾をよけながらエルビスの真似、サンバを踊ったり、めまぐるしく変身したりと独壇場。
誰か止めて!ってゆっても誰も止められない波に乗っちゃってるコメディアン。
新作も次から次へと目白押し。いつのまにやら出現したこのスーパースターのぶっ飛びワールドに注目。


『サブウェイ』(1984)

監督:リュック・ベッソン 音楽:エリック・セラ(good!
出演:クリストファー・ランバート、イザベル・アジャーニ、ジャン・ユーグ・アングラード ほか

To be is to do(ソクラテス)、To do is to be(サルトル)、Do be do be do(シナトラ)

これが噂のベッソンの幻の名作。SFコーナーにあったから気づかなかった。
非現実的な遊離感はあるけど、別に近未来ものという設定はない。
でも、この錚々たるメンツは凄い。タイトル通り、舞台は地下鉄。
昼間の顔しか知らない一般乗客にとっては思いも寄らない世界。
ここでこんなに立派に?!刺激的に暮らせるのかって魔法の住処。
警察やらの追っ手を交わすチンピラたちの素早さと、すっかり知り尽くしても、まだ秘密を隠す余裕がある地下鉄という空間。
鉄道員さえも知らない、そんな意外な魅力を観て得した気分。

それにしてもジャン・レノがあんなにヘヴィなドラマー役とは! さては彼とベッソンにはロックのビートが流れているのかも。
“6歳の時の交通事故で6時間の手術、6ヶ月の入院、6年間は喋れなかった。6という数字が鍵なんだ”という
変わった経歴で実体不明なフレッド役に、金髪のボサボサスタイルにタキシードで決めて飄々としたキャラのランバートはピッタリ。
ストリートキッズそのもののローラーのアングラードは若くて、繊細さはそのまま。
「昨晩はずっと花火を見てたわ。ステキだった」若くてハッとする美しさのアジャーニとのダンスシーンはどこか荘厳でイイ。
テレビは退屈 若者の精気を吸い取っちまう と歌われるテーマソングはとてもgood


『ハイ・ストラング』(1991)
監督:ロジャー・ニガード 出演:ジム・キャリー ほか
不満たれてばっかりで何も行動を起こさない男が“死んだほうがマシだ”って口ぐせで
1万8000回言ったばかりに死神がリムジンで迎えに来る。
J.キャリーがこんなに突然トップスターにならなければ間違いなくお蔵入りしていたと思われる低予算作品。
それもCGのビックリもないから死神役のジムの恐がらせる顔がデフォルメされて飛び出す仕掛けもなく、
ただ耳が額にはりつくって芸だけなのが寂しい。
あとは延々と続く胃が痛くなるような平凡な児童書作家の不平不満だけ。
それがいちいいち的を得た現実でよくあるストレスだからなお身に詰まされる


『MAX HEADROOM』

原作:ジョージ・ストーン、リッキー・モートン、A.ジャンクル
製作:ピーター・ワッジ 監督:リッキー・モートン、アナベル・ジャンクル
突然SFに目覚めて掘り出してきた今作。どうやらこのストーリーは人気シリーズ化して、これはそのPIROT版らしい。
それもそのはず、この近未来ストーリーは面白い。シリーズがレンタルショップにないのが残念。
続きが見たいいいところで終わっちゃうんだもの。

人や物をスキャンして、テレビ画面や空間に立体再生して、それを動かすこともできる。
SF的だけど、これはもう現実の話。でもそれが独自の頭脳とウィットを持っていて、勝手に喋り、
日々成長していくってところが近未来の話。
サブリミナルや人体自然発火等の『Xファイル』ファンには美味しい題材が満載。

アイデアもスゴイし、話の展開もリアルでスピーディ。引きこまれてしまう面白さ。
コンピュータと電気装置、防犯カメラが全部アクセスできて、それらを駆使した追跡シーンもドキドキハラハラものだし、
大企業と取引して自分で殺し屋まで雇っちゃう10代のコンピュータオタクってのも絶対いそう!
「人間の脳だって電極のオフとオンで作動してるコンピュータと同じなんだ」って言い切っちゃうのもすごい。
まさに電気回線で全世界が結ばれて制御されてるインターネット時代の先取り
でもそこでもハイクラスとロウクラスの差があって、廃墟にホームレスがいる光景があるのが心配。
互いの需要と供給のバランスがとれているにせよ、“ナイチンゲール死体銀行”におさめられているパーツは一体何に使うのかしら???


『VIVA LA VIE(命、万歳!)』(1984)
 
監督:クロード・ルルーシュ 出演:シャーロット・ランプリング、ミシェル・ピコリ ほか
さすがルルーシュ監督。アブダクトもののSFでもフランス監督の手にかかればこの通り。
群像劇が得意と見えて、様々な登場人物と関係が複雑な上、ストーリー構成に二重、三重があって、
油断してると、まさにトワイライトゾーンにはまってしまいそうな高密度な作品。

「他に話さないで下さい。未来の観客に先入観を持って欲しくない」ってインタビューから始まる。

そこかしこに重要なメッセージが隠されている。
宇宙人を利用して、全世界を嘘で操る国家政府、プールをシェルターに改造するという核戦争への不安と恐怖、
それでも生命万歳と歌われるテーマソングの母音のハーモニーは耳に残る美しいメロディ
俳優がいかに見事に嘘をつくかという演技力もかなり実証されたし、
コーヒーショップで教え子に「結婚してください」と言われ、シャンペンを頼む演技講師、
乗馬をさせてくれといって出会う2人といった出会いも新鮮に美しく描かれる。


『インナー・スペース』(1987)

提供:スティーブン・スピルバーグ 監督:ジョー・ダンテ
出演:デニス・クウェイド、メグ・ライアン、マーティン・ショート ほか
サム・クックのキューピッド や、Twistin' the night away に乗せて、
ホットなスター3人の息がピッタリで『ミクロの決死圏』のポップヴァージョン!
楽しく体内の不思議が学べるオマケ付き。

ラストに歌うのはR.スチュアート。彼もD.クエイドもロック野郎なんだね。
M.ショートファンとしては彼のキレ演技が充分発揮された今作は嬉しい限り
1人でアレに話しかけたり「悪霊がとりついた!」ってのも笑える
視神経や耳と接続して本人と話せるってアイデアがポイント。
手が銃やらいろいろに接続して使える殺し屋ほか、脇役もクセのある役者ばかりでギャグ満載。
で、なぜか翻訳の戸田奈っちゃん+アドバイザーとしてたけしさんと高田文夫さんが協力って、
一体どこに協力したのか???w


『ホーンテッド・ハウス』(1991)

監督:ロバート・マンデル 出演:サリー・カークランド ほか
このノートを締めくくるのは、久々背筋の寒くなる実話に基づいたサイコホラー。
同タイトルのベストセラーと取材記者らのインタビューに基づいて作られた信じ難いけどまったく『エクソシスト』の世界。
私が思うに悪さをする霊にも信仰があるわけで、悪魔や神を信じているからこそ悪魔祓いの儀式や祈りが効くんじゃない?
それか善の心のエネルギーなのか?これも電磁波と関係あるかも。
それにしてもこの家の霊になった人ってよっぽど悪い奴だったか、酷い死に方をして、
誰でも生贄にしようとまで呪っちゃってるかだね
ここまで酷い人になりきれるものかなあ、人間って。
死んだ人も、生きた人を脅かし得るなら、落ち着いていられない。
生きている人間だけでもトラブルが絶えないってのに!こんなの観たら夜が怖い。



【読書感想メモ】
「THE X FILES WHIRLWIND~旋風(つむじかぜ)」Charles Grant
「HAPWORTH 16,1924」Jerome D. Salinger


【歌詞をメモした曲】
♪Passion Play/Janis Ian

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