教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

鬱との闘争

2005年07月04日 21時48分19秒 | Weblog
私の鬱とつきあう方法。

1、自分の鬱状態をあるがままに受け入れること。
 私の鬱の原因の一つ目は、消極的思考が伴った対人関係の不安から来る。仕事の失敗後によく鬱状態になるが、これは仕事そのものの先行きよりも、「この失敗で、あの人は私に失望しているだろう」と思ってしまうことから来る。この思考のクセは、私の生い立ちに一つの原因がある。私の育ってきた家庭環境は多少困難があり、私は、まず人の顔色を見て動く人間に育った。これは今さらなかったことにはできないことであり、認めざるを得ない。
 しかし、以上のような達観に至るのは、私にはかなり難しかった。そもそも自分にとっての鬱状態とは望ましくない状態だったからだ。鬱状態であることを嫌い、さらに鬱状態をひどくする。悪循環であることを理解すると、悪循環にしてしまう自分を嫌い、さらに鬱状態をひどくする。次第に、何が何だかわからなくなる。この悪循環が、鬱をひどくするのである。この状態から抜け出すには、鬱になる原因から一度距離を置くしかない。

2、他人に話すこと。
 鬱の原因から距離を置く方法には、他人に話すことが非常に効果的である。距離を置くということは、原因を客観視し、相対化することが可能な状態にすることでもある。話をするとき、話すことのすべてを最初からわかって話をすることが出来る人はまれであると思う。たいていは話しながら話すことを考えるし、相手との対話において思いがけない答えを得ることがある(相手から言われるにしろ、自分で気づくにしろ)。自分が今つらい状態にあることを告白し、対話の中で自分が置かれた状況を認識するのである。
 私は、長い間、人を頼るということを拒んできた。自分のことを処理できるのは自分しかいないわけだし、そもそも相手に迷惑をかけたくないからである。しかしこの際注意しないといけないことは、逆に私が人を頼ることを拒むが故に、相手に様々な迷惑をかけているのだとしたら本末転倒である、と理解する必要がある。私が一番つらかった時、兄がかけてくれた言葉、「もういいから、家に帰ってこい」。この言葉が、私の人生を変えた。私のことを気に掛けてくれている人がいる、私の悩みを聴いてくれる人がいる、ということに気づくこと。これがこの境地に達する鍵ではないか。

3、鬱に関することについて考えることをやめ、ゆっくり休むこと。
 鬱の治療法として最も穏当な治療法は、ゆっくり休むことであろう。鬱の治療法には、何もない真っ白な部屋に入り、ひたすら二・三週間寝るという治療法があるらしい。私の体験では、よほど状態がひどくないと、二・三週間も必要はない。私は一番ひどかった時にこの方法を知り、「寝る」以外の行動を取るのをやめて、三日ほど昼夜寝ていると不思議と体が軽くなった。入院の必要のない軽い鬱ならこの程度でよいようだ。ひどくならないうちなら、もっと期間は短くなる。最近では1日も寝る必要はなくなった。鬱の原因から完全に距離を取れるのであれば寝ている必要はないが、寝ていれば何かをするはずもない。
 しかし、これは意外に難しい。たいてい鬱の原因は差し迫った用事であり、絶え間なく対処する必要がある。だからこそ、すぐ治る、ひどくなる前に早めに対処する必要があるのである。鬱状態でやってもそれは中途半端に終わり、中途半端にやると鬱状態がひどくなる。この悪循環から抜け出すには、「休む勇気」、これを持つのが重要である。ここでいう休むこととは、「現実から逃げること」とは少し違う。鬱の原因に対処するために、その準備をするという意味で「休む」のである。もちろんそのまま休んでばかりいるのは問題だが、「やらなくてはいけない」という気持ちがあれば、休んでいる内に自然と「あ、これならやれる」と気づく瞬間があるはず。
 ともかく、休むことが重要なのだが、ここで言いたいことの中では、「鬱に関することを考えることをやめること」が実は一番重要である。鬱について考えることは基本的にストレスであり、鬱の原因になる。それでは休むことにはならない。体調が整ってから考えればいいのであり、そもそも消えてなくなっているかもしれないのだ。

 この記事を仕上げるのに、書き直し書き直し、一時間半かかった。そのわりに、あまりうまく言えていない。しかし、とりあえず今日のところはこれまで。今、鬱で苦しんでいる人に、少しでも参考になれば幸いである。
 ちなみに、今私は調子がよくなっている。心の余裕があるからこんなことが言える。土日しっかり休んだからね。
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