教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

遠隔授業、時事問題(特に9月入学・始業問題について)

2020年04月28日 21時57分23秒 | 教育研究メモ
 忙しすぎて、あっという間に1日が過ぎ去る毎日を送っております。家族のこともある上に、この状況下での教務委員長と1年チューターはきついです。あと、問い合わせのメールが多すぎて時間が溶ける…

 他大学と同様、本学も非対面授業の本格実施を進め、1週間と半分が過ぎました。非対面授業・遠隔授業はなるべくしたくないと思う教員が多いので(私もそうだった)、学内をまとめるのはとても大変でした。たくさんの関係者に助けられて何とか前に進んでいますが、いろんなことをやって本当に疲れました。いや、まだ終わっていないので、これからも疲れるのだろうなと思います。授業料減免がちまたでは問題になっていますが、減免を要求されない程度の頑張りを心掛けているつもりです。今までも学生には勉強させるように仕掛けてきましたが、非対面授業では今まで以上に勉強させないと授業そのものが成立しないので、学生の学修時間は実質的に増えているような印象があります。学生は比較的順応してくれたかな。新入生も、自分ところの学科の学生たちにはいろいろ事前に工夫しましたので、いろいろつまずきながらも前に進んでくれているように思います。
 本学の遠隔会議システムはMS Teamsを使っていますが、170人を超える受講者相手でも問題なく動いています。なかなか全員そろいませんので開始時間ちょうどには始められませんが、講義やゼミをする分にはまったく支障はありません。実習・実技はかなり難しいですが… また、非常勤先はオンデマンド方式でやっています。取り組む前はオンデマンドの方がいいと思いましたが、「後でもいいや」と思われてしまうのか、受講状況にやや不安があります。また、動画を用意することが、思った以上に大変なので、やるのは今だけかな、と思っています。
 非対面授業・遠隔授業には、いろいろ課題はありますが、その可能性は十分体感できています。これから教育の世界は間違いなく変わりますね。会議や研究会の大半は非対面・遠隔でまったく問題ないと思います。社会の動きの方は不透明。高等教育への投資がしぼんでしまわないことを祈ります。

 無視できない時事問題も乱立していますね。学生の学費支払い能力の低下をめぐる問題については重い問題です。財政規模の小さい大学では、大学と学生、共倒れにならないようにしなければなりません。それが一番難しいです… 少なくとも、このたび始めた国の授業料減免制度が撤回や縮減にならないことだけは願いたい。あと、収入減の学生に緊急対応の奨学金の門戸が今以上に開かれるといいのですが…
 9月入学・始業への移行については、学校だけではどうにもならないことです。主唱者の皆さんは訴えるところを間違えないようにしていただきたいですね。また、新型コロナ対策と「世界標準」問題をごっちゃにしないことがとても大事だと思います。「今だ」と思うのは個人の自由ですが、もし新型コロナ対策が9月以降にも伸びたときには、理屈が通らなくなります。先のことは誰もわからないわけですから、本旨とずれた議論になっていないか慎重に検討したほうがいいのではないかと思います。また、9月入学・始業ありきの議論は、もしそうすると来年度4月に卒業生がいなくなることを忘れてはいけません。来年度の4月から8月まで、看護師や介護士、保育士など、社会に必要な人材が大幅に不足することになるのです。教員も、昨今退職者が増えており、人手が足りない状況ですから、4月に新卒者がいなくなるのと、まずいことになるのは目に見えています。9月入学・始業は、特例としてであればわかるのですが、今後恒常的に移行するような議論の傾向は疑問をおぼえます。
 じゃあどうすればいいのか。指導要領運用の特例的な弾力化やそのための研修、教育課程にあれもこれも盛り込もうとする政治の動きの自重、学校のWi-Fi環境整備を急ぐこと、非対面授業の徹底・研修など、地道に進めていくことが大事なのではないかと私は思いますが、どうでしょうか。見通しが甘いかな。
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波乱の中での新年度の幕開け

2020年04月01日 23時55分00秒 | Weblog
 感染症対策の打合せ等のため、3月の日中はほとんど時間がなくなってしまいました。行事もなくなったり、縮小になったりして予定が空白になったところもありましたが、その一方で、それらの判断や代替措置、今後の見通しなどの打合せなどによって、研究や授業準備に使おうと思っていた時間がゴリゴリ削られていく日々を送っておりました。
 そんなこんなで、本日より2020年度が始まりました。感染症対策関係はまだまだ続きます。休校措置や行事中止・延期が連日決まっていく中で、学校関係者の中には「暇だ」という(と思っている)人もいるようです。本当に暇なのであれば、この際、教材研究や教育研究などにじっくり取り組んでほしいです。学校の教員なら単元の一つ、授業の一回でも、胸を張ってできるものを作って(増やして)みてはどうでしょうか。無駄に過ごさないようにしたいものです。

 入学式中止を決めた大学は増えてきました。うちの入学式も中止になりましたが、代わりに、どうやって新入生を迎え入れ、大学生になる過程の支援をしていくか、関係者で頭と心を絞っています。どうなるにしても、新入生の皆さんに会えることを、教職員みな心待ちにしています。
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