獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

私が愛したクルマたち(6) 日産・ブルーバード(910)

2011年05月15日 | カタログ倉庫

 
 私が中学生だった’80年代初頭。車のメーカーではとりわけ日産が好きであった。
 当時のセダンでダントツにカッコよく見えたのが、ブルーバード910である。

 
 CMキャラクターは、当時スーパースターだった、ジュリーこと沢田研二氏
 マイチェン後に追加された「4ドアハードトップ」が、これまたカッコよかった。

 
 ボディタイプは多彩である。カタログで最初に紹介されているのは、4ドアハードトップ。当時の日産車のハードトップは、センターピラーの無い、正真正銘のハードトップだった。
 トヨタが「4ドア・ピラードハードトップ」という紛い物のハードトップをリリースしていたこともあり、「やっぱ本物のハードトップを作る日産は、さすがだなぁ!」などと、当時の私は考えていたものだ。
 あの頃は、ボディ剛性とか衝突安全だとかが今ほど重要視されていない、おおらかな時代だったのである。

 
 続いて、4ドアセダン。ウエストラインの低い、ボクシ―でクリーンなラインが素晴らしい。

 
 さらに、シャープな2ドアハードトップ。若者が乗っても決しておかしくない、若々しいイメージを持っていた。

 
 インパネも直線基調で、整然と並んだ6連メーターが魅力的に見えた。SSS系には赤いストライプが施されており、そこはかとなくスポーティ。

 
 センターピラーレスの室内からの眺めは、解放感に溢れていると思われる。

 
 
 エンジンは多彩である。当時新しくリリースされた「CA型」を中心に、1600・1800・2000のNA、1800ターボ、2000ディーゼル、2000ターボディーゼルと、6本ものラインナップ!
 燃費も、現代の水準には達していないものの、「ターボディーゼル」はなかなか燃費良好だったと思料される。
 なお、このカタログの燃費値は「10モード」と「60km/定地走行」によるものなので、現代のクルマの「10・15モード」とは単純には比較出来ないことを、申し添えておきましょう。

 
 「ZEROスクラブサスペンション」「ラック&ピニオン式ステアリング」等、走りにこだわった記述が満載なのが、「技術の日産」らしくて、実に素晴らしい。4速オートマチックも、この当時は斬新だったのだ。
 足回りは、SSS系にはいわゆる「4輪独立懸架」が奢られている。

      
 ’80年代前半の流行アイテムである「デジタルメーター」や「ドライブコンピューター」が、来たるべき新しい時代を予感させてくれた。

     
 カラードでない「大型ウレタンバンパー」も、なにか時代を感じさせる。
 だが、パンパーというものの本来的な役割を考えると、バンパーやサイドガードモールは、このように塗装をしない方が、むしろ正しい姿であるように思える。いつからなんだろう、「カラードバンパー」がハバを利かせるようになったのは・・・

     
 熱線リヤウインドウには、「オートカットタイマー付」をいち早く用意していた。これは実用上大変便利な装備であり、日産の良心を感じるアイテムだ。

     
 現代ではパワステ無しのクルマを探すほうが難しいが、この当時パワステは「豪華装備仕様グレード」にしか装着されていなかった。「パワーウインドウ」や「集中ドアロック」も然りである。

    
 イラストによる懇切丁寧な各部の解説に、生真面目な日産らしさを感じる。

 
 いろいろと可動部分の多いシートも、当時の流行であった。
 また、「マルチ・ボイス・ワーニング」が面白い。なんと「レコード式による女性の声」が、ライト消し忘れやパーキングブレーキの戻し忘れ等を「やさしく警告してくれる」とのこと!ああ、私も、一度警告されてみたい・・・

 
 オーディオも当時としては最先端。なんてったって「ドルビー付メタル対応式」なのだから!今どきの若者には、なんのこっちゃかさっぱり分からないことであろう。
 しかも、なんと録音用のマイク付!いったい何を録音するのかは、謎に包まれているが・・・

 
 このクルマの美点として、全方位にわたって視界良好だったことが挙げられるだろう。
 これは実は非常に大事なことで、まず事故を起こさないという「アクティヴ・セイフティー」に大きく貢献する。
 だがしかし現代のクルマには、この「良好な視界」という点において、あまり考慮されていないものも時たま見受けられる。


 いやまあ、それにしてものワイドバリエーションである。この辺に、現代ほどコスト管理が厳しくなかった、おおらかな時代背景が感じられる。


 さてここからは、個別のグレードについて、検証していきたいと思う。
 
 まずは4ドアハードトップ。「1800 SSS-E」と「TURBO SSS」は、装備的に言えば中間グレードである。
 紺とグレーのツートーンのボディカラーは、率直に言って、あまり成功しているとは思えないが・・・

 
 「2000 SSS-X」「TURBO SSS-X」は豪華装備グレード。
 「パワステ」「パワーウインドウ」「集中ドアロック」といった、当時の「三種の神器」が追加される。

  
 「2000 SSS-X・Gtype」「TURBO SSS-X・Gtype」には、さらに「デジタルメーター」「ドライブコンピュータ」が追加され、例の「録音機能付き8スピーカーシステム高級カーコンポ」も搭載!
 ・・・正直言って、この「Gtype専用装備」には、あまりココロ魅かれないですな。


 4ドアハードトップSSS-Xのスリーサイズは、全長4510mm×全幅1655mm×全高1370mmである。


 
 続いて、4ドアセダン。標準的なグレードの「1600 GL」。
 格子型メッキのフロントグリルが、ややオジンくさい。

 
 廉価版の「1600 CT」及び「1600 DX」。
 タクシー等でもおなじみのグレードである。アカツキ交通も、昔はこのクルマだったハズ・・・

 
 「1800 GF」「DIESEL2000 GF」「2000 GF」はラグジュアリー仕様。
 当時の日産がセドリック等にも採用していた「ルーズクッション風シート」が、なんとも切なさを感じさせる。

 
 そして「1800 SSS-E」と「TURBO SSS」。
 私が買うとすれば、シンプルでスポーティな味わいのある「1800 SSS-E」にするだろう。910ブルーバードのセダンには、青よりも赤が良く似合うのだ。


 セダン2000GFのスリーサイズは、全長4395mm×全幅1655mm×全高1385mm。全高は4ドアハードトップよりも15mm高い。
 ちなみに、現行ブルーバードシルフィのそれは、4610mm×1695mm×全高1510mmである。昔のクルマは小さかった・・・


 
 そしてスポーティーグレードの2ドアハードトップ「TURBO SSS-S」。
 本革巻のステアリングが装着され、ミシュランの185/70R14のシューズを履く。

 
 全長4510mm×全幅1655mm×全高1370mmのスリーサイズは、4ドアハードトップのそれと同一である。


 
 そして忘れちゃいけないのが、「AD WAGON」。
 「1800 GS」の装備内容は、おおよそ「1800 SSS」に準じており、インパネには赤いストライプが入る。
 かつての日産は、結構ワゴンボディに力を入れていた。ボディ横のウッドパネルは、「サニー・カリフォルニア」以来の伝統である。


 全長4445mm×全幅1655mm×全高1410mm。セダンよりもリヤのオーバーハングを50mm延ばしているのが、デザイン上のポイントだ。


 
 かつてのブルーバードのワイドバリエーションは、ダテではなかったと思う。SSSシリーズで若者のハートを掴み、GLやGFでオジンを囲い込む。素晴らしいセダンだった、最後のFRブルーバードである910。
 私があと10年早く生まれていたら、910を選んでいた可能性が高い。多分、レオーネには、行かなかったと思う。一度SSSシリーズを、運転してみたかった・・・


コメント (121)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 遅い春、到来。 | トップ | チャリンコでグランドツーリング »

121 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブルーバードって・・・ (アウトバック2.5XT乗り)
2011-05-15 13:07:42
昔は日産のヒット商品だったんですよね、
今で言えば、レガシィやギャラン(コイツは
都落ちしましたけど)
などのスポーティサルーンの代名詞
見たいな車でしたね、
でも今見ると、カク角したデザインが当時
一番の輸出先、アメリカを意識した
デザインであることが如実に判りますね
私はこの後の全日本ラリーなどで活躍した
アテーサ4WD搭載したモデルが好きです。
返信する
Unknown (taoten)
2011-05-15 21:25:21
私にとってブルーバードは610でブルUと呼ばれた時代です。
友達が大学1年生から3年間乗っていたので良く運転させてもらいました。
とても重々しい感じがして、スピードを出しても安定感があるな~と思いました。

710はとにかく沢田健二のCMと赤と黒のツートンの2ドアハードトップが頭に浮かびました!!
返信する
910の立ち位置 (獅子丸)
2011-05-15 21:51:57
アウトバック2.5XT乗りさん、こんばんは。

ブルーバード910のSSSは、先代BL/BPレガシィに近い立ち位置のクルマだったように思うのです。
大人の雰囲気をもった、素晴らしいスポーティーセダンだったですよね。運転したことはありませんが・・・
私もブルーバードは、この910かアテーサのU12(http://blog.goo.ne.jp/bb25500/e/8d91d707240d28c3d002470b8ce6ed4e)が好きだったですね。
返信する
ブルーバードの変遷 (獅子丸)
2011-05-15 21:59:28
taotenさん、こんばんは。

ブルーバードUのミニカー、昔持ってました!
捨ててしまった数々のミニカー、取っておけばこのブログのネタにできたのにと、非常に悔まれます。
そして、やっぱジュリーの「ブルーバード、お前の時代だ」のフレーズが、私も頭に浮かびます!
返信する
これが家に来た時の衝撃 (Tanac)
2011-05-16 11:59:42
セダンのSSS-E(白)が家に現れた時が、家に車が来て一番嬉しかったかもしれません。あのままの自分(日産狂)だったら、今何に乗ってたのでしょう・・・(ルノー?)
返信する
いつもながら (ie)
2011-05-16 12:39:55
見ごたえありますね!
ほんと、視界についてはおろそかになっているクルマのほうが多い気がします!
返信する
910ブル (宇垂)
2011-05-16 19:43:58
アルバイト先の同僚が乗ってまして、一度乗せてもらったことがあるんですが、しきりにドライブコンピューターの説明を嬉しそうにしていたのだけ覚えています。

まったく興味がなかったので真剣に聞いてなかったのですが、今から思えばいろいろいじっておけば良かったと悔やまれます。

兄がこのあとのU11の4ドアハードトップに乗ってたのですが、
前後の窓を開けたときに開放感を阻害するシートベルトが(笑)、上下で分離して窓枠の上側にフックで留められるようになってたのには、さすがに度肝を抜かれました。

今では考えられない大らかな時代でしたよね。
返信する
SSS-E (獅子丸)
2011-05-16 21:30:53
Tanacさん、こんばんは。

セダンのSSS-Eがお家にあったんですネ!なんと羨ましい・・・
中学時代は4ドアハードトップの方がカッコ良く見えました。
ですが、今の私だったら、セダンのSSS-EをMTで選びます。間違いなく・・・
返信する
最近のクルマの視界 (獅子丸)
2011-05-16 21:36:30
ieさん、こんばんは。

最近のクルマは、全体的にウエストラインが高めで、窓の上下幅が狭くなってますよね。
衝突安全重視のためなのか、スタイル重視のためなのか・・・
あまりよろしくない傾向だと思っております。

VISAの窓の上下幅は広そうですネ!
返信する
あれっ、そういえば・・・ (獅子丸)
2011-05-16 21:55:08
宇垂さん、こんばんは。

ドライブコンピューターは、この当時の日産の先進アイテムだったようですネ!シルビアにも付いてましたし・・・

それにしても、宇垂さんのお話で気付きましたが、910の4ドアハードトップの前席シートベルトは、どうなってるんでしょうね?
カタログには明記されていなかったですが、おそらくはU11と同じような仕掛けなのでしょうね。
いやあ、大らかな時代でした・・・
返信する

コメントを投稿