小学校高学年だった1979年初頭。私は、2ドアの「スペシャルティ・カー」に大きな憧憬を抱いたものである。
メーカーでいえば、一番好きなのは日産だった。
今回紹介するのは、厳密にいえばカタログではない。
当時入手した、3代目日産シルビア(S110型)の販促パンフレットである。
「白い稲妻 シルビア」。
このキャッチコピーは、アリスのヒット曲「冬の稲妻」にインスパイアされて産みだされたものだと、私は思料する。
Sensation(感覚)・Intelligence(知性)・Luxury(贅沢)・Vivid(鮮やかな)・Involve(伴う)・Appeal(魅力)・・・
いやあ、よく練り上げられたフレーズだ。
そのスタイルは、「閃光のイメージを活写」。
鋭利な刃物で一気にカットしたような面と直線が、閃光のイメージなのだという。
その心臓は、当時画期的だった「2プラグZエンジン」。
ノッチバックスタイルのハードトップに、エッジの利いたオペラウインドウが組み合わさり、非常にカッコ良く見えた。
まさに、シャープ&セクシー!
とりわけ私を魅了したのが、そのインテリアである。
なんだかメーターのたくさん付いたインパネは、確かに航空機のコクピットを彷彿とさせる。
「トータルイルミネーションシステム」が、これまた魅力的。
そのナイトドライブは、まさに「夜間飛行への旅立ち」のようなのだろうと、私を夢想させた。
「世界初のスーパーサウンドシステム」が、とりわけ画期的だった。それは「ホームオーディオの領域を脅かす本格派」だったという。
着目は、カセットデッキ。
ドルビーNR付の上に、なんと「世界初(!)のテープカウンター組込み」だったという。
だがしかし、運転中にこの小さなカウンターを凝視して、テープの早送りやら巻き戻しをする人がいたとは、あまり思えない。
後に曲の頭出し機能やブランクスキップ等が普及したこともあり、この「カウンター組込み機能」は、やはりメインストリームに躍り出ることなく、消滅してしまった・・・
「6ウェイシート」。いろいろと可動部分の多いシートも、子供ゴコロには魅力的に見えた。
蛇足ながら、シートの基本骨格がしっかりしていれば、可動部分は「ヘッドレスト上下・スライド・リクライニング・リフター」の4箇所で十分だというのが、現在の私の見解である。
さらには、国内初の「ドライブコンピューター」。その内容は、現代のような燃費計や航続可能距離の表示等は無く、単にトリップメーターや電子計算機等のシンプルなものだった。
とはいえ、当時まだ自宅に電卓の無かった私にとっては、非常に先進的な装備に思えたものだ。
そして、「ハロゲンヘッドライト」や「ヘッドランプクリーナー」「360°回転ロータリー式スポットランプ」等、時代を感じさせながらも魅惑的な、注文装備の数々。
全長4400mm×全幅1680mm×全高1310mm。プラットフォームを共有するという「A10系バイオレット」よりも320mm長く、80mmも幅が広い。
そのためそのスタイルは、ホイールがずいぶんと奥に引っ込んで、冷静に見れば「父親のジャケットを羽織った子供」のように見えなくもない。
だが、当時の私には、掛け値なくカッコいいクルマに見えたのだ。
最近街で見かけることもほとんどなくなってしまった、このS110シルビア。
今では「旧車の祭典」でしか会うことができないといっていい。
今にして思えば、’89年に免許を取った時に、このクルマを選ぶという選択肢もあったのではと、私は若干後悔している。
特に「スーパーサウンドシステム」と「ドライブコンピューター」の辺りが当時の時代性とか、空気感とか、感じとれて最高です。
免許を取ったころ、友人がこのタイプのガゼールに乗っていて何度か乗せてもらったことがあるんですが、もっとよく見といたらよかったと後悔・・・。
S110シルビアの本カタログがウチに現存していなかったのが大いに残念だったのですが、販促パンフのほうがむしろ、時代の空気感を伝えているかもしれないですね。
で、兄弟車「ガゼール」のデビュー当時の本カタログは、実は手元にあります。
近日こちらも紹介いたしますネ!
この車もかっこよかったですね。僕はハッチバック派でした(笑)。
ギャランΛ、コロナ・ハードトップ等、華麗なクーペが揃っていましたね。
出た頃は中坊で車に乗ることばかり考えていました。
そうそう、シルビアってタイヤが小さいなぁってずっと思ってたんですよ、
バイオレットと共通だったんですね。
そういえば、このS110シルビアにも、後日追加された「ハッチバック」があったハズなんですよね。
残念ながらそのカタログは持っていなかったのですが、それも悪くないスタイルだったように記憶しております。
そして、シルビアは、タイヤが小さくて奥まっていたんですよね。
本格スポーツではなく、「スペシャルティ・カー」だから、許してあげるべきなのでしょうか・・・
かの地に行くと日産240SXまたは240RS
でラリーやIMSAGTで大活躍しましたね
私はサファリラリーで活躍した岩瀬さん
と何度か話した事がありますが、
当時スバルから何度か乗ってくれって
話が来たけど当時の自分のスポンサー
日本ラジエーター(現カルソニック)が
240RSを用意してくれたんで
断ったんだと、意外なスバルとの
つながりについて、語って頂いた
事があります。
240SXで思い出したのですが、
日本国内では180SXっていうクルマもありましたよね。
日産にFRのスペシャルティ・カーがあった時代が、非常に懐かしいです。
また、そういうクルマを出してほしいのですが・・・
このシルビア、910ブルーバードと同世代でした。で、このシルビアは暴走族にも人気がありました。
そして、これから9年後、S13シルビアがデビューして大ヒットしました。
このシルビアはセリカ登場の10年後に出た車です。しかし、ホンダがプレリュードを出して大ヒットしたときこのシルビアは肩身が狭い思いをしました。
S13シルビアが大ヒットしてから、S14は大型化した途端、手のひらを返したように不人気になり、S15は短命に終わりました。
また、セリカはGT-FOURの人気でもっていましたが、今はありません。プレリュードもかつてのような人気もなく、いつの間にかなくなってしまいました。
また、アルシオーネSVXもユーノスコスモも大コケしてしまい、スペシャルティーカーは全滅しました。
子供の頃憧れのクルマだった、シルビア・セリカ・プレリュード・・・みんな消えてしまいましたネ(涙)
シルビアといえば、私が好きだったのは、この「S110」と「S13」ですね。
そのうち、S13シルビアについても、語ってみたいと思います!